あなたがHHSを「昏睡してから考える疾患」と思い込むと、その前に救えたはずの患者を1人は失います。

HHSという医療略語は、Hyperosmolar Hyperglycemic State(またはSyndrome)を指し、日本語では「高浸透圧高血糖状態」あるいは「高浸透圧高血糖症候群」と訳されています。
関連)https://medwords.jp/hyperosmolar-hyperglycemic-state
かつては同じ病態が「非ケトン性高浸透圧性昏睡(HONK)」と呼ばれており、近年になって国際的なガイドラインに合わせてHHSという表記が主流になりました。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_17717
この名称変更は、必ずしも昏睡に至らない症例が一定数存在することや、軽度のケトーシスを伴う患者もいることが明らかになったことが背景にあります。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
つまり「昏睡していないからHONKではない=HHSでもない」といった古い常識は、現行の定義から見ると完全に誤りです。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
このように、HHSという略語には、意識レベルだけでは語れない病態の幅広さが内包されています。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_17717
HHSという略語に対して、臨床現場では意外と揺らぎが残っています。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
例えば、診療録では「高浸透圧高血糖症候群」、研修医向けの講義資料では「高浸透圧高血糖状態」と別々に表現されている施設もあり、略語は同じでも日本語訳が混在していることがあります。
関連)https://www.wakayama-med.ac.jp/med/eccm/assets/images/library/er_morning/20.pdf
一方で、英語表記の“State”と“Syndrome”は、教科書によって表記が分かれているものの、実務上は同一の臨床概念として扱われており、ガイドラインも病態の中身で定義しているのが現状です。
関連)https://www.apollohospitals.com/ja/diseases-and-conditions/hyperosmolar-hyperglycemic-state
用語の揺らぎを理由に「どれもHHSでしょ」で済ませると、教育の場で新人に誤解を残し、のちの看護や初期対応に影響が出るリスクがあります。
関連)https://ponkango.com/hhs/
つまり用語の使い分けを軽く見ないことが原則です。
教育という観点では、HONKという旧称をあえて併記しながら、「昏睡ではなくてもHHSに該当しうる」ことをセットで説明すると、若手にとって病態像が立体的にイメージしやすくなります。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
たとえば「血糖800mg/dL、Na補正後の浸透圧が330mOsm/L、JCS1桁の高齢患者」は、意識障害が軽度でもHHSとして評価すべき典型例です。
関連)https://www.ohta-hp.or.jp/nishi/center/diabetes_center/hyperglycemia
このような具体例を資料に組み込むことで、数値と症状の組み合わせからHHSを素早く連想できるスタッフが増え、救急外来や病棟での初動が早まります。
関連)https://nakano-dm.clinic/blog/post-464/
結論は略語より中身をセットで教えることです。
HHSとDKAは同じ「高血糖緊急症」に分類されますが、死亡率という観点ではHHSのほうが明らかにリスクが高く、報告によって10〜20%とされています。
関連)https://www.ohta-hp.or.jp/nishi/center/diabetes_center/hyperglycemia
一方、DKAの致死率は5%未満とされることが多く、この数字だけを見ると「HHSのほうが少なくとも2倍以上は危険」と直感的に理解できます。
関連)https://www.ohta-hp.or.jp/nishi/center/diabetes_center/hyperglycemia
高齢2型糖尿病患者に多いこと、脱水や基礎疾患の重さが絡むことが、この差に大きく関係しており、「昏睡していないから大丈夫」という判断で輸液が遅れると、循環不全から一気に転落する危険があります。
関連)https://www.wakayama-med.ac.jp/med/eccm/assets/images/library/er_morning/20.pdf
つまりHHSでは、血糖値そのものよりも脱水と高浸透圧の持続時間が、予後に直結しやすいということですね。
数値基準に目を向けると、HHSは「血糖値600mg/dL(33.3mmol/L)以上」「血清浸透圧320mOsm/L以上」などを目安に診断されることが多く、DKAと比べて血糖の絶対値が高いことが特徴です。
関連)https://www.apollohospitals.com/ja/diseases-and-conditions/hyperosmolar-hyperglycemic-state
例えば、500mLペットボトルの砂糖水に角砂糖を10個以上追加したようなイメージで、血液が“どろっと重くなっている”と捉えると、血栓症リスクや循環不全のイメージがわきやすくなります。
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また、HHSではpHが7.3以上、血中ケトン体も軽度上昇にとどまることが多く、アシドーシス症状が前面に出ないため、医療者側も「ただの高血糖+脱水」と見誤りやすい点が落とし穴です。
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結論は数値をセットで見ないと危険です。
臨床的には、HHSとDKAがオーバーラップする症例も少なくありません。
