ゼヴァリンイットリウム添付文書で知る効果効能と副作用

医療従事者が知っておくべきゼヴァリンイットリウム添付文書の重要情報。効能効果から投与方法、副作用、禁忌事項まで詳細に解説します。放射免疫療法の基礎知識も習得できるでしょうか?

ゼヴァリンイットリウム添付文書の詳細解説

ゼヴァリンイットリウムの基本情報
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効能・効果

CD20陽性の再発又は難治性低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫・マントル細胞リンパ腫治療

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投与方法

リツキシマブ点滴後、14.8MBq/kg(最大1184MBq)を10分間で静脈内投与

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放射免疫療法

イットリウム90のβ線により腫瘍細胞を直接的・間接的に破壊する治療法

ゼヴァリンイットリウム添付文書の基本情報と薬剤概要

ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セットは、CD20陽性の再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫とマントル細胞リンパ腫を対象とした放射免疫療法薬です。添付文書では、本剤はイットリウム(90Y)イブリツモマブチウキセタン注射液を標識調製するためのキットとして提供されることが記載されています。
参考)https://www.pdradiopharma.com/products/1052/

 

薬剤の特徴として、β線を放出する放射性同位元素イットリウム(90Y)を抗CD20モノクローナル抗体イブリツモマブチウキセタンに結合させた構造を持ちます。β線の最大飛程は11mm(平均約5mm)であり、標的となる腫瘍細胞だけでなく、周辺の腫瘍細胞にも照射効果を及ぼすことができます。これにより、血管分布の少ない腫瘍や大きな腫瘍に対しても治療効果を発揮します。
参考)https://www.com-info.org/medical.php?ima_20170718_osaka

 

添付文書に記載された薬価は1セット当たり2,652,994円と高額であり、限られた医療機関でのみ使用される専門的な治療薬であることが分かります。
参考)https://medpeer.jp/drug/d953

 

ゼヴァリンイットリウム添付文書に記載された効能効果と適応疾患

添付文書における効能・効果は、「CD20陽性の再発又は難治性の下記疾患:低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫」と明確に定義されています。この適応は、CD20抗原を発現する悪性リンパ腫細胞に特異的に結合する抗体の特性を活用したものです。
参考)https://www.carenet.com/drugs/category/antineoplastics/4291414G1020

 

国内第Ⅱ相試験では、対象患者における治療効果が検証されており、安全性評価症例55例中53例に副作用が認められたものの、有効性が確認されています。従来の抗癌剤と異なり、ゼヴァリンは1回の投与のみで効果を発揮する特徴があります。
添付文書では、本剤使用前にゼヴァリンインジウム(111In)を用いた生体内分布の確認が必要とされており、適格性診断が治療の前提条件として記載されています。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2008/P200800007/63000400_22000AMX00027_B106_2.pdf

 

放射免疫療法としての独自性は、抗体による標的特異性と放射線による細胞殺傷効果を組み合わせた点にあります。CD20抗原が発現していない腫瘍細胞に対しても、β線の飛程効果により治療効果を期待できることが添付文書に記載されています。

ゼヴァリンイットリウム添付文書における投与方法と用法用量

添付文書に記載された標準的な投与スケジュールは、複数回の投与を組み合わせた慎重なプロトコルとなっています。
参考)https://hokuto.app/medicine/QRYLf5BAQHQezRMWcVtw

 

1日目の投与プロトコル:

  • リツキシマブ(遺伝子組換え)250mg/m²を点滴静注
  • 点滴終了後4時間以内に、インジウム(111In)イブリツモマブチウキセタン130MBqを10分間で静脈内投与

3~4日目の評価:

  • インジウム投与の48~72時間後にガンマカメラによる撮像を実施
  • イットリウム(90Y)投与の適切性を確認

7~9日目の治療投与:

  • 再度リツキシマブ250mg/m²を点滴静注
  • 点滴終了後4時間以内に、イットリウム(90Y)イブリツモマブチウキセタン14.8MBq/kg(最大1184MBq)を10分間で静脈内投与

用量調整に関して、投与前血小板数が100,000/mm³以上150,000/mm³未満の患者では、イットリウム(90Y)の投与量を11.1MBq/kgに減量することが添付文書に明記されています。
参考)https://meds.qlifepro.com/detail/4291414G1020/%E3%82%BC%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%83%B3+%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%EF%BC%88%EF%BC%99%EF%BC%90%EF%BC%B9%EF%BC%89%E9%9D%99%E6%B3%A8%E7%94%A8%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88

 

ゼヴァリンイットリウム添付文書に記載された副作用と安全性情報

添付文書では、国内臨床試験における詳細な副作用データが提示されています。安全性評価症例55例中53例(96.4%)に副作用が認められ、その内容は多岐にわたります。
主要な副作用(発現頻度順):

  • 倦怠感:13例(23.6%)
  • 頭痛:11例(20.0%)
  • 便秘、口内炎、発熱:各10例(18.2%)
  • 悪心:9例(16.4%)
  • 下痢、食欲不振:各7例(12.7%)

重要な臨床検査値異常:

  • リンパ球数減少、好中球数減少、血小板数減少、白血球数減少:各47例(85.5%)
  • ヘモグロビン減少:38例(69.1%)
  • ヘマトクリット減少:37例(67.3%)

血液毒性が最も頻繁に観察される副作用であり、造血機能への影響が治療の重要な懸念事項として添付文書に記載されています。その他の副作用として、消化器症状、精神神経系症状、呼吸器症状などが系統別に分類されて記載されています。
添付文書では、高齢者では生理機能が低下しているため、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与することが求められています。
参考)https://www.pdradiopharma.com/wpeptip/wp-content/uploads/2022/04/therapeutic01.pdf

 

ゼヴァリンイットリウム添付文書の禁忌事項と使用上の注意

添付文書における禁忌事項は、患者の安全性を確保するための重要な基準として明確に定められています。
禁忌対象患者:

  • 本品の成分に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者
  • マウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者
  • リツキシマブ(遺伝子組換え)に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者

重要な使用上の注意:
添付文書では、本剤の使用は「緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療及び放射線治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで」実施することが警告として記載されています。
異常な生体内分布が認められた患者には本品を用いた治療は行わないことが厳格に定められており、インジウム(111In)による事前の分布確認が必須要件となっています。
治療開始前には、患者または家族に有効性と危険性を十分に説明し、同意を得ることが義務付けられています。これは放射性物質を含む医薬品の特性を考慮した重要な安全対策です。
添付文書には、リツキサン注およびゼヴァリンインジウム(111In)静注用セットの添付文書も併せて熟読することが記載されており、関連薬剤との相互作用や併用時の注意事項の理解が求められています。