中性脂肪の基準値と脂質異常症の診断基準を解説

中性脂肪の基準値をご存じですか?空腹時150mg/dL以上で脂質異常症と診断され、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まります。年齢や性別で数値はどう変化するのでしょうか?

中性脂肪と基準値

この記事の概要
📊
中性脂肪の基準値

空腹時30~149mg/dLが正常範囲で、150mg/dL以上は脂質異常症と診断されます

⚠️
高値のリスク

動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高めます

💪
改善方法

有酸素運動と食事療法により、効果的に数値を下げることが可能です

中性脂肪の基準値とは

 

中性脂肪の基準値は、空腹時(10時間以上の絶食)で30~149mg/dLとされています。検査機関によっては、下限値を30mg/dL、40mg/dL、または50mg/dLと設定している場合があります。日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、空腹時150mg/dL以上を高トリグリセライド血症と診断します。
参考)中性脂肪

近年、食後の中性脂肪値も重要視されるようになりました。食事時間とは無関係に採血する随時採血(非空腹時)では、175mg/dL以上が診断基準となります。これは、食後の中性脂肪値の上昇が、空腹時の値が正常でも心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが明らかになったためです。
参考)中性脂肪とは?働きや基準値、中性脂肪を減らす方法などを紹介

中性脂肪値は食事によって大きく変動するため、正確な評価には採血のタイミングが重要です。血液検査を受ける際は、空腹時の場合はお水以外の飲食を控え、検査条件を医療従事者に確認することが望ましいでしょう。
参考)コレステロールや中性脂肪が高いと動脈硬化が進行し、狭心症、心…

中性脂肪の脂質異常症診断基準

日本動脈硬化学会による脂質異常症の診断基準では、中性脂肪(トリグリセライド)に関して以下の基準が設定されています。
参考)脂質異常症(高脂血症)|江坂の「いしかわクリニック」

診断基準の詳細:

  • 空腹時(10時間以上の絶食):150mg/dL以上で高トリグリセライド血症
  • 随時採血(非空腹時):175mg/dL以上で高トリグリセライド血症
  • 境界域:空腹時120~149mg/dLは要経過観察

脂質異常症の診断では、LDLコレステロール(140mg/dL以上)、HDLコレステロール(40mg/dL未満)、Non-HDLコレステロール(170mg/dL以上)など、複数の脂質項目を総合的に評価します。中性脂肪が400mg/dL以上の場合や食後採血の場合には、LDLコレステロールの代わりにNon-HDLコレステロールを用いて評価することが推奨されています。​
メタボリックシンドロームの診断では、内臓脂肪の蓄積(男性ウエスト85cm以上、女性90cm以上)に加え、高脂質(中性脂肪150mg/dL以上または低HDL血症40mg/dL未満)が判定項目に含まれます。​

中性脂肪の年齢別・性別による基準値の変化

中性脂肪値は年齢や性別によって平均値が大きく異なります。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、男性は全体平均153.7mg/dLで、30~50歳代が最も高く、30代で171.3mg/dL、40代で178.6mg/dLに達します。男性は30代から中性脂肪値が上昇し始め、60代以降は徐々に低下する傾向があります。
参考)中性脂肪とは? 役割や基準値、平均値についてわかりやすく解説…

女性の全体平均は128.0mg/dLと男性より低く、若年期(20~30代)では97.2~109.1mg/dLと低値を示します。しかし、更年期に入ると変化が生じます。女性ホルモンエストロゲンには中性脂肪を抑制する働きがあるため、閉経後の50代以降は中性脂肪値が上昇し、50代で128.8mg/dL、60代で153.2mg/dLとなります。
参考)中性脂肪の基準値は?女性と男性の違いや、年代ごとの変化につい…

横浜市の調査でも、男性は40~50歳代が140~150mg/dLと高く、女性は50歳代以降に増加することが確認されています。このような年齢・性別による変化を理解することは、個別化された健康管理において重要です。
参考)https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/kenko/default201904121.files/kokuho-kensa-h22-h26.pdf

