脈圧が小さい状態(30mmHg未満)は、心臓から全身に血液を送り出す力が低下していることを示す重要なサインです。特に低血圧の患者において、脈圧が狭くなることは心拍出量の低下を表し、各臓器への血液供給が不十分になる可能性があります。
参考)収縮期血圧と拡張期血圧の違いとは?上の血圧・下の血圧の意味を…
正常な脈圧は40-60mmHgとされており、これより小さい場合は末梢血管抵抗が高い状態や心機能の低下が疑われます。特に脈圧が20mmHg程度まで狭くなると、大動脈から送り出された血液が手足まで効率的に流れていない状態を示唆し、長期的に動脈硬化の進行につながる危険性があります。
参考)高血圧 href="https://kekkan-kenko.com/soudan/soudan03/" target="_blank">https://kekkan-kenko.com/soudan/soudan03/amp;#8211; 血管の健康とよい生活習慣がわかる情報…
💡 注意すべき症状
脈圧が狭い状態の主要な原因として、心不全による心拍出量の低下が挙げられます。心臓のポンプ機能が低下すると、収縮期血圧があまり上昇せず、同時に血液の流れが滞るため拡張期血圧が高めに維持される傾向があります。
参考)Qhref="https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-580" target="_blank">https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-580amp;A Vol.580 【脈圧と平均血圧を使いこなそう!】心…
心不全患者では、心臓から血液をわずかしか駆出できないため動脈圧が上昇せず、収縮期血圧は低くなります。一方で血液循環が滞るため拡張期血圧は相対的に高く保たれ、結果として脈圧が狭くなってしまうのです。
参考)301 Moved Permanently
また、うっ血性心不全やショック状態では、1回拍出量の低下により脈圧が著明に小さくなることが知られています。このような状態では、血圧値だけでなく脈圧の変化を注意深く監視することが重要になります。
参考)循環器用語ハンドブック(WEB版) 大脈/小脈
📊 心不全と脈圧の関係
低血圧症状は脈圧が小さい場合により顕著に現れることがあります。WHO基準では収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下を低血圧と定義していますが、脈圧も同時に評価することで循環状態をより正確に把握できます。
参考)4.低血圧
低血圧症状チェックリスト
参考)低血圧症状のチェックリスト!あなたはどのタイプ?
特に脈圧が20-30mmHg程度と狭い低血圧患者では、脳血流の低下により立ちくらみや意識消失のリスクが高まります。血圧が低いために脳へ十分な血液が届かず、一時的な酸素不足状態となることで、めまいや視界の暗転といった症状が現れやすくなります。
参考)低血圧でしんどい
🔍 重要な観察ポイント
脈圧が異常に小さい場合には、単純な低血圧以外にも特殊な疾患を考慮する必要があります。その中でも見落としやすいのが脚気心(ビタミンB1欠乏による心疾患)です。
参考)ショックを伴う肺高血圧症が疑われた脚気心の1例
脚気心では通常、高拍出性心不全を呈しますが、急性期や重症例では低血圧と脈圧の著明な減少を示すことがあります。特に衝心脚気と呼ばれる劇症型では、急性肺水腫やショック状態とともに循環血液量の低下により脈圧が極端に狭くなります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/8/110_1649/_pdf
現代でも偏食、アルコール依存症、消化器疾患により脚気心は発症しうる疾患です。高エネルギーを必要とする心筋組織でビタミンB1が不足すると、エネルギー産生がうまくいかず心機能が急激に低下します。
参考)脚気
脚気心の特徴的所見
ショックを伴う肺高血圧症との鑑別が重要な脚気心症例の詳細な解説
脈圧が小さい低血圧の治療では、原因に応じたアプローチが重要です。心機能低下が原因の場合は、心不全治療が優先されます。一方、循環血液量不足による場合は、適切な水分・塩分補給と血管収縮薬の使用が検討されます。
参考)低血圧 - 06. 心臓と血管の病気 - MSDマニュアル家…
生活習慣の改善も重要な治療要素となります。規則的な運動による筋力強化、特に下半身の筋肉量増加は血液の心臓還流を改善し、脈圧の正常化に寄与します。また、起立性調節障害を伴う場合は、急激な体位変換を避け、段階的な起立を心がけることで症状の軽減が期待できます。
参考)起立性調節障害 - 徳島県医師会Webサイト
栄養面では、ビタミンB1を含む食品の積極的摂取が推奨されます。特に糖質代謝に関わるビタミンB1の不足は心機能に直接影響するため、豚肉、うなぎ、玄米などを含むバランスの良い食事が重要です。
管理のポイント
⚕️ 医療機関受診の目安
脈圧が30mmHg未満が持続する場合や、失神・意識消失を伴う場合は、速やかに循環器専門医による詳細な検査を受けることが必要です。心エコー検査や血液検査により、心機能評価とビタミン欠乏の有無を確認し、適切な治療方針を決定することが重要になります。