セルフメディケーション税制の対象商品は、厚生労働省によって厳格に定められており、現在約3,280品目が指定されています。2022年1月の税制改正により、従来のスイッチOTC医薬品約1,830品目に加え、非スイッチOTC医薬品約1,450品目が新たに対象となりました。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000206165.pdf
対象商品の主要カテゴリーには以下が含まれます。
主要薬効別分類
重要な変更点として、令和3年度税制改正では強心剤が対象から除外されました。これは安全性の観点から慎重に取り扱うべき薬剤として判断されたためです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001369162.pdf
対象商品の識別は、医療従事者にとって重要なスキルです。最も確実な方法は、商品パッケージに記載されている「セルフメディケーション税制対象識別マーク」の確認です。
参考)https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/244914/r5leaflet.pdf
識別方法のポイント
第一三共ヘルスケアの対象商品例として、アレルギールシリーズ、ガスター10シリーズ、ルルシリーズなど多岐にわたる製品が登録されています。ゼリア新薬では、コンドロビーEX、アシノンZ錠、プレバリンαシリーズなどが対象となっています。
参考)https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/knowledge/self_taxsystem/index3.html
識別マークが貼付されていない場合でも、売り場のPOP表示や薬剤師・登録販売者への確認により対象商品を見極めることができます。
参考)https://hirasaka.co.jp/pages/76?detail=1amp;b_id=308amp;r_id=61
セルフメディケーション対象商品は、医療用医薬品と同等の有効成分を含有するため、副作用リスクの適切な管理が不可欠です。特に注意すべき副作用症状には以下があります:
主要な副作用症状
医療用医薬品と同様に、OTC医薬品でも薬物依存症の原因となる成分を含有する製品が存在します。長期連用や大量使用は避け、適切な用法・用量の指導が重要です。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)では「患者向医薬品ガイド」で各医薬品の副作用情報を提供しており、異常を感じた際の相談窓口も設置されています。
医療従事者は、セルフメディケーション推進において重要な役割を担います。単なる商品紹介にとどまらず、個々の患者に適した薬剤選択と適切な使用方法の指導が求められます。
医療従事者が提供すべき情報
厚生労働省のセルフメディケーション税制公式ページ
特に重要なのは、セルフメディケーションが適用できる症状の範囲を正確に把握し、医療機関受診が必要な症状との鑑別を行うことです。軽症の急性症状や日常的な健康管理には有効ですが、慢性疾患の治療や重篤な症状には限界があることを患者に伝える必要があります。
セルフメディケーション税制は、年間12,000円を超える対象商品購入により、超過分について所得控除を受けることができる制度です。控除上限額は88,000円で、実質的な節税効果は所得税率により変動します。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/self-medication.htm
制度の経済的インパクト
2024年2月の調査によると、セルフメディケーションの実践により、医療機関への受診頻度減少と総合的な医療費削減効果が報告されています。生活習慣の改善、予防接種の受診、健診の定期的な実施といった包括的なアプローチにより、生涯にわたる健康維持効果が期待されています。
参考)https://stories.jmdc.co.jp/blog/2402-01
今後の制度展望として、対象商品の拡大と併せて、デジタルヘルス技術との連携による個別化されたセルフメディケーション支援システムの構築が検討されています。AIを活用した症状判断支援や、個人の健康データに基づく最適な商品推奨システムの開発が進んでいます。
日本調剤による税制詳細解説ページ
セルフメディケーション税制は、単なる節税制度を超えて、国民の健康意識向上と医療費適正化を目指す重要な政策ツールとしての役割を果たしています。医療従事者には、この制度の適切な理解と活用により、患者の健康維持と経済的負担軽減の両立を支援することが期待されています。