高齢者が「胆管炎らしい症状」を訴えないまま重症化するケースは、臨床現場では珍しくありません。
関連)https://igakukotohajime.com/2024/10/29/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%83%86%E7%AE%A1%E7%82%8E-cholangitis/
急性胆管炎の典型的な症状は「シャルコーの3徴」と呼ばれる発熱、黄疸、右上腹部痛です。 さらに重症化すると意識障害と血圧低下(ショック)が加わり、これを「レイノルズの5徴」と呼びます。
関連)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%86%E7%AE%A1%E7%82%8E
しかし、高齢者ではこのセットが揃わないことが非常に多い点が問題です。
一般的な症状の現れ方は以下のとおりです。
関連)https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/search/term/202
関連)https://igakukotohajime.com/2024/10/29/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%83%86%E7%AE%A1%E7%82%8E-cholangitis/
関連)https://igakukotohajime.com/2024/10/29/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%83%86%E7%AE%A1%E7%82%8E-cholangitis/
「高齢者は症状が出にくい」が基本です。
関連)https://medical.itp.ne.jp/byouki/180612000/
日本大学板橋病院の資料でも、発熱・黄疸・右上腹部痛・灰白色便の4症状を列挙しつつ、症状の欠如に注意するよう記載されています。 特に高齢者で「なんとなく元気がない」「食欲がない」といった非特異的な訴えのみのケースでは、胆管炎を積極的に疑う姿勢が求められます。
関連)https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/search/term/202
高齢者の場合、臨床像がかなり非典型的になることが研究でも指摘されています。 近年、胆膵内視鏡診療における高齢者の割合が増加傾向にあり、診断の難しさへの対応が急務です。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.19020/CG.0000002094
高齢患者に多い非典型的な症状を整理すると、以下のパターンが挙げられます。
| 症状カテゴリ | 典型例(若年) | 高齢者の非典型例 |
|---|---|---|
| 発熱 | 39℃以上の高熱・悪寒戦慄 | 微熱のみ、あるいは発熱なし |
| 腹痛 | 右上腹部の強い疼痛 | 曖昧な腹部不快感・背部痛 |
| 黄疸 | 皮膚・眼球結膜の明確な黄染 | 軽度で見逃されやすい |
| 全身症状 | 悪寒・嘔吐が顕著 | 食欲低下・倦怠感のみ |
| 意識状態 | 通常は保たれる | 軽度の意識混濁から発症することがある |
見逃しが命取りです。
急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(TG18)は、日本肝胆膵外科学会ら複数の学会が共同で策定した国際標準のガイドラインです。 重症度分類はGrade Ⅰ(軽症)・Grade Ⅱ(中等症)・Grade Ⅲ(重症)の3段階で構成されます。
関連)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00467/
重症度判定のポイントは以下のとおりです。
実際の診断フローは以下のとおりです。
1. 血液検査:白血球数・CRP・ALP・γ-GTP・AST・ALT・総ビリルビン・プロトロンビンINR・アルブミンを測定
関連)https://www.jshbps.jp/uploads/files/en/tg18/wm3.pdf
2. 腹部超音波(US):まず第一選択。胆管拡張・結石・胆泥の有無を確認
関連)https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/40559/20160528034532126244/122_243.pdf
これが診断の標準的な流れです。
特に高齢者では低アルブミン血症が死亡リスクの独立した因子として報告されており、初期血液検査でアルブミン値を必ず確認することが推奨されます。 プロトロンビンINRの延長も死亡関連因子であるため、凝固系のチェックも必須です。
関連)https://www.radionikkei.jp/kansenshotoday/__a__/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-130731.pdf
参考:急性胆管炎の診断基準・重症度判定について詳しく解説されています。
Mindsガイドラインライブラリ:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(TG18)
参考:急性胆管炎フローチャート(日本語PDF)
TG18 急性胆管炎フローチャート(日本肝胆膵外科学会)
急性胆管炎の治療の根幹は「胆道ドレナージ+抗菌薬」の2本柱です。 中等症・重症と判断された場合は、原則として入院のうえERCPを優先させ、胆道ドレナージを前提とした治療を行います。
関連)https://igakukotohajime.com/2024/10/29/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%83%86%E7%AE%A1%E7%82%8E-cholangitis/
治療の初期対応として必要な処置は以下のとおりです。
関連)https://www.jshbps.jp/uploads/files/en/tg18/wm3.pdf
関連)https://www.jshbps.jp/uploads/files/en/tg18/wm3.pdf
ここに重要な視点があります。
日本と台湾の多施設共同研究では、Grade Ⅱ(中等症)の急性胆管炎において「24時間以内にドレナージを行った群の死亡率は1.7%」だったのに対し、「遅延もしくはドレナージなし群では有意に高かった」ことが明確に示されています。 高齢患者では手術や処置に対するリスク評価が慎重になりがちですが、ドレナージの遅延そのものが最大のリスクになりえます。
関連)https://ebook.m3.com/content/9278
参考:急性胆管炎の治療・内視鏡的ドレナージの実際について
済生会:胆道感染症(胆のう炎・胆管炎)の症状・治療
参考:急性胆管炎の診断と治療の実際(ラジオNIKKEI講義資料)
急性胆管炎~診断と治療の実際について(ラジオNIKKEI)
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