副鼻腔炎がうつるのはウイルス性感染によるもの

副鼻腔炎そのものは他人にうつりませんが、風邪ウイルスが原因の場合には感染する可能性があります。細菌性副鼻腔炎とウイルス性副鼻腔炎の違いを理解していますか?

副鼻腔炎とうつる

副鼻腔炎の感染について
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直接感染しない

副鼻腔炎自体は他人に直接うつることはありません

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原因ウイルス

風邪ウイルスなど原因となる感染症はうつる可能性があります

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医療機関受診

適切な診断と治療により感染拡大を防げます

副鼻腔炎そのものはうつらない理由

副鼻腔炎そのものは他人に直接うつることはありません 。副鼻腔炎は副鼻腔という顔の骨の中にある空洞の粘膜に炎症が起きる疾患であり、この炎症状態自体が伝播することはないためです 。
参考)副鼻腔炎は他の人にうつりますか?

 

副鼻腔炎は鼻腔と副鼻腔をつなぐ自然口という穴が閉塞することで、副鼻腔内に分泌物や膿が貯留して発症する病気です 。この病態そのものは他人への感染性がないため、副鼻腔炎患者と接触しても直接的に副鼻腔炎が伝染することはありません 。
参考)福岡市南区「しらつち耳鼻咽喉科」 href="https://shirajibi.com/examination/examination12/" target="_blank">https://shirajibi.com/examination/examination12/amp;raquo; 治りの悪…

 

しかし、副鼻腔炎の原因となった感染症については別の話となります。風邪などのウイルス感染や細菌感染が原因で副鼻腔炎が発症した場合、その原因病原体については感染の可能性があります 。
参考)【専門医監修】副鼻腔炎(蓄膿症)に関する疑問と感染のリスクに…

 

副鼻腔炎の原因となるウイルス性感染症

副鼻腔炎の最も一般的な原因は風邪などのウイルス感染です 。ライノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが副鼻腔炎の主な原因ウイルスとして知られています 。
参考)副鼻腔炎・片側性副鼻腔炎の原因(片方の鼻詰まり)

 

ウイルス性上気道炎(いわゆる風邪症候群)の約90%で急性鼻副鼻腔炎を合併し、そこから細菌性副鼻腔炎へ進展するのは0.5~2.0%と報告されています 。つまり、副鼻腔炎の大部分はウイルス感染が関与しているということです。
参考)疾患別(プライマリ・ケア医が診る感染症) プライマリ・ケアの…

 

これらのウイルスは感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手や物を介した接触感染によって他人に感染します 。飛沫は1~2m飛散するため、感染者から2m以上離れることで感染リスクを大幅に下げることができます 。
参考)ヒトライノウイルス(Human Rhinovirus, HR…

 

副鼻腔炎の細菌性感染と二次感染

ウイルス感染後に続発する細菌感染が副鼻腔炎の重要な病態です 。風邪ウイルスによって鼻粘膜に炎症が起こり、免疫力が低下した状態で肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどの細菌による二次感染が生じることがあります 。
参考)急性副鼻腔炎

 

細菌性副鼻腔炎の原因菌として最も多いのは肺炎球菌とインフルエンザ菌で、これらの細菌に対してはペニシリン系抗生物質が有効とされています 。しかし、基本的にウイルスが原因となり、ウイルス性に細菌性副鼻腔炎を合併する症例は2%未満と報告されており、多くの場合はウイルス性副鼻腔炎として1ヶ月程度で自然軽快します 。
参考)急性鼻副鼻腔炎・慢性鼻副鼻腔炎

 

細菌感染による副鼻腔炎でも、細菌自体が直接他人にうつることは稀です。ただし、感染した鼻や喉の分泌物を通じて細菌が他人に伝染する可能性は否定できません 。特に家庭内で風邪をひいている人がいる場合には注意が必要です 。
参考)副鼻腔炎

 

