ステラーラのバイオシミラーは先発品と比較して大幅な薬価削減を実現しています。先発品のステラーラ皮下注45mgシリンジが198,887円/筒であるのに対し、バイオシミラーは139,002円/筒と設定されており、約30%の価格削減となっています。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D09214
年間治療費で比較すると、乾癬患者の維持療法(年4回投与)において、先発品では約79万5千円、バイオシミラーでは約55万6千円となり、患者1人当たり年間約24万円の医療費削減効果が期待できます。この価格差は患者の経済的負担軽減だけでなく、医療保険制度の持続可能性にも大きく貢献します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/001437918.pdf
複数のバイオシミラー製品が承認されており、富士製薬工業の「ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ『F』」、陽進堂とセルトリオンの製品がそれぞれ同じ薬価で販売されています。これらの製品はすべて厳格な同等性試験をクリアしており、先発品との品質・有効性・安全性の同等性が確認されています。
参考)https://www.ustekinumab-fuji.com/about/
臨床薬理試験では、健康成人を対象とした薬物動態試験において、バイオシミラーと先発品の血中濃度推移が統計学的に同等であることが証明されています。また、中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象とした第III相臨床試験では、治療効果の同等性も確認されており、PASI75達成率などの主要評価項目で先発品と有意差のない結果が得られています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11036876/
安全性に関しても、バイオシミラーは先発品と同様のプロファイルを示しています。主な副作用として、鼻咽頭炎、上気道感染、頭痛、浮動性めまい、咽喉頭疼痛、悪心、嘔吐、発疹、そう痒症、関節痛、注射部位反応、疲労が報告されています。
重大な副作用としては、アナフィラキシー、重篤な感染症、結核、間質性肺炎が挙げられ、これらの発現頻度や重篤度は先発品と同等です。特に感染症リスクについては、IL-12/23の作用を抑制するメカニズムから、投与前の結核や肝炎スクリーニング、投与中の継続的な感染症モニタリングが重要となります。
参考)https://www.pmda.go.jp/RMP/www/800155/c214b028-3776-4fa2-9773-ab62b9bb6fb5/800155_3999431A1022_03_006RMPm.pdf
現在承認されているバイオシミラーの適応症は製品によって異なります。富士製薬工業の製品は尋常性乾癬、乾癬性関節炎、活動期クローン病、潰瘍性大腸炎の4つの適応を持つ一方、セルトリオンの製品は尋常性乾癬と乾癬性関節炎の2つの適応のみとなっています。
参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=78616
IBD(炎症性腸疾患)領域では、クローン病の中等症から重症例における寛解導入・維持療法として位置づけられ、TNF阻害薬や他の生物学的製剤で効果不十分な患者の治療選択肢として重要な役割を果たしています。潰瘍性大腸炎においても同様に、既存治療抵抗例に対する有効な治療選択肢となります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11975607/
投与間隔の最適化は治療効果を最大化する上で重要な要素です。乾癬では初回投与後4週間で2回目、その後12週間隔での維持療法が標準的ですが、効果不十分例では8週間隔への短縮も可能です。
参考)https://www.pmda.go.jp/RMP/www/800155/c214b028-3776-4fa2-9773-ab62b9bb6fb5/800155_3999431A1022_01_006RMPm.pdf
IBDにおいては、導入療法として体重に応じた初回点滴投与(約6mg/kg)を行い、8週後から皮下投与(90mg)に切り替え、その後12週間隔で継続します。効果減弱時には8週間隔への短縮投与も検討され、個々の患者の病勢や治療反応に応じた柔軟な投与スケジュール調整が可能です。
この個別化医療アプローチにより、バイオシミラーであっても先発品と同等の治療成績が期待でき、長期的な疾患制御と患者QOL向上に貢献します。医療経済性の観点からも、適切な投与間隔設定により費用対効果の最適化が図れます。