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高齢2型糖尿病患者で、感染症に伴う食欲低下とインスリン自己中断が続いた結果、血糖900mg/dL、浸透圧340mOsm/L、軽度ケトーシスといった“ハイブリッド”の状態に陥るケースも報告されています。
関連)https://nakano-dm.clinic/blog/post-464/
この場合、どちらか一方のプロトコールに無理に当てはめるよりも、「脱水補正を優先しつつ、インスリン投与は慎重に開始する」という原則で、安全側に倒した管理が推奨されます。
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結論はラベリングにこだわりすぎないことです。
HHSは高齢の2型糖尿病患者に多く、感染症や手術後、高カロリー輸液、利尿薬、摂食不良など「脱水を助長する要因」が積み重なったときに発症しやすいとされています。
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例えば、80歳代の独居高齢者が、発熱と下痢で数日ほとんど水分を取れず、さらに利尿薬を内服していた場合、血糖コントロールがやや不良なだけでも、一気にHHSレベルの脱水に傾きます。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
このような患者は入院時にはまだ会話が成立していても、数時間単位で急速にせん妄が進行し、「夜間にベッドから転落」「点滴自己抜去」といった二次的な事故につながるリスクが高いのが特徴です。
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つまり観察の遅れが、そのまま転倒・骨折や入院期間の延長という形で“コスト”に跳ね返るということですね。
看護の現場では、HHS患者の致死率が10〜20%と高いだけでなく、血栓症や脳浮腫といった合併症が問題になります。
関連)https://www.ohta-hp.or.jp/nishi/center/diabetes_center/hyperglycemia
高度脱水で血液粘稠度が上がっている状態では、深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスクが増大し、輸液開始後の早い段階から下肢の腫脹・疼痛、SpO2の低下、頻呼吸などの所見に目を配る必要があります。
関連)https://www.wakayama-med.ac.jp/med/eccm/assets/images/library/er_morning/20.pdf
また、急激な血糖降下や浸透圧変化は脳浮腫の原因となりうるため、治療中は1〜2時間おきの意識レベル評価や瞳孔径の観察、頭痛や嘔気の訴えの変化をチェックすることが重要です。
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つまり合併症の予防まで含めてHHSだと意識することが条件です。
こうしたリスクを踏まえると、病棟で実践しやすい工夫として、HHS疑い患者の観察項目を「ポケットサイズのチェックリスト」にまとめ、白衣の胸ポケットやスマホアプリに常備する方法があります。
関連)https://nakano-dm.clinic/blog/post-464/
例えば、「入院時血糖600以上」「浸透圧320以上」「高齢2型糖尿病」「発熱・感染症あり」「利尿薬・ステロイド内服中」の5項目のうち3つ以上当てはまれば、“HHS強く疑い”として輸液と観察を優先する、というシンプルなルールです。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
このようなツールをチームで共有しておくと、夜勤帯の少人数体制でも、見落としによる重症化を減らせる可能性があります。
関連)https://ponkango.com/hhs/
つまり仕組みで見落としを減らすということですね。
HHSの病態や高齢者特有のリスクについて、医療者向けに分かりやすく整理されている資料として、総合病院や専門クリニックの解説ページがあります。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
高齢2型糖尿病患者に多いHHSの病態と看護のポイントを詳しく解説しているページです。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科「高浸透圧性高血糖状態(HHS)について糖尿病専門医が詳しく解説!」
HHS管理の基本は、まず循環動態を安定させるための大量輸液であり、インスリン投与よりも輸液を優先する点が、DKAとの大きな違いとして強調されています。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_17717
実際、日本の解説記事や講義資料でも、「初期は0.9%生理食塩水を1時間あたり500〜1000mLで開始し、最初の数時間で4〜6L程度の輸液が必要となる症例もある」といった目安が挙げられています。
関連)https://www.ohta-hp.or.jp/nishi/center/diabetes_center/hyperglycemia
東京ドームのグラウンドに水を撒く量と比べればわずかなものですが、体重50kg前後の高齢者にとっては、数時間で体重の1割近くに相当する急激な容量変化です。
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つまり輸液速度の調整は、常に血圧・尿量・呼吸状態とセットで考える必要があるということですね。
インスリン投与については、HHSではインスリン欠乏が相対的であることや、急激な血糖低下が脳浮腫のリスクになることから、DKAよりも“ゆっくり”が基本です。
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多くのプロトコールでは、血糖低下速度を1時間あたり50〜75mg/dL程度に抑えることが推奨されており、これは12時間で600〜900mg/dL下げるペースに相当します。
