「キャンディン系はどれも同じ」と思って選んでいると、アニデュラファンギンで肝障害リスクを過大評価して損しています。

キャンディン系抗真菌薬は、真菌の細胞壁を構成するβ-1,3-グルカンの合成酵素(Fks1p)を非競合的に阻害することで抗真菌活性を発揮します。 この標的はヒト細胞には存在しないため、他の抗真菌薬と比べて宿主への毒性が低いとされています。
関連)https://med.myclimatejapan.com/koumakotokinkusetsusururinshougaido.html
アゾール系が細胞膜のエルゴステロール合成を狙うのに対し、キャンディン系は「細胞の骨格そのもの」を壊すイメージです。これは選択性が高いということですね。 ポリエン系(アムホテリシンB)のように腎毒性の問題が少ない点も、ICU患者への使用で評価されています。
関連)https://www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_64.html
ただし、β-(1,6)-Dグルカンを主体とする菌種、たとえばクリプトコッカス、ムーコル、フサリウム、トリコスポロンに対しては効果が乏しいです。 これが基本です。クリプトコッカス髄膜炎のケースでキャンディン系を選ぶのは誤りになります。
関連)https://med-journey.com/mcfg/
日本で臨床使用できるキャンディン系抗真菌薬は、現在2剤です。
関連)https://med-dis.hatenablog.com/entry/2019/10/02/051615
| 薬剤名 | 商品名 | 標準用量 | 負荷投与 | 代謝経路 | 国内承認年 |
|---|---|---|---|---|---|
| ミカファンギン(MCFG) | ファンガード | 100mg/日 | なし | 肝代謝(CYP3A4ほぼ関与せず) | 2002年 |
| カスポファンギン(CPFG) | カンサイダス | 50mg/日 | 70mg(1日目) | 肝代謝(加水分解) | 2013年 |
ミカファンギンは2002年に日本で最初に承認されたキャンディン系です。 アゾール系より薬物相互作用が少ないため、多剤併用患者にも使いやすいとされています。 カスポファンギンは侵襲性アスペルギルス症にも適応を持ちます。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/koumakotokinkushiryousentakushishin/
欧米ではアニデュラファンギン(ANID)も標準的に使用されており、肝代謝をほとんど受けない独特な薬物動態が特徴です。 しかし日本では承認されておらず、現時点では国内通常臨床での選択肢に入りません。 これが条件です。
関連)https://med-dis.hatenablog.com/entry/2019/10/02/051615
関連)https://med-journey.com/mcfg/
関連)https://med-journey.com/mcfg/
関連)https://med-journey.com/mcfg/
関連)https://med-journey.com/mcfg/
キャンディン系は全体として副作用プロファイルが良好とされていますが、注意すべき副作用もあります。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/koumakotokinkushiryousentakushishin/
まず頻度が高いのは、軽度の肝機能異常(AST・ALT上昇)です。多くは軽症で可逆的ですが、投与中は定期的なモニタリングが必要です。 消化器症状(下痢、嘔気)も一定頻度で報告されています。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/koumakotokinkushiryousentakushishin/
注意すべきは稀な重篤副作用です。ミカファンギンでは急性血管内溶血(剥離性血管内溶血)の報告があります。 頻度は非常に低いものの、突然のヘモグロビン値低下や溶血所見を認めた際にはミカファンギン投与歴を必ず確認してください。これは見落とすと痛いですね。
関連)https://chigasaki-localtkt.com/koumakotokinkushiryousentakushishin/
輸注反応(発疹、そう痒感)も発現することがあります。 アムホテリシンBに比べると輸注関連反応の頻度は格段に低く、前投薬が不要である点が実臨床での使い勝手を高めています。
関連)https://www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_64.html
キャンディン系への耐性は「稀」と思われがちですが、注意すべき状況が存在します。
関連)https://www.niid.jihs.go.jp/images/lab-manual/kisyo/9_ARCandida_Nagi.pdf
耐性機序の主体は、標的であるβ-1,3-グルカン合成酵素をコードするFKS遺伝子の変異です。 特にC. glabrataでは、長期キャンディン系投与後にFKS変異が蓄積することが報告されています。これは意外ですね。
関連)https://www.niid.jihs.go.jp/images/lab-manual/kisyo/9_ARCandida_Nagi.pdf
国立感染症研究所のデータによれば、カンジダ血流感染の薬剤耐性サーベイランスでキャンディン系耐性株も散発的に検出されています。 感受性検査なしに「キャンディン系なら必ず効く」という前提での長期投与は避けるべきです。 長期投与は要注意です。
関連)https://www.niid.jihs.go.jp/images/lab-manual/kisyo/9_ARCandida_Nagi.pdf
また、FKS変異株はMIC値が大幅に上昇する(通常の8〜100倍以上になるケースも)ため、感受性検査の実施が推奨されます。 C. glabrataを原因とするカンジダ血症で改善が乏しい場合は、早めに感受性検査を依頼することが望ましいです。
関連)https://www.jsmm.org/common/jjmm46-4_217.pdf
以下は、キャンディン系抗真菌薬の作用機序・適応・耐性について詳しく記載された信頼性の高い参考資料です。
各薬剤の薬物動態と臨床適応についての詳細(日本医真菌学会雑誌より)。
キャンディン系抗真菌薬ミカファンギン(日本医真菌学会雑誌 PDFリンク)
カンジダ薬剤耐性の現状と菌種別感受性データ(国立感染症研究所)。
薬剤耐性カンジダ(国立感染症研究所 技術資料)
ミカファンギン(MCFG)の特徴・投与量・スペクトラムの整理。
ミカファンギンの特徴と投与方法(Med-Journey)
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