1ヶ月間症状が持続するカンジダ症例では、まず診断の再評価が必要です。通常、外陰腟カンジダ症の90%程度は初回治療で改善するため、長期化する場合は他の疾患との鑑別を行う必要があります。
鑑別すべき主な疾患として以下が挙げられます。
自己診断でカンジダと判断した95人の女性の実際の診断では、真のカンジダ症は34%のみであったという報告があり、医療従事者による正確な診断が不可欠です。
培養検査による原因菌の同定と薬剤感受性検査を実施し、治療抵抗性の背景を明確にすることが重要です。特に、非アルビカンス系カンジダ(C. parapsilosis、C. krusei等)は薬剤耐性を示すことが多く、適切な抗真菌薬の選択が必要です。
近年、カンジダ症における菌種分布に変化が見られ、非アルビカンス系カンジダの増加が報告されています。これらの菌種は従来の抗真菌薬に対して耐性を示すことが多く、治療難渋の主要因となっています。
薬剤耐性の主な要因。
特にC. parapsilosisは、アゾール系薬剤に対する感受性低下が問題となっており、レザファンギンなどの新規エキノカンジン系薬剤の使用が検討されています。治療期間も通常の1-2週間から、最長12ヶ月間の長期治療が必要な症例も報告されています。
薬剤感受性検査の結果に基づいた治療薬選択が重要であり、必要に応じて感染症専門医への相談を検討すべきです。
頻回に再発するカンジダ症(年4回以上、3ヶ月以内の再発)に対しては、フルコナゾール内服による再発予防療法が有効です。
標準的な再発予防プロトコル。
ただし、日本国内では再発予防に対する保険適応がないため、患者負担軽減のためジェネリック薬を用いた自費処方が行われることが多いのが現状です。
内服治療の適応。
治療効果の判定は症状の消失をもって行い、完全な菌の除去ではなく症状改善を治療目標とします。
1ヶ月間症状が持続するカンジダ症では、宿主側の要因が大きく関与していることが少なくありません。免疫機能低下や基礎疾患の存在が治療抵抗性の背景にある場合があります。
主要な宿主因子。
特に糖尿病患者では、高血糖状態がカンジダ菌の増殖を促進し、治療抵抗性を示すことが知られています。HbA1cの改善とともにカンジダ症状も改善する症例が多く、基礎疾患の管理が重要です。
また、慢性的なストレスや睡眠不足による免疫機能低下も症状遷延の要因となります。ライフスタイルの改善指導も治療の一環として重要な位置づけとなります。
早期抗真菌治療(発熱から72時間以内)が予後改善に寄与するという報告もあり、迅速な診断と治療開始が重要です。
医療従事者におけるカンジダ症の特殊性として、院内感染のリスクと職業的曝露による影響を考慮する必要があります。これは一般的にはあまり議論されない視点ですが、臨床現場では重要な問題です。
医療従事者特有のリスク要因。
特に集中治療室や血液内科病棟などでは、侵襲性カンジダ症の患者との接触機会が多く、医療従事者自身が薬剤耐性株に感染するリスクが高まります。
対策として以下が重要です。
医療従事者の場合、患者への二次感染リスクも考慮し、症状出現時は速やかに専門医受診を行い、適切な休養期間を確保することが重要です。また、薬剤耐性菌感染の可能性も考慮し、一般的な治療で効果不十分な場合は早期に感染症専門医への相談を行うべきです。
カンジダ症診療ガイドラインに関する詳細情報。
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