ビソルボン吸入液副作用添付文書確認要点

ビソルボン吸入液の添付文書に記載された副作用について医療従事者が知っておくべき重要な情報を詳しく解説。使用時の注意点や患者指導のポイントは?

ビソルボン吸入液副作用添付文書

ビソルボン吸入液の副作用概要
⚠️
重大な副作用

ショック・アナフィラキシーなど頻度不明の重篤な症状

🫁
呼吸器系副作用

咽頭痛・呼吸困難など0.1-5%未満の発現頻度

💊
消化器系副作用

嘔気・胃部不快感などの症状と対処方法

ビソルボン吸入液の重大な副作用と対処法

ビソルボン吸入液の添付文書に記載されている最も重要な副作用は、ショックとアナフィラキシーです。これらの重大な副作用は頻度不明とされていますが、発現時の症状は以下の通りです。
ショック・アナフィラキシーの症状

  • 発疹 🩹
  • 血管浮腫
  • 気管支痙攣
  • 呼吸困難
  • そう痒感

これらの症状があらわれることがあるため、使用中は常に観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行う必要があります。特に過去にブロムヘキシン塩酸塩に対してアレルギー反応を示した患者では、使用を避けることが重要です。

 

医療従事者は吸入開始前に必ず患者のアレルギー歴を確認し、初回使用時は特に慎重な観察を行うべきです。万一、呼吸困難や発疹などの症状が出現した場合は、直ちに使用を中止しアドレナリンの投与など緊急処置の準備を整えておく必要があります。

 

ビソルボン吸入液の呼吸器系副作用詳細

添付文書には呼吸器系の副作用が詳細に記載されており、発現頻度も明確に示されています。これらの副作用は使用時に最も注意すべき症状群です。
0.1~5%未満の副作用

  • 頭痛
  • 呼吸困難
  • 咽頭刺激感
  • 咽頭異和感

頻度不明の副作用

  • 咳嗽(せき)
  • 喘息発作
  • 喘鳴(ぜーぜー音)

これらの呼吸器系副作用は、特に気管支喘息やCOPDなどの慢性呼吸器疾患を有する患者で発現しやすい傾向があります。咽頭への刺激感は吸入直後から現れることが多く、患者には事前にこの可能性を説明しておくことが重要です。

 

呼吸困難や喘鳴が出現した場合は、直ちに吸入を中止し気管支拡張薬の使用を検討する必要があります。また、慢性呼吸器疾患患者では、使用前に気管支拡張薬を前投与することで副作用のリスクを軽減できる場合があります。

 

ビソルボン吸入液の消化器系・その他副作用

ビソルボン吸入液は主に吸入用の薬剤ですが、一部が経口摂取される可能性があるため、消化器系の副作用も報告されています。
消化器系副作用(0.1~5%未満)

  • 嘔気(おうき)
  • 胃部不快感

消化器系副作用(頻度不明)

  • 下痢
  • 嘔吐

その他の主要な副作用

  • 精神神経系:頭痛(頻度不明)
  • 過敏症:発疹、麻疹(頻度不明)
  • その他:血痰(頻度不明)

これらの副作用の中でも、血痰の出現は特に注意が必要です。血痰が認められた場合は、肺の器質的疾患の可能性も考慮し、詳細な検査を実施する必要があります。また、頭痛やめまいなどの中枢神経系への影響も報告されており、特に高齢者では転倒リスクの増加に注意が必要です。

 

ビソルボン吸入液使用時の特別な注意事項

添付文書には、副作用以外にも使用時の重要な注意事項が記載されています。これらの情報は患者指導や安全な使用のために欠かせません。
薬剤調製時の注意

  • チロキサポール液との配合で白濁を生じるため配合を避ける
  • アセチルシステインナトリウム液との配合も同様に避ける

薬剤交付時の注意

  • 本剤は吸入用にのみ使用し、内服用として使用しない 💊
  • 患者に使用法を正しく指導し、経過の観察を十分に行う

取扱い上の注意

  • 外箱開封後は遮光して保存
  • 開栓後は汚染に注意

また、臨床使用に基づく重要な情報として、喀痰量の一時的増加を来し、神経質な患者では不安感を訴えることがあると記載されています。この現象は薬効による正常な反応ですが、患者には事前に説明し、不安を軽減することが重要です。

 

患者指導においては、使用方法の正確な理解と副作用症状の早期発見のため、定期的な面談と観察を継続することが医療従事者の責務となります。

 

ビソルボン吸入液の禁忌・相互作用と医療従事者の役割

ビソルボン吸入液の安全な使用のため、添付文書には明確な禁忌事項が記載されています。医療従事者はこれらの情報を十分に理解し、適切な患者選択を行う必要があります。
絶対禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

この禁忌は非常に重要で、過去にブロムヘキシン塩酸塩を含む製剤でアレルギー反応を起こした患者には絶対に使用してはいけません。初回処方時には、必ず詳細なアレルギー歴の聴取を行うことが求められます。

 

重要な使用上の注意

  • 気管支分泌物が増量することがあるため、自然の喀出が困難な場合には機械的吸引又は体位変換などの適切な処置を行う

この注意事項は特に重要で、意識レベルの低下した患者や嚥下機能が低下した患者では、増加した喀痰による気道閉塞のリスクがあります。そのため、これらの患者では使用前に十分な評価を行い、必要に応じて吸引設備を準備しておく必要があります。

 

販売中止に関する最新情報
注目すべき点として、サノフィ株式会社は2024年2月にビソルボン吸入液0.2%および注4mgの販売中止を発表しています。これにより、医療現場では代替薬剤への切り替えが必要となっており、患者への説明と適切な代替治療の選択が医療従事者の重要な役割となっています。

 

代替薬剤への変更時には、患者の病態や副作用歴を十分に考慮し、新たな薬剤の副作用プロファイルについても詳細に説明する必要があります。また、効果や使用方法の違いについても、患者が理解しやすい形で情報提供を行うことが求められます。