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もし血糖が1時間で150mg/dL以上急激に低下している場合には、インスリン量を減らすか一時中止し、代わりに輸液組成を調整するなどして、血糖の“ブレーキ”を意識する必要があります。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
結論は「早く下げればよい」ではないということです。
ナトリウム補正と浸透圧の計算も、HHS管理で押さえておくべきポイントです。
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高血糖による見かけ上の低Na血症を補正せずに輸液組成を選ぶと、「Naは正常だからとりあえず生食で」といった判断になりがちですが、実際には真のNaが高く、さらに高浸透圧を悪化させてしまうケースがあります。
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補正Naや計算浸透圧は、電子カルテのカスタム計算式やスマホアプリに登録しておくと、ベッドサイドで数十秒以内に算出でき、治療方針の決定がスムーズになります。
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つまり数式を“現場のツール”に落とし込む工夫が大切です。
輸液やインスリン管理のプロトコールは、各施設の集中治療部や糖尿病チームが作成していることが多く、看護師や研修医が迷ったときにすぐ参照できる場所に置いておくことが重要です。
関連)https://nakano-dm.clinic/blog/post-464/
紙のバインダーだけでなく、院内ポータルサイトやスマホアプリからアクセスできる形にしておくと、夜間や休日の当直でも、治療方針のブレを減らせます。
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特にHHSは、年間発症数こそ多くないものの、一例あたりのインパクトが大きいため、「年に数回しか使わないけれど、いざというときには迷わない」プロトコールの整備が、病院全体のリスク管理につながります。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
つまりシステム整備も治療の一部ということですね。
電子カルテ上の略語運用は、HHSのような重症病態では特に重要で、入力欄やテンプレートに「HHS(高浸透圧高血糖状態)」と日本語を併記しておくことで、若手や多職種間の認識ズレを減らせます。
関連)https://ponkango.com/hhs/
例えば、救急外来の初期診療テンプレートに「DKA / HHS疑い」のチェックボックスと、血糖・浸透圧・意識レベル・脱水所見の入力欄をセットで用意しておくと、症状から略語への“ひも付け”が自然に起こります。
関連)https://www.wakayama-med.ac.jp/med/eccm/assets/images/library/er_morning/20.pdf
一方で、カルテ内の別の場所で「HHS=健康保険システムの略」として使われている施設があると、検索時にノイズが混じり、インシデントレビューや症例集計の際に誤抽出が発生する恐れがあります。
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つまり略語の“多義性”を放置しないことが大事ということですね。
チーム教育の場では、HHSという略語だけを教えるのではなく、「HONKとの歴史的な違い」「DKAとの鑑別ポイント」「高齢2型糖尿病に多い理由」をセットにしたミニレクチャーの形で共有すると、理解が深まりやすくなります。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_17717
15分程度のカンファレンスで、1症例の経過と検査値の推移を時系列グラフにし、「どの時点でHHSと判断すべきだったか」「どこで輸液のギアを上げるべきだったか」を振り返ると、略語の“重さ”が実感として伝わります。
関連)https://medwords.jp/hyperosmolar-hyperglycemic-state
このとき、あえて意識レベルが軽度だった症例や、せん妄が主症状だった症例を選ぶと、「昏睡していないからまだ大丈夫」という誤った常識を崩す教材として効果的です。
関連)https://www.kashiwazaki-ghmc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/2023-2-8.pdf
これは使えそうです。
また、HHSに関する院内マニュアルやeラーニング教材では、「よくある誤解とその結果生じたインシデント」を匿名化して紹介することが、行動変容のトリガーになります。
関連)https://ponkango.com/hhs/
例えば、「高齢糖尿病患者のせん妄を認知症悪化と誤認し、血糖900mg/dLと浸透圧340mOsm/Lを見落として輸液開始が6時間遅れた結果、ショックと急性腎障害をきたした」といった具体的なケースです。
関連)https://shimoyama-naika.com/dm/type1/emergency/hhs/
こうした事例を共有することで、「HHSという略語を見たら怖さを思い出す」だけでなく、「HHSという略語が出る前の段階でも、HHSを疑う視点」を持つスタッフが増えていきます。
関連)https://nakano-dm.clinic/blog/post-464/
つまり略語は“ラベル”ではなく“警報”だと捉えるべきです。
HHSに関する用語の整理と、医療用語としての定義を確認するためには、日本語の医療用語集も有用です。
関連)https://medwords.jp/hyperosmolar-hyperglycemic-state
HHSの日本語訳や症状・診断の概要が簡潔にまとまっている医療用語解説ページです。
関連)https://medwords.jp/hyperosmolar-hyperglycemic-state
MedWords「高浸透圧性高血糖(HHS)」医療用語解説
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