ベトノバールg軟膏の最も注意すべき重大な副作用として、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障が挙げられます。これらの副作用は頻度不明とされていますが、重篤な結果をもたらす可能性があるため十分な注意が必要です。
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進や緑内障を起こすことがあります。また、大量または長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障や後嚢白内障等があらわれることがあります。
眼圧亢進・緑内障の症状:
後嚢白内障の場合は、視力の低下や見え方の異常が生じることがあります。これらの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し医師の診療を受ける必要があります。
医療従事者は、特に眼瞼周囲への使用時には、患者に対して眼科的な症状の有無について定期的に確認することが重要です。また、使用前に緑内障の既往歴についても十分に確認する必要があります。
ベトノバールg軟膏のその他の副作用として、皮膚感染症が重要な位置を占めています。特に、ゲンタマイシン耐性菌または非感性菌による感染症、真菌症(カンジダ症、白癬等)、ウイルス感染症などが報告されています。
感染症の種類と特徴:
ステロイド成分により局所免疫が抑制されることで、これらの感染症が発症または悪化しやすくなります。特に湿潤な部位や密閉性の高い部位では、真菌の増殖が促進される可能性があります。
医療従事者は、使用前に感染の有無を十分に評価し、使用中も感染症の兆候について継続的な観察を行う必要があります。感染症が疑われる場合は、適切な抗菌薬や抗真菌薬による治療を優先し、本剤の使用を一時中止することが重要です。
ベトノバールg軟膏使用により生じるその他の副作用として、接触性皮膚炎、発疹、皮膚刺激感などの皮膚症状があります。これらは比較的頻度の高い副作用として位置づけられています。
主な皮膚症状:
これらの症状は、薬剤に対する過敏反応または刺激反応として生じることがあります。特に敏感肌の患者や、長期使用している患者で発現しやすい傾向があります。
添付文書では、感作されるおそれがあるため観察を十分に行い、感作されたことを示す兆候(そう痒、発赤、腫脹、丘疹、小水疱等)があらわれた場合には使用を中止することが記載されています。
医療従事者は、初回使用時から皮膚の状態を注意深く観察し、患者には異常な症状が現れた場合は速やかに報告するよう指導することが重要です。
長期使用に伴う特徴的な副作用として、酒さ様皮膚炎、ざ瘡様発疹、ステロイド皮膚などが報告されています。これらは外用ステロイドの長期使用に特有の副作用として知られています。
長期使用による皮膚変化:
これらの副作用は、ステロイドの長期使用により皮膚の構造や機能が変化することで生じます。特に顔面や頸部など皮膚の薄い部位で発現しやすい傾向があります。
KEGG医薬品データベース - ベトノバールG軟膏の詳細な副作用情報
医療従事者は、長期使用が予想される患者に対しては、定期的な皮膚状態の評価を行い、必要に応じて薬剤の変更や休薬期間の導入を検討する必要があります。
近年の添付文書改訂により、中心性漿液性網脈絡膜症が副作用として追加されました。これは比較的まれな副作用ですが、視力に影響を与える重要な副作用として位置づけられています。
中心性漿液性網脈絡膜症は、網膜の中心部(黄斑部)に液体が貯留することで生じる疾患です。ステロイドの全身投与だけでなく、外用剤でも報告されるようになった注目すべき副作用です。
中心性漿液性網脈絡膜症の症状:
この副作用は、全身への薬剤吸収により生じると考えられており、大量使用や広範囲使用、長期使用で発現リスクが高まります。
医療従事者は、視覚症状を訴える患者に対しては、眼科受診を勧め、必要に応じて本剤の使用中止を検討する必要があります。特に既に眼科疾患を有する患者では、より慎重な経過観察が必要です。