センノサイドとセンノシドは、実際には同一の有効成分を指しており、表記の違いのみとなります。この表記の違いは、医薬品の承認時期や製薬会社によって生じたもので、本質的な成分や効果に違いはありません。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/78200/interview/78200_interview.pdf
日本の医薬品添付文書では、両方の表記が混在して使用されており、「センノサイド錠」「センノシド錠」として市販されています。薬事承認上は「センノサイド・カルシウム」20mg含有(センノシドA・Bカルシウム塩として12mg)と統一された記載がなされています。
参考)https://s142d6be29bfc6589.jimcontent.com/download/version/1648689397/module/9807400065/name/%E8%A3%BD%E5%93%81%E5%88%A5%E6%AF%94%E8%BC%83%E8%A1%A8_%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%89%E9%8C%A012mg%E3%80%8C%E3%83%9B%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%80%8D(202204).pdf
センノサイド(センノシド)の薬理作用機序は、他の刺激性下剤とは異なる特徴的なプロセスを経て発現します。
参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2021.714586/pdf
服用後、センノサイドは胃および小腸からは吸収されることなく、そのままの形で作用部位である大腸に到達します。大腸において腸内細菌の作用により、センノサイドはレインアンスロン(rhein anthrone)という活性代謝物に変換されます。
参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=2354003F2278
作用機序の詳細プロセス:
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC201432/
参考)https://utu-yobo.com/column/40156
この独特な作用機序により、効果発現には通常8-10時間程度の時間を要し、主に夜間服用により翌朝の排便を促します。
参考)https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/7034/
センノサイド(センノシド)の効果発現特性は、他の下剤との比較において重要な臨床判断材料となります。
効果発現時間の比較:
薬剤分類 | 効果発現時間 | 作用の特徴 |
---|---|---|
センノサイド/センノシド | 8-10時間 | 夜間服用→翌朝排便 |
酸化マグネシウム | 数時間-1日 | 穏やかで持続的 |
ピコスルファートNa | 7-12時間 | センノサイドと類似 |
臨床試験において、センノサイド製剤(プルゼニド)は177例の老人性便秘症患者で84.1%の有効率を示し、24時間以内の排便達成率でプラセボ群(66.1%)と比較して有意な差を認めています。
参考)https://www.phamnote.com/2017/01/blog-post_18.html
アローゼン顆粒との力価換算:
この力価の幅は、センナ葉・センナ実の産地、季節、収穫時期による含量変動に起因しており、臨床現場では一定量での効果予測が困難な場合があります。
センノサイド(センノシド)の副作用は刺激性下剤特有のパターンを示し、長期使用における注意点が多数報告されています。
主な副作用:
長期使用リスクの詳細:
センノサイドAの薬理学・毒性・代謝に関する包括的研究
臨床使用上の注意点:
参考)https://ameblo.jp/kenikukai-shonan/entry-12746943413.html
臨床現場におけるセンノサイド(センノシド)と他の下剤との使い分けは、便秘の病態と患者背景に基づいて決定されます。
慢性便秘症における基本戦略:
慢性便秘症治療ガイドラインでは、酸化マグネシウムなどの緩下剤を第一選択とし、センノサイドのような刺激性下剤は頓用での使用が推奨されています。
使い分けの具体的指標:
病態・状況 | 第一選択 | 第二選択・頓用 |
---|---|---|
慢性便秘症 | 酸化マグネシウム | センノサイド(頓用) |
急性便秘 | センノサイド | 浣腸・坐剤併用 |
術後排便促進 | センノサイド | ピコスルファートNa |
高齢者便秘 | 酸化マグネシウム | 少量センノサイド |
他剤との併用における注意事項:
同一患者にセンノサイド錠とアローゼン顆粒を併用処方する例が散見されますが、両者は同一の有効成分であり、重複投与による過量となるリスクがあります。臨床現場では以下の点に注意が必要です。
新規治療薬との位置づけ:
近年、上皮機能変容薬(ルビプロストン、リナクロチド)やオピオイド誘発性便秘治療薬が登場していますが、センノサイドは即効性と確実性の面で依然として重要な位置を占めています。
便秘薬の使い分けに関する臨床指針