ストロング系チューハイは、従来の缶チューハイと比較してアルコール度数が7~9%と高く設定されており、医療従事者として患者指導時に注意すべき商品です。
参考)https://medicaldoc.jp/m/column-m/202306t0150/
アルコール度数の危険性
純アルコール量は以下の計算式で算出できます。
純アルコール量(g) = お酒の量(ml) × アルコール度数/100 × 0.8(アルコールの比重)
350ml缶のストロング系チューハイ(アルコール度数9%)を1本飲むと、約25.2gの純アルコールを摂取することになり、これは厚生労働省が推奨する1日の適正飲酒量(男性20g、女性10g)を大幅に超過します。
特にジュースのような口当たりの良さから、アルコール感を感じにくく、つい飲み過ぎてしまう傾向があることを患者に説明する必要があります。
参考)https://ameblo.jp/kojima0709/entry-12781330166.html
慶應義塾大学衛生学公衆衛生学教室の研究により、世界で初めてストロング系チューハイと問題飲酒の関連性が科学的に証明されました。
研究で明らかになった危険性
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長の松本俊彦氏は、ストロング系チューハイについて「依存性の高い危険な薬物並みにやばいお酒」と警告を発しています。
依存症リスクが高い理由
医療従事者として、特にアルコール依存症の既往がある患者や、若年層に対してストロング系チューハイの危険性について適切な指導を行うことが重要です。
医療従事者が患者の栄養指導を行う際、ストロング系チューハイの成分について正確な知識が必要です。
参考)https://www.olive-hitomawashi.com/shikohin/2020/10/post-10973.html
ストロングゼロ(350ml缶)の栄養成分
「糖類ゼロ」は砂糖やブドウ糖が使用されていないことを意味しますが、果実由来の糖や糖アルコールは含まれています。
他のアルコール飲料との比較(350ml缶あたり)
商品 | カロリー | 糖質 |
---|---|---|
ストロングゼロ | 1.05~2.8g | |
アサヒスーパードライ | 147kcal | 10.5g |
氷結シチリア産レモン | 158kcal | 13.65g |
ほろよい白いサワー | 207kcal | 36.05g |
糖質制限中の患者には比較的適した選択肢に見えますが、高アルコール度数による健康リスクを考慮すると、安易に推奨することは適切ではありません。
ストロング系チューハイの継続的な摂取は、複数の臓器に深刻な影響を与える可能性があります。
参考)https://nonal.info/column/27081/
肝臓への影響
高アルコール度数のストロング系チューハイは、通常のビールや缶チューハイと比較して肝臓での代謝負担が大きく、長期的な摂取により肝細胞の損傷が進行しやすくなります。
腎臓・心血管系への影響
医療従事者として、定期的な血液検査での肝機能チェックと、患者の飲酒習慣の詳細な聴取が重要です。特にストロング系チューハイを常飲している患者には、段階的な減酒指導を行う必要があります。
医療現場でストロング系チューハイを摂取する患者への効果的な指導方法について、エビデンスに基づいたアプローチを紹介します。
段階的減酒指導のステップ
効果的な患者コミュニケーション
患者に対してストロング系チューハイの危険性を説明する際は、感情的な警告ではなく、科学的根拠に基づいた客観的な情報提供が重要です。
「ストロング系チューハイ1缶で、あなたの1日の適正飲酒量を超えてしまいます」といった具体的な数値を示すことで、患者の理解を促進できます。
医療機関での取り組み例
岡山県精神科医療センターの研究では、ストロング系チューハイの摂取が問題飲酒行動と強く関連することが示されており、早期介入の重要性が強調されています。
参考文献
国立精神・神経医療研究センターによるストロング系チューハイの健康影響に関する詳細な研究データ
https://ncs-l.com/blog/ストロング系チューハイに注意-飲みやすさの先にある危険
慶應義塾大学によるストロング系チューハイと問題飲酒の関連性研究
https://ameblo.jp/kojima0709/entry-12781330166.html