子宮頸管ポリープとは、子宮の入口(子宮頸管)に発生する赤色のやわらかい組織で、キノコのような形状をしています。大きさは通常2〜5mm程度ですが、中には1cm程度まで成長するものもあります。主として30〜50代の、出産経験のある女性に多く見られる良性腫瘍です。
特徴的な外観としては、赤みがかったピンク色をしており、表面は滑らかです。茎(柄)の部分が子宮頸管に付着し、先端が丸く膨らんでいることが多いです。大きくなると子宮口の外にまで突出してくることがあります。
発生メカニズムについては、明確な原因は特定されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
ポリープの組織学的構造は、表面を覆う子宮頸管上皮と、その下の間質組織から成り立っています。中心部には血管が通っており、これが刺激を受けると出血の原因となります。
子宮頸管ポリープは悪性化する可能性は非常に低いと言われていますが、稀に前がん病変を含んでいたり、悪性腫瘍である可能性もゼロではないため、摘出後の病理検査は重要です。
子宮頸管ポリープの多くは無症状であり、定期健診や子宮がん検診の際に偶然発見されることが多いのが特徴です。しかし、以下のような症状が現れることがあります。
◆ 主な症状
これらの症状はポリープの組織がやわらかく傷つきやすいことに起因します。特に表面の血管が豊富なため、わずかな刺激でも出血しやすい状態にあります。また、ポリープが大きくなり組織に十分な血液が行き渡らなくなると、組織が壊死し、特に刺激がなくても出血することがあります。
◆ 自己チェックのポイント
子宮頸管ポリープを自分で確実に診断することはできませんが、以下のような兆候がある場合は婦人科受診を検討すべきサインです。
ただし、これらの症状は子宮頸がんなど他の疾患でも起こり得るため、自己判断せずに専門医の診察を受けることが重要です。特に50歳を過ぎてからの不正出血は、子宮体がんなどの可能性も考慮する必要があります。
子宮頸管ポリープの診断は、まず内診から始まります。膣鏡(腟鏡)を用いた検査で子宮頸部を直接観察することで、ポリープの有無を確認します。子宮頸管ポリープは特徴的な外観を持つため、熟練した医師であれば視診だけで診断できることが多いです。
◆ 診断・検査の流れ
子宮頸管ポリープは基本的には良性疾患ですが、まれに悪性所見が認められることがあります。特に閉経後の女性や、大きなサイズのポリープ、不正出血を伴うケースでは、より慎重な評価が必要です。
また、子宮頸管ポリープと鑑別すべき疾患としては、子宮頸がん、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫などがあります。特に子宮内膜ポリープとの鑑別が重要で、両方が存在する場合もあるため、子宮鏡検査が行われることもあります。
最近の研究では、子宮頸管ポリープの診断精度を高めるために、狭帯域光観察(NBI)などの新技術が用いられることもあり、異常血管パターンを早期に発見できるようになっています。
子宮頸管ポリープの治療は、症状の有無や程度、ポリープのサイズによって異なります。基本的な治療法は以下の通りです。
◆ 経過観察
症状がなく、小さなポリープの場合は、経過観察が選択されることがあります。定期的な診察で変化がないか確認しながら様子を見ます。特に妊娠中に発見された場合は、分娩後に自然消退することもあるため、積極的な治療を行わない場合もあります。
◆ 薬物療法
炎症を伴うポリープに対しては、抗炎症薬や抗生物質による治療が行われることがあります。治療期間は通常3〜6ヶ月程度で、これによりポリープのサイズが縮小する場合もあります。ただし、薬物療法だけでポリープが完全に消失することは稀です。
◆ 外科的治療(ポリープ切除術)
最も一般的で効果的な治療法は、ポリープの外科的切除です。主な切除方法は以下の3種類があります。
これらの治療はほとんどの場合、外来での日帰り処置として行われます。処置自体は数分程度で終わり、多くの場合は麻酔も必要ありません。
◆ 治療法選択の基準
治療法の選択は、以下の要素を考慮して決定されます。
治療後は切除したポリープを病理検査に提出し、悪性所見がないことを確認します。これは、稀ではありますが、ポリープに悪性細胞が含まれる可能性があるためです。
子宮頸管ポリープの治療後の経過は一般的に良好です。しかし、術後の管理と再発予防は重要なポイントとなります。
◆ 治療後の一般的な経過
ポリープ切除後は、以下のような経過をたどることが多いです。
◆ 再発のリスクと予防策
子宮頸管ポリープは取り除いても再発することが多いため、以下のような予防策が重要です。
年に1回は婦人科を受診し、子宮頸部の状態をチェックすることが推奨されます。特に過去にポリープがあった方は、再発の早期発見のために重要です。
ホルモンバランスの乱れがポリープ形成に関与している可能性があるため、必要に応じてホルモン療法を検討することもあります。
不正出血やおりものの増加、性交時の出血などの症状が現れたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
◆ 長期的な管理と注意点
子宮頸管ポリープ切除後の長期的なフォローアップについては、以下の点に注意が必要です。
子宮頸管ポリープの再発防止には、上