ケナログ 禁忌疾患 口腔内感染 妊婦 小児 高齢者

ケナログ（トリアムシノロンアセトニド）は副腎皮質ステロイドを含む口腔用軟膏で、びらんや潰瘍を伴う難治性口内炎などに処方されますが、口腔内感染症（細菌・真菌・ウイルス）のある患者には原則として禁忌です。
- カンジダ感染症が疑われる白斑が口腔全体に広がっている場合
- 黄色い膿がある場合（細菌感染症）
- 小水疱が多発し、口腔外にも発疹がある場合（ウイルス感染症）
- 発熱や全身倦怠感、リンパ節腫脹を伴う場合
これらは感染の増悪や重篤化を招くため、ステロイド外用薬の使用は避けるべきとされています[1][2][3]。

妊婦・授乳婦への長期投与は安全性が確立されていないため、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ慎重に検討します[4][5]。
小児では長期連用により発育障害のリスクがあるため、必要最小限の期間に留めます[6][4]。
高齢者は生理機能が低下しているため、感染症の誘発や副作用発現に注意し、慎重な経過観察が必要です[6][7]。

ケナログの成分に対し過敏症の既往歴がある患者は絶対禁忌です。アレルギー反応として発疹やかゆみ、発赤、時にアナフィラキシー様症状が出現することがあります[6][8]。
また、本人または家族にアレルギー体質がある場合も慎重に使用を検討します。

ステロイド外用薬の長期連用は、口腔粘膜の菲薄化や二次感染（カンジダ症・細菌感染）のリスクを高めます。特に高齢者や免疫抑制状態の患者では、感染症の誘発や治癒遅延が問題となります[7]。
5日間使用しても症状改善がない、または1～2日で悪化する場合は直ちに中止し、医療機関へ相談します[9]。

ケナログは一般的な禁忌疾患以外にも、歯肉炎や歯槽膿漏などの局所感染部位には使用を避けるべきとされます。
また、自己免疫疾患や全身性疾患（例：ベーチェット病）の患者では、全身投与薬との併用や症状の悪化に注意が必要です。
さらに、ステロイド剤は入れ歯や補綴物の接着目的での使用は厳禁です。
口腔内の症状が長引く場合、悪性疾患（口腔癌など）や全身疾患の初発症状の可能性も考慮し、安易なステロイド外用は避けるべきです[10]。