ロチゴチンを使っている患者さんが、あなたの知らないところで多額の借金を抱えているかもしれません。

ロチゴチン(商品名:ニュープロパッチ)は、ドパミン受容体作動薬(非麦角系)として、パーキンソン病およびレストレスレッグス症候群(RLS)の治療に用いられます。国内臨床試験のデータでは、副作用発現頻度は投与患者の77.8〜85.3%に達しており、大多数の患者で何らかの副作用が観察されています。
関連)https://www.carenet.com/drugs/category/antiparkinsonian/1169700S4024
頻度が高い副作用は以下の通りです。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070476
副作用の多くは用量依存性です。 増量ペースを守ることが基本です。
重大な副作用として添付文書に明記されているのは、「突発的睡眠」「幻覚・妄想・せん妄」「悪性症候群」の3つです。 これらは頻度こそ低いものの、発現した際の影響が大きいため、医療従事者による丁寧な観察が不可欠です。
関連)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000001096/
KEGGメディクス:ニュープロパッチ添付文書情報 — 副作用の頻度別詳細分類が確認できます
突発的睡眠とは、前兆なく突然眠り込む状態を指します。 発現頻度は1%未満とされていますが、1%は「100人に1人」という計算です。外来で50人のパーキンソン病患者を担当すれば、統計上0.5人が該当しうる数字であり、決して他人事ではありません。
関連)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%81%E3%82%B4%E3%83%81%E3%83%B3
海外では、非麦角系ドパミンアゴニストによる突発的睡眠が自動車運転中の事故と結びついた例が報告されており、日本神経学会のガイドラインでも注意喚起されています。
関連)https://plaza.umin.ac.jp/neuro2/parkinson.pdf
これは厳しいところですね。
医療従事者が実践すべき対応は次の通りです。
日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライン2018 — ドパミンアゴニストの副作用管理の指針(PDF)
重要な点が一つあります。
ロチゴチンは他のドパミンアゴニスト(プラミペキソール、ロピニロール)に比べて、衝動制御障害の頻度が少ないとされています。 これは、ロチゴチンのドパミンD3受容体への選択性の違いが一因と考えられています。とはいえ、「少ない=ゼロではない」という認識は忘れてはなりません。
関連)https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdgl/parkinson_2018_10.pdf
患者が問題に気づきにくい点が、この副作用の最大のリスクです。 本人は「好きなことをしているだけ」と感じており、家族からの申告で初めて発覚するケースも少なくありません。
問診のポイントは以下の3点です。
貼付部位の皮膚反応は、ロチゴチン使用患者の40〜67%に発現する、最も頻度の高い副作用です。 主症状はかゆみ・発赤・腫れであり、多くは軽度ですが、貼付部位を固定して使い続けると接触性皮膚炎に移行するリスクがあります。
関連)https://www.carenet.com/drugs/category/antiparkinsonian/1169700S4024
貼付部位として承認されているのは、肩・上腕部・腹部・側腹部・臀部・大腿部の6ヶ所です。 背中は承認された貼付部位に含まれていないため、患者から「背中に貼ってもいいか」と質問された場合は、承認外であることを明確に伝える必要があります。
関連)https://www.otsuka-elibrary.jp/support/dlc/pdf/10265.pdf
実践的な管理のポイントをまとめます。
突然中止は禁止です。 段階的な減量が原則です。
くすりのしおり(ニュープロパッチ)— 患者への説明に使える平易な副作用解説
ロチゴチンの副作用として見落とされやすいのが、薬剤離脱症候群です。 急な中断や急速な減量を行った際に、無感情・不安・うつ・疲労感・発汗・疼痛などの症状が出現します。 これらは、一見すると原疾患(パーキンソン病やうつ病)の悪化と間違えやすく、見逃されることがあります。
関連)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070476
つまり、「副作用があるから急に止めた」という判断が、新たな重篤な副作用を生む可能性があるということです。 意外ですね。
離脱症候群を予防するための対応手順は以下の通りです。
1. 中止が必要な場合は、少なくとも1週間以上かけて段階的に減量する
2. 減量・中止後2〜4週間は患者の精神症状・身体症状を定期的にモニタリングする
3. 患者・家族に「自己判断での貼り忘れや中止をしないよう」事前に書面で説明しておく
また、悪性症候群は発熱・意識障害・高度の筋硬直・頻脈・血圧変動などを特徴とし、頻度はまれでも致死的になる場合があります。 特に他の薬剤との相互作用(抗精神病薬など)でリスクが高まるため、併用薬の確認は欠かせません。
関連)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000001096/
以下のポイントを1つだけ覚えておけばOKです。
「ロチゴチンの中止は必ず段階的に、かつ中止後も症状観察を続ける」
PMDA(医薬品医療機器総合機構):ロチゴチン使用上の注意改訂について — 離脱症候群に関する改訂経緯が確認できます
【第2類医薬品】命の母A 840錠