脂肪肝の診断において、血液検査では主にALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTPの数値を評価します 。これらの酵素は肝細胞の損傷により血中に漏れ出るため、脂肪肝の程度を判断する重要な指標となります 。
参考)https://www.amanoclinic.com/fLiver/fLiver.html
血液検査項目の基準値は以下のとおりです。
脂肪肝では特にALTの上昇が顕著で、50~100前後の数値を示すことが多く見られます 。また、コリンエステラーゼ(ChE)も栄養過多による脂肪肝で上昇する指標として注目されています 。
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血液検査数値の見方において、AST/ALT比は脂肪肝の病態評価に重要な役割を果たします 。非アルコール性脂肪肝ではALTがASTより高値を示すことが特徴的で、AST/ALT比が1未満となることが多く認められます 。
参考)AST(GOT)/ALT(GPT)(血液)
脂肪肝の重症度判定では以下の数値区分が用いられます。
📊 軽度: ALT 31-50 IU/L
📊 中等度: ALT 51-100 IU/L
📊 重度: ALT 100 IU/L以上
ただし、血液検査で異常が見られなくても画像検査によって脂肪肝が認められることもあるため、総合的な評価が必要です 。特に非アルコール性脂肪肝では、半数以上が血液検査で見過ごされてしまう可能性があります 。
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血液検査だけでは脂肪肝の確定診断は困難であり、腹部超音波検査やCT検査との組み合わせが必須となります 。脂肪肝の血液検査では肝細胞の損傷を反映しますが、脂肪の蓄積量や分布を直接評価することはできません。
参考)脂肪肝 肝臓に脂肪がついていると言われたら
画像検査の特徴。
🔍 超音波検査: 脂肪沈着部分が白く輝いて見える
🔍 CT検査: 肝臓全体の脂肪分布を広範囲で評価
🔍 エラストグラフィ: 肝臓の硬さを物理的に測定
血液検査正常でも脂肪肝が存在する「隠れ脂肪肝」の場合、BMI22kg/㎡未満でも腹部超音波検査で発見されるケースがあります 。このため定期的な画像検査による早期発見が推奨されています。
参考)脂肪肝(脂肪性肝疾患) 
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の診断では、血液検査による他疾患の除外が重要な工程となります 。ウイルス性肝炎(HBs抗原、HCV抗体)や自己免疫性肝炎(抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体)の検査により鑑別診断を行います 。
参考)https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/195.html
NAFLDの進行度評価には以下の血液マーカーが活用されています。
🧪 繊維化マーカー: ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン7S
🧪 炎症マーカー: オートタキシン、M2BPGi
🧪 代謝マーカー: 中性脂肪(TG)、コレステロール値
FIB4-indexやNAFLD fibrosis scoreといったスコアリングシステムを用いて、血液検査結果から肝硬変への進行リスクを予測することが可能です 。これらの検査により、肝生検の必要性や治療方針の決定に役立てられています。
参考)非アルコール性脂肪肝(NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎 …
脂肪肝の治療効果判定において、血液検査は継続的な肝機能評価の中核を担います 。治療介入後のALT、AST、γ-GTPの数値変化により、食事療法や運動療法の効果を客観的に評価できます。
参考)脂肪肝を早く治す方法 
治療効果の血液検査による評価ポイント。
💡 短期効果: 1-3か月でのALT値の低下傾向
💡 中期効果: 3-6か月での正常値への回復
💡 長期効果: 1年以上の安定した正常値維持
アルコール性脂肪肝の場合、断酒により1か月程度で肝機能の改善が期待できますが、定期的な血液検査による確認が必要です 。非アルコール性脂肪肝では生活習慣改善の継続的な取り組みが重要で、3-6か月ごとの定期検査により治療方針の調整を行います 。
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血液検査異常の改善が見られない場合は、薬物療法(ビタミンE、糖尿病治療薬など)の検討や、より詳細な画像検査による病態評価が必要となります 。早期の血液検査異常の発見と適切な治療介入により、肝硬変や肝癌への進行を防ぐことができます 。
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