急性膵炎の症状、治療方法と診断、ケア

急性膵炎と診断されたら、どのような症状が現れ、どのような治療方法が選択されるのでしょうか?この記事では、急性膵炎の症状から診断、治療、そして日々のケアまでを網羅的に解説します。ぜひ読み進めて、急性膵炎に対する理解を深めていきましょう。

急性膵炎の症状と治療方法

急性膵炎の概要
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急性膵炎とは?

膵臓に急激な炎症が起こる病気で、重症化すると命に関わることもあります。

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主な症状

激しい腹痛、吐き気、嘔吐などが一般的です。

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治療の基本

絶飲食による膵臓の安静、輸液、鎮痛剤投与が中心となります。

急性膵炎の症状と診断基準のポイント

急性膵炎の診断には、特徴的な症状と検査結果が重要になります[11]。主な症状としては、上腹部の激しい痛みがあり、吐き気や嘔吐を伴うことが多いです[9][13]. 痛みの程度は、軽度から耐え難いほどの激痛まで様々です。

 

診断基準としては、以下の3つのうち2つ以上を満たす必要があります:

  1. 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある
  2. 血中、尿中、あるいは腹水中に膵酵素の上昇がある
  3. 画像検査(腹部CT検査や腹部超音波検査)で膵臓に急性炎症に伴う異常がある

これらの基準に加え、他の膵臓疾患や急性腹症を除外することが重要です。急性膵炎は、症状が時間とともに変化するため、早期に重症度を判断し、適切な治療を選択することが求められます.

重症度別の治療方法と看護ケア

急性膵炎の治療は、重症度に応じて異なります[9][12]. 軽症の場合は、絶飲食と十分な輸液投与が基本となります[13]. 痛みに対しては鎮痛薬を使用し、膵臓を安静に保つことが重要です[9].
重症の場合、集中治療が必要となることがあります. 膵臓の炎症が全身に波及し、腎臓や呼吸器などの多臓器不全を引き起こすことがあるためです. そのため、呼吸・循環モニタリングを行いながら、初期輸液や鎮痛薬、蛋白分解酵素阻害薬などを投与します. 感染を防ぐために、抗生物質が使用されることもあります.
看護ケアとしては、患者さんの状態を注意深く観察し、症状の変化に迅速に対応することが重要です. 痛みの緩和や精神的なサポートも、患者さんの回復を助ける上で欠かせません.

あまり知られていない合併症と予防策

急性膵炎は、時に門脈血栓症という合併症を引き起こすことがあります[3]. これは、膵臓の炎症が血管に影響を与え、血栓ができてしまう状態です。小児の急性膵炎の症例でも報告されており、注意が必要です[3].
予防策としては、急性膵炎の原因となる飲酒を控えることが重要です。また、胆石が原因となる場合は、胆石の治療を検討する必要があります。日頃からバランスの取れた食生活を心がけ、適度な運動を行うことも、膵臓の健康を保つ上で大切です。

 

急性膵炎の治療方針について
慶應義塾大学病院の医療・健康情報サイト。急性膵炎の段階に応じた治療について解説。

 

急性膵炎後の生活:再発防止のために

急性膵炎を経験された方は、再発防止のために生活習慣を見直すことが重要です。まず、アルコールの摂取は完全に控えるべきです。喫煙も膵臓に悪影響を与えるため、禁煙を推奨します。

 

食生活では、高脂肪食を避け、消化の良い食事を心がけましょう。一度に大量の食事を摂るのではなく、少量ずつ回数を分けることも有効です。また、十分な水分補給も重要です。

 

定期的な検査も欠かせません。血液検査や画像検査を通じて、膵臓の状態をチェックし、再発の兆候を早期に発見することが大切です。医師や栄養士と相談しながら、ご自身の状態に合わせた生活習慣を確立しましょう。

 

MSDマニュアル家庭版の急性膵炎の治療に関する情報
MSDマニュアル家庭版。急性膵炎の治療に関する一般的な情報を提供。