シタグリプチン(DPP-4阻害薬)の後発品承認は、2023年8月15日に日本で初めて実現されました。この承認は、DPP-4阻害薬カテゴリーにおける初の後発品参入として医療関係者から注目を集めています。
参考)https://nk.jiho.jp/article/183144
承認を取得したのは、メディサ新薬(サワイグループホールディングス子会社)の「シタグリプチン錠サワイ」で、単独での承認という珍しい形となりました。通常、後発品の承認では複数社が同時期に参入することが多いため、この単独承認は業界内で話題となっています。
参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=77563
📊 承認状況の特徴
シタグリプチンは、先発品のジャヌビア錠(MSD)とグラクティブ錠(小野薬品工業)として2009年12月から発売されており、約14年間先発品のみが市場を占有してきました。
参考)https://dm-rg.net/news/2011/05/010979.html
シタグリプチン後発品の薬価収載は、当初2023年12月の追補収載が予定されていましたが、特許侵害訴訟の影響により延期されています。現在は2025年6月の薬価収載が予定されており、この時期から実際の発売が開始される見込みです。
参考)https://asuyaku.jp/column-penguin_vol52/
薬価収載スケジュールの変遷
2025年2月には、第一三共エスファもシタグリプチンの後発品承認を取得しており、6月の薬価収載時には複数社からの後発品が市場投入される可能性があります。
参考)https://nk.jiho.jp/article/196763
💡 薬価設定の見込み
先発品であるジャヌビア錠の薬価は以下の通りです:
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG00118
後発品の薬価は、先発品の約40-60%に設定されることが一般的であり、シタグリプチン後発品も同様の水準になると予想されます。
シタグリプチン後発品を巡っては、2023年10月26日にMSDがメディサ新薬を相手取り特許侵害訴訟を提起しました。この訴訟は、物質特許が主要な争点となっており、後発品の市場投入タイミングに重大な影響を与えています。
参考)https://www.jga.gr.jp/information/jga-news/2023/187/01.html
⚖️ 訴訟の主要争点
この特許訴訟により、当初2023年12月予定だった薬価収載が延期され、現在は2025年6月の収載を目指している状況です。業界関係者は、この訴訟の結果が他のDPP-4阻害薬の後発品開発にも影響を与える可能性があると注視しています。
訴訟による市場への影響
興味深いことに、業界専門家は、メディサ新薬が「特許の盲点を突いた」可能性を指摘しており、この事案が今後の後発品開発戦略に新たな視点を提供する可能性があります。
シタグリプチン後発品の医療現場での使い分けについて、従来の先発品と同等の効果を期待できる一方で、医療従事者が考慮すべき要素があります。
🏥 医療現場での選択基準
適応となる患者背景。
シタグリプチンは、食事療法・運動療法のみでは不十分な2型糖尿病患者に適応があり、以下の薬剤との併用が認可されています:
後発品使用時の注意点。
シタグリプチン後発品市場は、現在までに承認を取得した企業が限定的であることから、独特の競争環境を形成しています。通常の後発品市場とは異なる特徴を示しており、医療従事者にとって処方選択の新たな考慮要素となっています。
💼 市場参入企業の現状
2025年9月現在、シタグリプチン後発品の承認を取得している企業は以下の通りです。
この限定的な参入状況は、以下の要因によるものと考えられます。
参入障壁の要因。
🔍 価格競争の予測
通常、後発品の薬価は先発品の約40-60%に設定されますが、シタグリプチン後発品では以下の特殊要因が価格形成に影響を与える可能性があります。
医療経済への影響予測。
先発品のジャヌビア錠・グラクティブ錠は、DPP-4阻害薬市場で大きなシェアを占めており、後発品の本格参入により市場構造の大幅な変化が予想されます。特に、糖尿病患者数の増加傾向を考慮すると、後発品による医療費削減効果は社会的にも重要な意味を持ちます。