モニタリングシステム エスティーコムと医療施設での応用

ワイヤレスひずみモニタリングシステムST-COMMは、構造物の変形を遠隔監視するIoT技術です。医療施設の建物インフラ管理や設備監視にも応用可能で、外部電源不要で長期稼働できる特徴があります。医療現場での安全管理にどう役立つのでしょうか?

モニタリングシステム エスティーコムの概要

ST-COMMの主要な特徴
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外部電源不要の長期稼働

単3ニッケル水素充電池4本で数年単位の連続稼働が可能で、設置場所を選びません

📱
遠隔リアルタイム監視

スマートフォンやPCからクラウド経由でデータを確認でき、現場に行かずに状態把握が可能

⚙️
多様なセンサー接続対応

ひずみゲージ、変位計、圧力センサーなど複数のセンサーを接続し、軸力や変形を計測できます

モニタリングシステム ST-COMMの基本構造

 

ST-COMM(エスティーコム)は、CACH株式会社が開発したワイヤレスひずみモニタリングシステムです。このシステムは構造物のひずみ(変形)を常時監視することで、異常を未然に防ぐ予防保全システムとして機能します。
参考)https://www.kccs.co.jp/sigfox/solution/solutions/detail5/pdf/pdf-leaflet-detail5-01.pdf

システムの核となるのはひずみゲージと呼ばれるセンサーで、既存製品(抵抗値120オーム)を利用でき、ST-COMMに最大4つまで接続可能です。センサーの種類を変えることで、コンクリート用、木材用、金属用など、さまざまな素材の構造物をモニタリングできます。
参考)モニタリングシステム エスティーコムの医療分野応用と特徴

本体サイズは124mm×175mm×75mm、重量は約600gと小型軽量で、片手で持ち運べる設計となっています。防滴性はIP67相当で、使用温度範囲はマイナス10℃から50℃まで対応しており、屋外環境でも安定した稼働が可能です。
参考)https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/inspection-support/pdf/c/CM010003.pdf

通信規格にはSigfoxを採用しており、従来技術の10分の1以下のコストで社会インフラの異常を常時監視できます。データはクラウド上に蓄積され、PCやスマートフォンから遠隔で確認でき、管理値を超えた場合は自動でメール通知する機能も備えています。
参考)ワイヤレスひずみモニタリングシステム「ST-COMM」|ソリ…

モニタリングシステム エスティーコムの稼働時間と省電力性

ST-COMMの最大の特徴は、外部電源が不要で長期間の連続稼働が可能な点です。単3ニッケル水素充電池4本で駆動し、計測間隔に応じて以下のような稼働時間を実現します。
参考)ST-COMMジャッキモニタリングシステム

📊 計測間隔別の稼働時間

  • 3分間隔:約1ヶ月
  • 1時間間隔:約1年
  • 6時間間隔:約5年

この省電力性は、独自の通信技術とセンサー制御により実現されています。従来の有線システムでは配線工事が必要でしたが、ST-COMMは無線通信により配線不要となり、作業効率の向上と施工現場の安全性確保に貢献します。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000032306.html

電池交換が可能な設計のため、長期間の監視が必要な場合でも、定期的なメンテナンスにより継続的な運用が可能です。また、計測間隔はPC、スマートフォン、タブレットから遠隔で設定変更できるため、状況に応じて柔軟な運用ができます。​

医療施設インフラでのモニタリングシステム活用

医療施設は災害時に被災者への適切な医療を提供する拠点となる重要な建物であり、耐震化や構造物の安全性確保が求められています。2013年の耐震改修促進法改正により、大規模な病院・診療所では耐震診断が義務付けられました。
参考)医療施設の耐震化

ST-COMMのようなモニタリングシステムは、医療施設の建物インフラ管理において以下のような応用が可能です。

 

🏥 医療施設での活用場面

  • 建物の構造体の経年変化監視
  • 耐震補強後の効果検証
  • 増築や改修工事中の既存建物への影響確認
  • 医療機器設置エリアの床荷重監視

医療施設におけるインフラ長寿命化計画の策定においても、点検・診断の結果を評価指標として老朽化状況を更新する必要があり、継続的なモニタリングデータは施設管理の基礎情報として活用できます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2015/04/dl/tp0416-01-01.pdf