副鼻腔炎の感染予防とアレルギー性鼻炎との関係

副鼻腔炎の予防において最も重要なのは、原因となる風邪ウイルスの感染を防ぐことです 。手洗い、うがい、マスクの着用などの基本的な感染対策が効果的とされています 。
参考)副鼻腔炎の原因とは?治療法や放置するリスクを解説 - まつば…

 

特にアレルギー性鼻炎を持つ人は副鼻腔炎を発症しやすいことが知られています 。アレルギー性鼻炎では鼻粘膜が慢性的に腫れており、自然口が詰まりやすい状態となっているためです 。
参考)黄色や緑色の鼻水が長引いたら要注意-こどもの副鼻腔炎(蓄膿症…

 

アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の大きな違いは、原因物質の性質です。アレルギー性鼻炎は花粉やダニなど人体にとって無害な物質に対する過敏反応ですが、副鼻腔炎は細菌やウイルスという有害な病原体による感染症です 。そのため治療方針も大きく異なり、アレルギー性鼻炎では抗アレルギー薬による症状の抑制が中心となる一方、副鼻腔炎では抗生物質による原因菌の除去や鼻洗浄による膿の排出促進が重要となります 。
参考)副鼻腔炎の原因と症状、治療のポイントを解説!池袋ながとも耳鼻…

 

副鼻腔炎の家族間での感染リスクと対策

家族内で風邪をひいた人がいる場合、その風邪ウイルスが他の家族に感染し、結果的に副鼻腔炎を引き起こす可能性があります 。特に子供は免疫力が未熟で鼻腔も狭いため、ウイルス感染から副鼻腔炎に進展しやすいとされています 。
参考)家族を守るための副鼻腔炎予防策

 

家族を副鼻腔炎から守るための具体的な対策としては、まず基本的な感染対策の徹底が重要です。外出から帰宅した際や食事の前後、トイレの後などは必ず石鹸で手を洗い、ウイルスや細菌を除去することが推奨されます 。
室内環境の管理も重要で、適度な湿度を保つことで鼻腔内の粘膜の乾燥を防ぎ、細菌やウイルスの感染リスクを下げることができます 。加湿器を使用する場合は定期的な清掃を行い、空気清浄機の使用によってハウスダストや花粉などのアレルゲンを除去することも効果的です 。
子供がアレルギーを持っている場合は、そのアレルゲンを避けることが特に重要です。アレルギー症状が出ると鼻腔内の炎症が悪化し、副鼻腔炎を引き起こす可能性が高まるためです 。また、家族が風邪をひいた際は早期に適切な治療を行い、副鼻腔炎への進行を防ぐことが大切です 。

副鼻腔炎治療における抗生物質の適切な使用

副鼻腔炎の治療において抗生物質の適切な使用は重要な要素です。急性副鼻腔炎に対しては、殺菌効果が高く副鼻腔によく薬が届くように設計された抗生物質が推奨されます 。一方、慢性副鼻腔炎に対してはマクロライド系抗生物質の少量長期投与が行われます 。
参考)https://www.hidamari-jibika.jp/medical/02/03/index.html

 

マクロライド系抗生物質は殺菌作用は弱いものの、免疫賦活剤として作用し、炎症の調整や水分調節、細菌が産生する物質の抑制など多様な効果を発揮します 。この長期少量持続療法は、特に鼻ポリープのない副鼻腔炎に推奨されています 。
抗生物質治療と並行して、鼻洗浄による副鼻腔内の洗浄も重要な治療法です 。薄めの食塩水による鼻洗浄は鼻粘膜を清潔に保ち、症状の緩和と治癒促進に効果があります 。特に妊婦など使用できない薬剤が多い場合には、鼻洗浄が積極的に推奨されています 。
参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/80.html

 

禁煙も副鼻腔炎の治療と予防において重要な要素です。タバコの煙は鼻粘膜に炎症を引き起こし、副鼻腔炎を起こしやすくし、かつ治りにくくしてしまいます 。電子タバコや副流煙も同様の影響を与えるため、完全な禁煙環境の維持が推奨されます 。