日本人への投与では、同量を服用しても海外患者の約2倍の血中濃度になることをご存じでしょうか。
オピカポン(商品名:オンジェンティス錠25mg)は、2020年に小野薬品工業より発売された末梢COMT阻害剤です。 添付文書に記載された効能・効果は「レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」に限定されます。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00068872)
つまり、wearing-off現象が認められる患者、またはレボドパ含有製剤による治療で十分な効果が得られない患者が対象です。 単独療法では効果が認められないと明記されています。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
重要な点ですね。
服薬タイミングの指導で多くの医療従事者が見落としがちですが、「食事の前後1時間」は単なる目安ではなく、臨床試験データに基づく厳密な規定です。 国内第Ⅰ相試験(ONO-2370-03試験)において、食後投与では空腹時投与と比べてCmaxが0.53倍、AUCが0.57倍に低下するという結果が得られました。 つまり食事と同時に服用すると、吸収率が最大で約43%も落ちるということです。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
用法及び用量の原則は以下の通りです。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00068872)
就寝前投与が推奨される背景には、食事・レボドパ投与の両方から1時間以上空けやすい時間帯であるという実務的理由があります。 患者の生活スケジュールを確認してから投与時間を設定することが、添付文書上でも明示されています。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
禁忌は4項目です。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
| 禁忌項目 | 理由 |
|---|---|
| 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 | 重篤なアレルギー反応のリスク |
| 2.2 褐色細胞腫・傍神経節腫・カテコールアミン分泌腫瘍のある患者 | 高血圧クリーゼのリスク増大 |
| 2.3 悪性症候群または非外傷性横紋筋融解症の既往歴のある患者 | 投与中止時の発現リスク増大 |
| 2.4 重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者 | 代謝遅延による過剰曝露 |
厳しいところですね。
特に現場で見落とされやすいのが2.3の「既往歴」の確認です。 現在の状態が安定していても、過去に悪性症候群や横紋筋融解症を経験している患者には投与できません。悪性症候群は本剤の中止時に発現リスクが高まるため、投与開始前だけでなく中止の際も患者観察が必要です。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
慎重投与の条件として、中等度以下の肝機能障害(Child-Pugh A・B)でも申請用量25mgを超える投与経験は限られており、慎重な対応が求められます。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200619001/180188000_30200AMX00487_B102_1.pdf)
国内第Ⅱ相試験の安全性評価対象428例中、215例(50.2%)に副作用が認められました。 つまり約2人に1人に何らかの副作用が出る計算です。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
主な副作用(発現頻度2%以上)は以下の通りです。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
ジスキネジアが群を抜いて多いのは、本剤がレボドパの生物学的利用率を高めるからです。 ドパミン作動性の副作用(ジスキネジア・幻覚・悪心・起立性低血圧)があらわれた場合は、オピカポン自体を減量・中止するのではなく、まずレボドパ含有製剤の用量調整を検討することが添付文書で明示されています。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
これは使えそうです。
パーキンソン病患者は運動機能障害による転倒リスクも高いため、起立性低血圧が出た場合は骨折・外傷への発展を念頭に置いた観察が必要です。 また、前兆のない突発的睡眠(突発性睡眠)が生じる可能性があるため、自動車の運転・高所作業への従事を禁止するよう患者指導を徹底してください。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
海外では推奨用量が50mg(カプセル)なのに、日本では25mg(錠剤)に設定されている理由をご存じでしょうか。 第Ⅰ相試験において、日本人に錠剤25mgを投与したときのCmax・AUC0-tは、非日本人にカプセル25mgを投与したときの約2.23倍・2.11倍という結果が得られたためです。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
この国内外差には2つの要因が複合しています。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
つまり、鉄剤との同時服用は添付文書上「併用注意」に分類されています。 同時服用すると「鉄剤および本剤の両方の効果が減弱する可能性がある」と記載されており、投与間隔を空ける指導が必要です。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
同様に、COMT により代謝されるアドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン塩酸塩等の薬剤は「投与経路にかかわらず(吸入を含めて)」相互作用に注意するよう添付文書に明記されています。 手術・緊急処置時のカテコールアミン使用場面で見落とされやすいため、麻酔科・救急との情報共有が重要です。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
意外ですね。
添付文書の内容を実際の服薬指導に落とし込む際、最も重要なのは「自己判断での中止を絶対にさせない」という点です。 本剤を急激に中止すると悪性症候群や横紋筋融解症が発現するリスクがあり、38度以上の発熱・強い筋強剛・意識障害・血清CK値上昇といった重篤な症状に至る可能性があります。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
これが原則です。
患者・家族への説明では以下の3点を優先してください。 ononavi1717(https://www.ononavi1717.jp/products/ongentys/drug-faq)
また、衝動制御障害(病的賭博・病的性欲亢進・強迫性購買・暴食)の可能性についても、患者本人ではなく家族に確認することで早期発見につながります。 患者本人は異変に気づきにくいため、家族を巻き込んだ観察体制を構築するのが実践的です。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/RMP/www/180188/b2709822-eda5-489b-8a25-dffb928deedb/180188_11690A9F1024_02_004RMPm.pdf)
添付文書の最新版はPMDAの電子添文で常時確認できます(2023年7月改訂 第2版が最新です)。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/02/1169019F1024?user=1)
オピカポンに関する詳細情報・インタビューフォームの参照。
オンジェンティス 製品基本情報(電子添文・インタビューフォーム) – ONO MEDICAL NAVI
PMDAによる適正使用資材(薬物動態の国内外差の解説含む)。
オンジェンティス錠を適正にご使用いただくために(PMDA)