中性脂肪が高いことによる健康リスク

中性脂肪値の上昇は、さまざまな健康リスクを引き起こします。最も重要なのは動脈硬化の進行です。増加した中性脂肪は、動脈硬化を防ぐHDL(善玉コレステロール)を減少させ、さらにLDL(悪玉コレステロール)を小型化して血管壁に侵入しやすくします。​
LDLコレステロールが80mg/dL未満の人の心筋梗塞発症リスクを1とすると、140mg/dL以上では約4倍にまで上昇することが報告されています。中性脂肪値が高いと血液がドロドロになり、血栓ができやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まります。
参考)血液検査でわかる病気&結果の見方—健康診断・人間ドックでどう…

中性脂肪値が400mg/dL以上になると、急性膵炎のリスクも上昇します。また、肥満、糖尿病脂肪肝などの生活習慣病とも密接に関連しています。さらに、脂質異常症は自覚症状がないため放置されがちですが、長期間の高値状態は確実に血管にダメージを与えます。
参考)名医がコレステロールを下げる方法を伝授

中性脂肪を下げる食事と運動の実践方法

中性脂肪を下げるには、食事療法と運動療法の両方が効果的です。食事面では、過剰なカロリー摂取、特に精製された糖質(白米、パン、麺類)や糖分の過剰摂取が中性脂肪の蓄積につながります。アルコールは肝臓での中性脂肪の分解を阻害するため、飲酒量の制限も重要です。夜遅い食事は身体活動量が少ないため中性脂肪になりやすく、避けるべきです。
参考)健康診断でよく指摘される中性脂肪!下げるには?コレステロール…

運動面では、有酸素運動が特に効果的です。ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどを、息切れせず会話できる程度の強度で行います。週150分以上の有酸素運動を続けることで、中性脂肪が平均で約13~15mg/dL低下することが報告されています。1日30分程度の運動を週4日以上、または1日10~15分の運動を2~3回に分けて行うことが推奨されます。
参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/guide/dyslipidemia/09.html

研究によると、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた複合トレーニングは、脂質代謝の改善により効果的であることが示されています。スロースクワットなどの筋トレは、基礎代謝を高め、長期的な中性脂肪の管理に役立ちます。1日の目標歩数を達成していない人は、達成している人に比べて中性脂肪が異常値である割合が1.59倍高いというデータもあり、日常的な身体活動の増加も重要です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11510197/

中性脂肪の検査方法と測定のタイミング

中性脂肪の測定には、主に酵素法(遊離グリセロール消去法)が用いられます。血中の中性脂肪は蛋白と結合してリポ蛋白として存在し、食事由来の外因性中性脂肪(カイロミクロン)と肝臓で合成される内因性中性脂肪(VLDL:超低比重リポ蛋白)に分類されます。
参考)中性脂肪(TG)|臨床検査項目の検索結果|臨床検査案内|株式…

測定のタイミングは結果に大きく影響します。基準値(30~149mg/dL)は空腹時採血を前提としており、10時間以上の絶食が推奨されます。健康診断では通常、前日の夜9時以降の絶食が求められます。水やお茶などカロリーのない水分は摂取可能ですが、食事やコーヒーは避ける必要があります。​
近年、簡便な測定方法として「ゆびさきセルフ測定室」が薬局に設置されています。指先からわずかな血液を採取し、約5分で中性脂肪やその他の脂質値、血糖値などが測定できます。注射器を使わず、専用の小さな針で自己採血を行い、薬剤師が結果を説明してくれるため、健康診断の間に定期的に数値を確認したい場合や、治療効果をモニタリングしたい場合に活用できます。測定項目や料金は薬局によって異なるため、事前の確認が推奨されます。
参考)薬局で中性脂肪を測定できます。約5分で結果がわかります。|中…

 

 


カロバーンEX 30日分 肥満気味の方の体重 体脂肪の減少を助ける 血中中性脂肪 内臓脂肪 ウエスト周囲径 の減少をサポート 高めの BMI値 の改善に役立つ 機能性表示食品 αリポ酸 業界屈指23種のサポート成分贅沢配合 悩み解決ラボ