ロキタマイシンの後発品(ジェネリック)は現在市場に存在せず、リカマイシンだけが唯一の選択肢です。
ロキタマイシンの商品名は「リカマイシン(Ricamycin)」で、製造販売元は旭化成ファーマです。 市場に出回っている製剤は「リカマイシン錠100mg」と「リカマイシンドライシロップ200」の2種類に限られます。 つまり後発品(ジェネリック)は存在しません。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
他のマクロライド系抗菌薬、たとえばクラリスロマイシン(クラリス錠)やロキシスロマイシン(ルリッド錠)には多数の後発品が存在します。 ロキタマイシンにはそれがないという事実は、薬剤師・医師ともに意識しておく必要があります。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D01710)
後発品がないということは、薬価交渉の余地がないということです。コスト面では不利になる場面があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ロキタマイシン(Rokitamycin) |
| 略号 | RKM |
| 商品名(先発品) | リカマイシン錠100mg・リカマイシンドライシロップ200 |
| 製造販売元 | 旭化成ファーマ |
| 後発品(ジェネリック) | なし |
| 発売年 | 1986年(昭和61年) |
| 系統 | 16員環マクロライド系抗菌薬 |
これだけ覚えておけばOKです。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
マクロライド系抗菌薬は14員環・15員環・16員環に大別されます。 ロキタマイシンは16員環に属し、同じ系列には、ジョサマイシン(ジョサマイ錠)やミデカマイシン(メデマイシン錠)などがあります。16員環マクロライドの最大の特徴は「耐性誘導能がほぼない」点です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
14員環(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)や15員環(アジスロマイシン)は、MLS(マクロライド・リンコマイシン・ストレプトグラミン)耐性を誘導しやすいとされています。 一方、ロキタマイシンを含む16員環マクロライドは、この耐性誘導のリスクが低い点が臨床上のメリットです。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
耐性誘導能が低い、という点は見落とされがちです。
また、ロキタマイシンはロイコマイシンA5の化学修飾体であり、1979年に初めて合成されました。 プロパン酸を脱水縮合させることで消化管からの吸収性を改善した半合成抗菌薬です。 クラリスロマイシンやアジスロマイシンと同様に「経口投与で吸収される」マクロライドの一員ということです。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
標準的な用法は成人で1日600mg(力価)を3回に分服です。 1回200mgを1日3回というシンプルな設定です。クラリスロマイシンが1日2回、アジスロマイシンが1日1回と比べると、服薬回数が多い点がアドヒアランスの課題になります。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
1日3回、服薬忘れが起きやすい点です。
小児への投与は、未熟児・新生児を含めて1日20〜30mg(力価)/kgを3回に分服とされています。 ドライシロップ200の剤形があるため、嚥下が困難な小児や高齢者への対応が可能です。承認されている主な有効菌種は以下のとおりです。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
- ブドウ球菌属
- レンサ球菌属
- 肺炎球菌
- カンピロバクター属
- ペプトストレプトコッカス属(嫌気性)
- バクテロイデス属(嫌気性)
- クラミジア属
- マイコプラズマ属
嫌気性菌(バクテロイデス属、ペプトストレプトコッカス属)が適応に含まれている点は、他の14員環・15員環マクロライドとの大きな差別化ポイントです。 これは16員環マクロライドの嫌気性菌への抗菌力の高さを反映しています。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
副作用の頻度としては、肝障害・消化器障害・過敏症が0.1〜5%未満のカテゴリに入ります。 ショック、腎障害、血液障害、偽膜性大腸炎の報告はこれまでにない、とされています。比較的安全プロファイルが良好な抗菌薬です。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
ただし、重要な服用上の注意が1点あります。酸性飲料(オレンジジュース等)で服用すると苦味が発現するため、避けるよう患者指導が必要です。 これは薬局窓口で特に見落とされやすいポイントです。 shirasagi-hp.or(https://www.shirasagi-hp.or.jp/goda/fmly/pdf/files/1709.pdf)
苦味の問題は患者アドヒアランスに直結します。
肝機能障害患者では体内貯留が延長するおそれがあるため、適宜減量などの注意が必要です。 排泄経路は腎臓が約25%、肝臓が約75%です。 腎機能障害よりも肝機能障害患者での注意が優先されるという点は、クレアチニン値ばかりを確認しがちな現場では特に意識しておく必要があります。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
禁忌は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」のみで、相互作用の注意事項は比較的少ない抗菌薬でもあります。 クラリスロマイシンやロキシスロマイシンのようにテオフィリンやワルファリンとの相互作用が問題になることはありません。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062936)
参考:ロキシスロマイシンの薬物相互作用(テオフィリン・ワルファリンとの相互作用が明記されており、ロキタマイシンとの違いを理解するための比較資料として有用)
KEGG MEDICUS:ロキシスロマイシン(ルリッド)の添付文書情報
ロキタマイシンの作用機序は、他のマクロライドと同様に細菌の70Sリボゾームの50Sサブユニットに強く結合し、タンパク質合成を阻害することです。 最小発育阻止濃度(MIC)を超えた場合に静菌的に作用し、濃度が下がれば細菌は再増殖を始めます。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
この静菌作用の性質から、適切な量を適切な間隔で投与し続けることが重要です。 宿主側の免疫機能(白血球・補体)との協調が治療成功のカギになります。これがドライシロップ製剤の場合、小児の体重管理と服薬間隔管理の両方が必要になることを意味します。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3)
食細胞内に多量に移行するという特性が重要です。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
ロキタマイシンは食細胞(好中球・マクロファージ)内に高濃度で移行し、生体防御機能と相乗的に抗菌効果を発揮します。 これは他の多くの抗菌薬が細胞外で抗菌活性を示すのに対し、細胞内感染巣にもアクセスできるという優位性を意味します。クラミジアやマイコプラズマが適応菌種に含まれることと、この特性は整合しています。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
血中半減期は127分(経口投与後)で、tmax(最大血中濃度到達時間)は投与後30分です。 半減期が2時間強であることが、1日3回投与の根拠になっています。 antibiotic-books(http://www.antibiotic-books.jp/drugs/83?s=3)
参考:ロキタマイシンの抗菌薬情報(先発品名・用量・有効菌種・副作用・臓器移行性を詳細に確認できる)
参考:Wikipedia ロキタマイシン(化学構造・合成経緯・関連薬物を確認できる)