ウロナーゼの効果と副作用を徹底解説し安全性や注意点を解明

ウロナーゼ（一般名：ウロキナーゼ）は線維素溶解酵素剤に分類される血栓溶解薬。主な作用は血栓の溶解であり、急性心筋梗塞、脳血栓症、肺塞栓症、深部静脈血栓症などの重篤な血栓性疾患の治療に用いられる[1][2]。
急性心筋梗塞では、発症後6時間以内の冠動脈血栓溶解に高い有効率（約64.5%）が報告されている[3]。
末梢動脈・静脈閉塞症、人工透析シャント閉塞、脳血栓症にも適応がある。

• 血栓溶解作用により、血流の再開通を促進
• 血栓性疾患の急性期治療に有効

最も重大な副作用は出血性合併症。血栓溶解作用により全身性の出血傾向が生じやすく、特に脳出血や消化管出血など重篤な出血が懸念される[1][2]。

• 出血部位：皮下出血、消化管出血、脳出血、カテーテル挿入部出血、血尿、歯肉出血など[4][5][1][2]
• 頻度：投与期間中で1.8～2.5％程度[4][5][3]
• 重症度：皮下出血は軽度、消化管・脳出血は中等度～重度

血液凝固阻止薬や血小板凝集抑制薬、他の血栓溶解剤との併用で出血リスクが増大するため、投与中は血液検査や臨床症状の頻回な観察が必須[4][5][2]。

ウロナーゼはタンパク質製剤であり、アレルギー反応（発疹、蕁麻疹、アナフィラキシーショック）が発現することがある[1][2]。

• 過敏症：発疹（0.1％未満）、蕁麻疹（頻度不明）
• その他：発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、血圧低下、不整脈など[5][1][2]
• 消化器症状：悪心、嘔吐、食欲不振（0.1％未満～1.7％）[5][3][2]

初回投与時は特に注意深い観察が必要。発熱は比較的頻度が高く、通常は軽度～中等度で経過するが、持続や高熱の場合は投与中止を検討[1][2]。

ウロナーゼは主に腎臓で代謝されるため、腎機能障害のある患者では薬剤の蓄積による副作用リスクが高まる[1]。

• 腎機能障害度に応じて投与量調整が必要（軽度：75％、中等度：50％、重度：原則禁忌）
• 肝機能障害：AST・ALT上昇が0.1％未満で報告

腎機能障害患者では、出血リスクやその他副作用の発現率が高まるため、慎重な投与管理が求められる[1][2]。

実臨床では、ウロナーゼの適応疾患の選択や投与タイミングが治療成績に大きく影響する。

• 脳血栓症治療では、発症5日以内かつCTで出血が認められない症例に限定
• 高齢者や出血性疾患既往例では、特に副作用リスクが高い
• アプロチニン製剤との併用でウロナーゼの効果が減弱するため、併用禁忌[4][5][2]

意外な知見として、ウロナーゼは人工透析シャント閉塞の再開通にも有効であり、適応外使用例も報告されている。
また、ウロナーゼ投与中の発熱や倦怠感は軽視されがちだが、感染症や重篤な副作用の前兆となる場合があるため、慎重な経過観察が必要。