ザイアジェン錠300mgの主成分であるアバカビル硫酸塩は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)に分類される抗HIV薬です。アバカビルは合成グアノシンアナログであり、細胞内で活性代謝物であるカルボビル三リン酸に変換されます。
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=18317
詳細な作用メカニズム
アバカビルの作用機序は以下の段階で進行します🔬 細胞内変換過程
・細胞内でアデノシンホスホリボシルトランスフェラーゼによりカルボビル一リン酸に変換
・ヌクレオシド二リン酸キナーゼによりカルボビル二リン酸に変換
・最終的にカルボビル三リン酸となり、HIV逆転写酵素を阻害
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052970
この活性代謝物がHIV-1逆転写酵素に組み込まれることで、DNA鎖の伸長が終結し、ウイルス複製が阻害されます。その結果、血中HIV RNA量の減少とCD4陽性T細胞数の回復が期待できます。
参考)http://www.med.kagawa-u.ac.jp/~mrsa/hiv_aids_control/images/drug/Ziagen300mg.pdf
薬物動態の詳細
・経口バイオアベイラビリティ:約83%
・蛋白結合率:約49%
・主要代謝経路:アルコールデヒドロゲナーゼとグルクロン酸抱合
・消失半減期:約1.5時間
・定常状態到達時間:約2日
成人における標準用法用量
通常、成人にはアバカビルとして1日量600mgを、他の抗HIV薬と併用して以下のいずれかの方法で投与します:
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=52970
📋 投与スケジュール詳細
1日1回投与: 朝食後または夕食後に2錠(600mg)を一度に服用
・**1日2回投与**: 朝夕の食事に関係なく1ずつ12時間間隔で服用
参考)https://www.acc.jihs.go.jp/general/note/drug/abc.html
特殊患者群での用法調整
・肝機能障害患者:軽度(Child-Pugh分類クラスA)では200mg 1日2回に減量
・中等度以上の肝機能障害患者:使用経験がないため推奨されない
・腎機能障害患者:腎クリアランスが低いため、用量調整は不要小児における用法
生後3ヶ月以上の小児には、体重1kgあたり8mgを1日2回、最大300mgまで投与可能です。ただし、生後30日未満の新生児では安全性が確立されていません。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00001566.pdf
服薬指導における重要事項
・食事の影響を受けないため、食前・食後問わず服用可能
・他の抗HIV薬との併用が必須であり、単独療法は禁止
・飲み忘れた場合の対処法を患者に十分説明し、アドヒアランス向上を図る
過敏症の詳細な臨床像
ザイアジェン錠300mgによる過敏症は、HIV治療における最も重要な有害事象の一つです。