病院では構造物の耐震性評価にIs値という指標が用いられますが、実際の構造物の挙動をリアルタイムで把握することで、より実態に即した安全管理が実現します。人間の目視点検では軽微な変状を捉えづらく、判断基準のばらつきも課題となっていますが、センサーによる定量的な計測により客観的な評価が可能になります。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000032306.html

医療機器分野でのひずみセンサー技術の応用可能性

ひずみゲージ技術は医療機器のOEM(相手先ブランド製造)において重要な技術として認識されており、既にさまざまな医療機器で活用されています。​
💉 医療機器での活用例

  • マンモグラフィー装置:患者への物理的力の監視
  • インスリンポンプ:流量出力の監視・制御
  • 手術台:調整機構のポジショニング
  • 歯科治療用椅子:動作モニタリング

特にインスリンポンプでは、患者の体に取り付けて継続的に使用するため、頑丈で精密、かつ軽量なひずみゲージ感知技術が要求されます。ST-COMMが採用している小型軽量設計(約600g)と省電力技術は、このような医療機器への応用において重要な要素となります。​
医療IoTの分野では、医療機器の稼働状況や位置情報をリアルタイムで把握・分析することで、故障を未然に防止したり、修理の効率化につなげることができます。IoTセンサーを活用することで病院内の設備の稼働状況や故障状況をリアルタイムで把握でき、適切な使用を促進することが可能です。
参考)IoT医療の進化、課題、そして未来|さくらのIoT

患者モニタリングシステムにおいても、バイタルサイン心拍数、呼吸数、血圧、体温、酸素飽和度)をリアルタイムで収集・監視することで、患者の急変リスク低減や医療従事者の負担軽減に貢献しています。
参考)患者モニタリングシステムとは?導入手順や最適化する手法、AI…

モニタリングシステムの医療現場での運用メリット

医療施設でIoTセンサーやモニタリングシステムを導入することで、人手不足の解消や清掃品質の安定化、感染症対策の強化に役立ちます。加えて、設備の効率的な運用や予防保全も実現しやすくなり、トータルで見たコストパフォーマンスの向上が期待できます。
参考)病院でのIoTセンサーの導入事例とメリットを調査

ST-COMMの技術的特徴は、医療現場の運用において以下のようなメリットをもたらします。

 

✅ 運用上のメリット

  • 24時間365日の継続監視が可能
  • 人による定期巡回の負担軽減
  • 異常の早期発見による予防保全
  • データの蓄積による経年変化の分析

風力発電設備の施工では、ウインドリフト工法での風車組立において、支持部材の軸力をST-COMMでモニタリングし、施工中の安全性確保に貢献した事例があります。これまでの有線による軸力測定では、支持部材の組立・解体に合わせて都度配線の引き直しが必要でしたが、無線化により作業効率が向上しました。​
地下工事現場での異常監視においても、人間では識別することができない異常を見つけることができ、i-Constructionを推進し、省人化・安全管理に貢献しています。医療施設においても同様に、継続的な構造物監視により安全性の向上が期待できます。​
病院IoTプラットフォームにデータを蓄積し、可視化することで、入院患者の離院検知、心拍異常検知、室内環境の可視化、医療機器の所在把握など業務効率化、医療安全の向上が実現できます。ウェアラブルデバイスやIoTセンサーを活用した統合的なシステムにより、医療の質を高めることができます。
参考)ヒト・モノ・状態等を可視化し分析するIoTプラットフォーム

京セラコミュニケーションシステム - ST-COMMの詳細情報と技術仕様、導入事例が確認できる公式ページ
AI Market - 患者モニタリングシステムの導入手順や最適化手法、AIによる画像認識・データ分析の活用メリットに関する詳細解説
厚生労働省 - 医療施設におけるインフラ長寿命化計画(個別施設計画)策定の手引き(PDF)

 

 


COSO内部統制システムモニタリングガイダンス