LDLアフェレーシスが保険適応となるネフローゼ症候群の疾患は、1992年の保険収載以来FSGSのみに限定されていましたが、2024年6月からMCNS(微小変化型)と膜性腎症にも拡大されました。

LDLアフェレーシスの適応は「絶対適応」と「条件付き適応」に大きく分かれます。この区別が、臨床現場での判断の軸になります。
絶対適応は1疾患のみ。それが家族性高コレステロール血症(FH)ホモ接合体です。 FHホモ接合体は既存の薬物療法でLDL-Cを十分に下げることが困難であり、早期からの体外循環療法が不可欠です。 現実的な治療開始の目安は4〜6歳とされており、ベッド上で臥床して体外循環が施行できる時期が基準となっています。
関連)https://www.nanbyou.or.jp/entry/226
一方、条件付き適応に分類されるのは以下の疾患です。
関連)http://www.mmjp.or.jp/iseikai-cl/annai.html
条件が明確です。つまり「薬物療法で十分な効果が得られないこと」が共通の前提条件となります。 この点を患者説明の際に正確に伝えることが重要です。
関連)http://www.mmjp.or.jp/iseikai-cl/annai.html
FHホモ接合体の患者数は日本国内でおよそ140人程度と非常に少ない希少疾患です。 重みのある数字ですね。一方でFHヘテロ接合体は500人に1人程度の頻度で、冠動脈疾患合併例では30人に1人という報告もあります。
関連)https://square.umin.ac.jp/~jslpc/pdf/JAS_FH_GL2022.pdf
コレステロール値が正常でもLDLアフェレーシスを行うことがあります。意外ですね。
閉塞性動脈硬化症(OAS)に対するLDLアフェレーシスは、血中総コレステロール220 mg/dL以下・LDLコレステロール140 mg/dL以下という正コレステロール血症の患者にも適応があるという点が臨床上の重要ポイントです。 高脂血症がなくても適応になる唯一のケースともいえます。
関連)https://www.senshin.jp-life.japanpost.jp/search/technology/15113062/
適応対象となるOAS患者の要件は以下の通りです。
関連)https://www.senshin.jp-life.japanpost.jp/search/technology/15113062/
血行再建が困難という条件が原則です。 外科的治療が可能な患者ではまず血行再建を優先し、そのうえで薬物療法も試みてからアフェレーシスの適応を検討するという順序を守る必要があります。
関連)https://www.senshin.jp-life.japanpost.jp/search/technology/15113062/
かんぽ生命の先進医療情報によれば、対象はデキストラン硫酸カラム吸着法によるLDLアフェレシス療法に限定されており、使用できる機器・施設にも制限があります。 実施できる医療機関は限られているため、患者を紹介する際は事前確認が不可欠です。
関連)https://www.senshin.jp-life.japanpost.jp/search/technology/15113062/
参考:LDLアフェレシス療法(閉塞性動脈硬化症)の先進医療情報(かんぽ生命)
https://www.senshin.jp-life.japanpost.jp/search/technology/15113062/
2024年6月の診療報酬改定により、ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレーシスの保険適応が大幅に拡大されました。
関連)https://www.nmckk.jp/nmckk/thesisDetail.php?category=JJCD&vol=40&no=13&d1=5&d2=0&d3=0&lang=ja
1992年の保険収載以来、ネフローゼ症候群の適応疾患はFSGS(巣状分節性糸球体硬化症)のみに限定されていました。 この状態が32年間続いていたことになります。長かったですね。しかし、POLARIS研究をはじめとする前向きエビデンスの蓄積により、以下の2疾患が新たに保険適応に加わりました。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.19020/CD.0000003236
| 疾患名 | 略称 | 2024年以前 | 2024年6月以降 |
|---|---|---|---|
| 巣状分節性糸球体硬化症 | FSGS | 保険適応あり | 保険適応あり |
| 微小変化型ネフローゼ症候群 | MCNS | 適応外 | 保険適応に追加 |
| 膜性腎症 | MN | 適応外 | 保険適応に追加 |
参考:難治性ネフローゼ症候群へのLDLアフェレシス療法対象疾患の保険適応拡大(日本腎臓学会)
https://jsn.or.jp/journal/document/55_7/1301-1313.pdf
適応が認められた患者でも、治療回数や頻度には保険上の明確な制限があります。
保険診療として行う場合の標準的な施行頻度は、疾患によって異なります。 代表的な例を以下にまとめます。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/20-1/20-1_18.pdf
重要なのは「効果判定」の概念です。LDLアフェレーシスは1回だけでは効果が限られているため、患者の病態に応じて保険適応の範囲内で複数回施行し、効果を判定しながら治療継続を決定します。 効果が原則です。
関連)http://www.mmjp.or.jp/iseikai-cl/annai.html
FHホモ接合体については、冠動脈病変を合併する例ではアフェレーシス療法の長期施行がすでに認められており、寛解維持治療としての継続が可能です。 これは他の疾患とは大きく異なる扱いです。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/20-1/20-1_18.pdf
先進医療として実施される糖尿病性腎症への適応では、別途、厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等への届出が必要です。 一般病院では算定できないケースがある点に注意が必要です。算定要件の確認が必須です。
関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_9_1_1%2Fj039.html
通常のフローでは見落とされやすい適応がいくつかあります。これは知っていると現場で差がつく情報です。
SLE(全身性エリテマトーデス)に伴う急速進行性糸球体腎炎も、LDLアフェレーシスの保険適応に含まれています。 膠原病領域担当者が腎機能悪化に注目する一方で、アフェレーシスの適応を念頭に置いていないケースは少なくありません。
関連)https://note.com/chugaiigaku/n/nb21843a6678f
また、難治性高コレステロール血症を伴う重度尿蛋白の糖尿病性腎症については、先進医療として実施が認められています。 適応要件は以下の通りです。
関連)https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs042180076
血清クレアチニン2 mg/dL未満という要件が条件です。 腎機能がある程度保たれている段階での介入が前提となるため、早期のスクリーニングが重要です。
関連)https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs042180076
除外基準にも注意が必要です。維持血液透析中の患者、腎移植後の患者、過去にLDLアフェレーシスを施行された患者、血管形成術等の施行から6カ月未満の患者などは適応外となります。
関連)https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs042180076
参考:難治性高コレステロール血症を伴う糖尿病性腎症へのLDLアフェレシス(jRCT・厚生労働省)
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs042180076
参考:アフェレシス療法の保険適応まとめ(石薬出版PDF)
https://www.ishiyaku.co.jp/pickup/206720/pdf/206720_01.pdf
| 病型 | 定義 | 主な寛解導入レジメン |
|---|---|---|
| 重症型 | 腎不全・重要臓器の機能不全(血清Cr>5.66 mg/dL) | GC+シクロホスファミド(CY)またはリツキシマブ(RTX) |
| 非重症型 | 臓器機能不全なし | GC+MTXまたはリツキシマブ |
| 難治型 | GC+CY治療に反応しない進行性の病型 | 治療変更を検討 |