トリアムシノロンアセトニドの外用薬として、レダコートが代表的な商品名として知られています 。レダコートは軟膏とクリームの両剤形があり、薬価は16.5円/gと設定されています 。この製剤はステロイド外用薬の強さ分類において5段階中2番目の「ミディアム(普通)」に位置づけられ、中等度の抗炎症作用を示します 。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG00010
後発医薬品としては、ノギロン軟膏0.1%(陽進堂)が3.7円/gという低価格で供給されています 。また、東興薬品工業からは**トリアムシノロンアセトニドゲル0.1%「TK」やトリアムシノロンアセトニドクリーム0.1%「TK」**が16.4円/gで販売されています 。これらの後発品は先発品と同等の効果を示しながら、医療費削減に貢献しています。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00069651-002
外用薬の主な適応症は湿疹・皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬などの炎症性皮膚疾患で、1日1~数回患部に薄く塗布します 。トリアムシノロンアセトニドは分子量434.5の合成副腎皮質ステロイドホルモンで、16α,17α-アセトニド基により組織滞留性が向上し、24-36時間の効果持続が期待できます 。
参考)https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/triamcinolone-acetonide/
ケナコルト-Aは、ブリストル・マイヤーズスクイブ社が製造販売するトリアムシノロンアセトニドの注射用製剤です 。皮内用・関節腔内用水懸注50mg/5mL(200円/mL)と筋注用・関節腔内用水懸注40mg/1mL(785円/瓶)の2つの製剤があります 。この製剤は関節炎、腱鞘炎、滑液包炎などの局所炎症性疾患に対して直接患部に注射することで、高い抗炎症効果を発揮します。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052573
ケナコルト-Aは特に関節リウマチや変形性関節症における関節腔内注射として広く使用されており、全身への影響を最小限に抑えながら患部に直接作用します 。筋肉内注射では副腎不全などの副腎皮質ホルモン補充療法にも使用され、持続的な効果が必要な場合に選択されます 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B7%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%83%B3
眼科領域では、マキュエイドの供給停止を受けて、硝子体手術時の硝子体可視化補助剤としてケナコルト-Aの適応外使用が行われています 。日本網膜硝子体学会では、マキュエイドと同等の効果が期待できるとして、やむを得ない場合の代替使用を認めています 。
参考)https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/out_patient/files/230601_kenacort_2_tenon2.pdf
マキュエイド眼注用40mg(わかもと製薬)は、硝子体手術時の硝子体可視化に対して国内で唯一承認を受けた製剤として、8,056円/瓶の薬価で供給されていました 。しかし、2023年4月に品質問題を理由とした出荷停止が発表され、同年5月に在庫が消尽し、現在も供給再開の見通しが立たない状況が続いています 。
参考)https://www.nichigan.or.jp/member/news/detail.html?itemid=648amp;dispmid=917
この供給停止により、硝子体手術において重要な役割を果たしてきたマキュエイドが使用できなくなり、全国の眼科医療機関に大きな影響を与えています 。マキュエイドは硝子体を一時的に白濁させることで、透明な硝子体を可視化し、硝子体除去の確認を容易にする重要な手術補助剤でした。
日本眼科学会では、代替策としてケナコルト-A筋注用関節腔内用水懸注40mg/1mLの適応外使用を推奨しており、患者への十分な説明と同意を得た上での使用を求めています 。ただし、適応外使用のため医薬品副作用被害救済制度の対象外となることが注意点として挙げられています 。
口腔領域では、アフタッチ口腔用貼付剤25μg(アルフレッサファーマ)が口内炎治療の先発品として22.7円/錠で供給されています 。この貼付剤は患部に直接貼り付けることで、薬効成分の患部滞留性を高め、食物などの外的刺激からも患部を保護する二重の効果を発揮します 。
参考)http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-21-1.html
後発品としてはトリアムシノロンアセトニド口腔用貼付剤25μg「大正」(帝國製薬)が31.6円/枚で販売されています 。軟膏タイプではオルテクサー口腔用軟膏0.1%(ビーブランド・メディコーデンタル)が63.2円/gで供給されており、口内炎や舌炎の治療に使用されています 。
これらの口腔用製剤は、アフタ性口内炎や舌炎に対して優れた抗炎症作用を示します 。特にアフタッチは、従来のケナログ口腔用軟膏(2018年12月販売中止)の代替として広く使用されており、患部への密着性と保護効果において軟膏タイプより優れているとされています 。
参考)https://wakanashika.com/2022/07/2-1.html
トリアムシノロンアセトニド製剤の副作用は、使用部位や投与経路によって異なる特徴を示します。外用薬では主な副作用として皮膚の刺激感、発疹、ステロイドざ瘡(にきび・吹き出物)、魚鱗癬様皮膚変化(鮫肌状になる)、多毛などが報告されています 。長期使用により皮膚萎縮や毛細血管拡張、ステロイド酒さなどの皮膚変化が生じる可能性があります 。
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=49096
重大な副作用として、眼瞼皮膚への使用時には後囊白内障や緑内障の発症リスクがあり、定期的な眼圧測定が必要です 。また、皮膚感染症として真菌性(カンジダ症・白癬等)および細菌性(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)感染症の増悪や新規発症のリスクがあります 。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069651
口腔用製剤では、口腔内のカンジダ症、気管支喘息発作、顔面浮腫、発疹などが主な副作用として報告されています 。注射薬では、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害等のより重篤な全身性副作用のリスクが高くなります 。特に小児では長期・大量使用により発育障害を来すおそれがあり、高齢者では皮膚菲薄化が生じやすいため、慎重な使用が求められます 。
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=48775