利尿薬抵抗性とは|定義・原因・克服のための対策まで

利尿薬抵抗性とは、うっ血症状に対して利尿薬を投与しても同じ量でNa利尿が減少し、より多量の利尿薬を要する状態です。心不全治療において予後不良につながる重要な病態ですが、その原因と対処法を正しく理解できているでしょうか?

利尿薬抵抗性とは

ループ利尿薬を増量しても効果が出ない患者に、あなたはさらなる増量を繰り返していませんか。


この記事の3つのポイント
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利尿薬抵抗性の定義

同じ投与量でNa利尿が減少し、同じ利尿効果を得るのにより多量の利尿薬を要する状態

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発生メカニズム

腸管浮腫による吸収不良、神経体液性因子の活性化、遠位尿細管のリモデリングなど多因子が関与

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克服のための対策

ループ利尿薬の点滴投与への変更、他の利尿薬との併用療法、体液量の再評価が基本


利尿薬抵抗性の定義と臨床的意義



この病態は心不全治療において予後不良につながる重要な問題です。利尿薬抵抗性が生じると、うっ血の悪化から心不全の増悪を招き、最終的には患者の生命予後に影響を及ぼします。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1402229049


つまり予後を左右する病態ですね。


利尿薬抵抗性が生じる主なメカニズム

利尿薬抵抗性の発生には複数のメカニズムが関与しています。第一に、心不全では腸管も浮腫を起こし、むくんだ腸管からの薬剤吸収が低下します。目に見えない部位だからこそ見落とされがちですが、心不全による腸管浮腫は経口利尿薬の吸収不良を引き起こし、利尿薬抵抗性の悪循環につながります。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/n374e0a26b081


第二に、糸球体濾過量の低下により原尿が減少すると、利尿薬の作用が減弱します。そもそも原尿が少なければ、利尿薬の作用は減弱するのです。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/n374e0a26b081


CKDによるネフロン減少が原因なら、理論的には用量を増やすだけで正常な腎臓と同じような利尿反応性が得られます。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/n374e0a26b081


第三に、ループ利尿薬を長期使用すると、遠位尿細管でのNa再吸収が代償的に促進されます。この状態が慢性的に続くと、遠位の尿細管でより再吸収できるような構造変化(リモデリング)が起こり、ヘンレの上行脚でのNa再吸収を阻害しても遠位の尿細管がNaをより再吸収することで、全体の利尿効果が相殺されてしまいます。


関連)https://igakukotohajime.com/2020/05/18/%E5%88%A9%E5%B0%BF%E8%96%AC-diuretics/


体は非生理的なNa排泄を代償しようと様々な変化を示します。RAA系の亢進による遠位尿細管でのNa再吸収促進もその一つであり、この代償機構が利尿薬抵抗性につながります。


関連)https://igakukotohajime.com/2020/05/18/%E5%88%A9%E5%B0%BF%E8%96%AC-diuretics/


利尿薬抵抗性の評価と診断のポイント

利尿薬抵抗性への対応では、まず体液量の再評価が極めて重要です。そもそも体液量過剰が存在しない状況で利尿薬が無効となるのは自然なことなので、利尿薬抵抗性への対応と体液量の再評価を1サイクルで考える必要があります。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/na56b19b3d3db


これは盲点になりやすいですね。


利尿薬抵抗性の評価では、実際に利尿薬の薬理効果が減弱しているのか、それとも利尿効果はあるが腎機能低下などの合併症を伴っているのかを区別します。前者は投与してもあまり尿が出ない状態であり、後者は尿は出ているものの体液量過剰が改善しない状態です。


関連)https://www.marianna-kidney.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/2012603.pdf


また、浮腫性疾患治療における利尿薬の使用では、薬物動態(PK)のみならず薬力学(PD)の異常も考慮に入れた投与が望まれます。疾患によっては利尿薬のPK/PDを無視した静脈内投与は、PK/PDを考慮に入れた正しい経口投与に劣る可能性すらあります。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.3102200856


利尿薬抵抗性を克服するための治療戦略

利尿薬抵抗性の克服には、利尿薬の薬物動態・薬物力学の理解が必要です。治療の基本は、まずループ利尿薬の点滴投与や増量を検討することです。ループ利尿薬は最も利尿作用の強いナトリウム治療薬であり、比較的安価で、剤型も豊富、急性期治療で長い間活躍してきた実績があるからです。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1402229049


単純な薬効不足が原因ならOKです。


腸管浮腫による吸収不良が疑われる場合は、経口投与から静脈内投与への変更が有効です。これにより確実な血中濃度を得ることができ、即効性や確実性が期待できます。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.3102200856


ミネラルコルチコイド拮抗薬(MRA)の併用もガイドライン公認の利尿薬抵抗性対策です。RAA系の亢進の結果生じる利尿薬抵抗性は、アルドステロン作用によるものが主なので、MRAが有効です。ただし、腎機能障害や高K血症症例での使用は、高K血症を増悪させる可能性があるため注意が必要です。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/n374e0a26b081


高K血症には十分注意しましょう。


利尿薬抵抗性における併用療法の実際

近年、種々の新規利尿薬が使用可能となりましたが、うっ血・浮腫改善のためにはループ利尿薬との併用が基本です。ループ利尿薬抵抗性に対する一般的対応として、他の作用機序の利尿薬との併用投与が推奨されています。


関連)https://www.marianna-kidney.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/2012603.pdf


実臨床では以下のような対応が選択肢となります。


バソプレシン受容体阻害薬は、集合管にてバソプレシンV2受容体に拮抗し、Na等の電解質を維持して水再吸収を阻害することにより選択的に水を排泄します。電解質排泄の増加を伴わない水利尿作用を示すため、低Na血症を伴う心不全患者では特に有用です。


関連)https://kanri.nkdesk.com/drags/rinyou.php


電解質維持が条件ですね。


利尿薬抵抗性治療における注意点と医療経済的側面

利尿薬抵抗性への対応では、「体液量過剰にループ利尿薬を使用したけど、尿が出ません」または「ループ利尿薬を使用しているけど、心不全が改善しません」という状況が戦いのゴングです。しかし、冷静な視点も必要です。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/na56b19b3d3db


腎機能障害を伴う患者では、腎うっ血(腎間質の浮腫)が利尿薬抵抗性の原因となっている可能性があります。腎臓もう無理だと思って透析を回したら、という状況も実際には起こり得るため、体液量と腎機能の評価は慎重に行う必要があります。


関連)https://note.com/doctorpooh/n/na56b19b3d3db


CKDだけに限っても、腎交感神経亢進による輸入細動脈の収縮など、単純な薬効不足以外の因子も考慮すべきです。利尿薬の効果を最大化するためには、これらの複数の因子を総合的に評価し、個々の患者に最適な治療戦略を立てることが重要です。


関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1402229049


総合的な評価が重要です。


また、医療経済的な観点からも、ループ利尿薬は比較的安価であり、長期使用においてもコスト面でのメリットがあります。新規利尿薬の使用を検討する際には、効果と費用のバランスを考慮した選択が求められます。


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