サルグマリン吸入用250μgは、2024年3月に承認された遺伝子組換えヒトGM-CSF製剤です。添付文書に記載された効能又は効果は「自己免疫性肺胞蛋白症」に限定されており、これは国内外で初めて承認された同疾患に対する専用治療薬となります。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00071380
作用機序について
参考)https://www.qlife.jp/meds/rx51897.html
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071380.pdf
参考)http://www.kumagaya-ph.or.jp/renkei/column/240729Sargmalin.pdf
薬理学的特性
サルグラモスチムは127個のアミノ酸残基からなる糖タンパク質で、分子量約17,000の生物学的製剤です。カニクイザルを用いた実験では、5、10及び20 pmol/Lの濃度範囲で濃度依存的な肺胞マクロファージの生存率向上及び増殖が確認されました。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20240329002/620095000_30600AMX00117_A100_1.pdf
添付文書に記載された標準的な用法用量は以下の通りです。
基本投与方法
参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/02/2290706G1023?user=1
投与時の重要な注意事項
参考)https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/620095_2290706G1023_1_00G.pdf
投与量の根拠
本剤は1回の投与で125μgを吸入できるように過量充填されており、これにより安定した薬物動態を確保しています。国内臨床試験では、プラセボ群12.9%(4/31例)に対し、実薬群9.1%(3/33例)の副作用発現率という良好な安全性プロファイルが示されました。
報告された副作用(2%未満)
添付文書に記載されている主な副作用は以下の通りです:
重要な潜在的リスク
リスク管理計画(RMP)では、以下が重要な潜在的リスクとして設定されています:
参考)https://www.pmda.go.jp/RMP/www/620095/6794d912-df2c-416f-a634-cfe7168fd7dc/620095_2290706G1023_004RMP.pdf
長期安全性データ
42週間の全期間で本剤が投与された患者において、副作用は8.3%(5/60例)に7件認められました。認められた副作用は口の感覚鈍麻、赤血球増加症、咳嗽、発声障害、頭痛、尿中血陽性、白血球数増加(各1例)でした。
安全性監視活動
製造販売後には一般使用成績調査が実施されており、臨床試験での使用経験が限定的であることから、使用実態下における副作用の発現状況を継続的に把握する体制が整備されています。
絶対禁忌
添付文書では、本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者への投与が禁忌とされています。これは生物学的製剤特有の重要な安全性上の配慮です。
特に注意が必要な患者
以下の患者では慎重な投与が求められます:
妊娠・授乳に関する注意
添付文書では妊娠中の投与に関して明確な禁忌は設定されていませんが、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。授乳中の女性についても同様の配慮が必要です。
投与前の確認事項
過敏症が発現しないかを予測するため、過去のアレルギー反応や薬剤での過敏症の経験について詳細な確認が推奨されています。これにより、重篤な副作用の予防に努めることができます。
保管条件の重要性
添付文書では厳格な保管条件が定められています:
参考)https://qa.nobelpark.jp/nobelfaq2/hcp/web/knowledge21245.html
溶解後の取扱い
本剤を溶解した後の薬液管理も重要なポイントです。
薬価と経済性
サルグマリン吸入用250μgの薬価は42,359.1円/瓶に設定されており、希少疾病用医薬品としての価値を反映した設定となっています。これは医療経済の観点からも重要な情報です。
廃棄時の注意
使用後の薬剤は適切に廃棄する必要があり、処分方法について薬局や医療機関への相談が推奨されています。生物由来製品としての特性を考慮した適切な廃棄手順の遵守が求められます。
この製剤は生物由来製品かつ処方箋医薬品として厳格に管理されており、医療従事者による適切な監督のもとでの使用が必須となっています。