シスメックス株式会社テクノパーク研究開発拠点の最新技術革新

シスメックス株式会社テクノパークは神戸に位置する世界的な研究開発拠点として、最先端の医療検査技術開発に取り組んでいます。革新的な施設設計や独自技術開発により、グローバルヘルスケア業界における地位を確立している同社の技術革新について詳しく知りたくありませんか?

シスメックス株式会社テクノパークの技術革新拠点

シスメックステクノパークの概要
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研究開発中核拠点

神戸市西区に位置し、世界9カ国での研究開発活動を統括する中心的施設

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最先端技術開発

バイオインフォマティクスやオープンイノベーションラボを活用した革新的技術創出

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グローバル連携

世界中の研究者との協働により、個別化医療実現に向けた技術開発を推進

シスメックス株式会社テクノパーク施設概要と建築設計思想

シスメックス株式会社テクノパークは、2008年10月に神戸市西区高塚台に開設された研究開発拠点です。創立40周年記念事業として計画されたこの施設は、「"知"の創造と継承」をコンセプトに設計されており、約11万6000平方メートルの広大な敷地を有しています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/ir/library/reports_newsletters/docs/42_3q.pdf

 

施設の中核をなすR&Dタワーは、積層する研究スペースを縦につなぐ「コラボアトリウム」と呼ばれる吹き抜け空間を設置し、研究員や技術者のアイデア創出と研究開発促進を目指した革新的な設計となっています。建築面積2,727㎡、延床面積24,401㎡を誇るこのタワーには、600名収容可能な大ホールも併設されています。
参考)https://www.jssi.or.jp/bussiness/shuppan_detail/kaishiback/62-menshinshokai-shisumekkusu.pdf

 

テクノパークの特徴的な設計理念として、ラボスペースとオフィススペースを同一フロアに配置し、研究テーマやプロジェクトによって自由にレイアウト変更が可能なフレキシブルな構造を採用しています。これにより、以前は点在していた機器・試薬・ソフトウェアの開発者がプロジェクト単位で各フロアに集結できるようになり、部門を超えた協力体制が実現されています。
施設内には約460名収容可能なテクノカフェや、ワークライフバランス確保のための託児所「キッズパーク」も設置され、研究者が安心して働ける環境整備にも配慮しています。また、敷地内の自然エリアには海と山に囲まれた神戸を模した池泉回遊式日本庭園と茶室が設けられ、文化と科学の融合から新たな発想が生まれることを期待した独特な環境作りが行われています。

シスメックス株式会社テクノパーク研究開発体制の組織構造

シスメックステクノパークでは、中央研究所を中心とした包括的な研究開発体制を構築しています。研究開発部門は、遺伝子分析、細胞分析、タンパク分析において新規事業創出のためのイノベーションに取り組み、技術的難易度の高い課題解決や新規技術プラットフォームの見極めを目的とした基礎研究を担当しています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/rd/structure/

 

技術開発部門は、個別化医療に向けたリキッドバイオプシーに関する技術開発、診断薬の開発効率化を目指した原材料開発、プライマリケアに向けたICTに関する技術開発を専門的に推進する体制を整えています。各部門は技術の特徴に合わせた開発活動を展開し、シームレスでスピーディーな開発を実現するための組織運営を行っています。
2015年10月には、個別化医療の実現に向けた研究開発を加速させるため、「Sysmex Open Innovation Lab.(SOLA)」がテクノパーク内に開設されました。約1950㎡のフロア面積を持つこの施設には、ラボエリア、執務エリア、コラボレーションエリアが設けられ、バイオインフォマティクスを推進するICT関連設備や高機能実験設備が整備されています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/news/2015/150917.html

 

研究開発の特徴として、世界中の研究者をテクノパークに招聘し、シスメックス研究員とのコラボレーションを実現する場を積極的に設けています。この取り組みにより、グローバルな知見を取り入れながら、革新的な技術創出を目指す体制を確立しています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/rd/open-innovation/

 

シスメックス株式会社テクノパーク最先端設備と技術開発能力

シスメックステクノパークには、製品開発の効率化を推進する最新の研究設備が充実しています。特に注目すべきは関西最大規模を誇る電波暗室で、製品が発する電磁波が他の機器や検査結果に影響を及ぼさないかを開発段階から確認することができます。この設備により製品の信頼性向上と開発効率の大幅な改善を実現しています。
粒子計測分野では、パーティクルアナリシスセンターを設置し、粉体・粒子の測定を行う商品開発を推進しています。また、臨床検査分野のデータ精度管理を行う標準器室や、最先端の検査設備を備えた遺伝子検査室も完備し、多岐にわたる研究領域をカバーしています。
2019年5月には「テクノパーク イーストサイト」が開設され、バイオ診断薬分野の研究開発能力が大幅に拡充されました。このサイトには「バイオスクエア」と「バイオキューブ」の2つの主要施設が設けられています。バイオスクエアでは、厳格化するグローバルレギュレーションの要求をクリアする診断薬生産環境を構築し、床面積あたりの生産能力を従来の約3倍に増強しています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/news/2019/190508f.html

 

バイオキューブには、診断薬の原材料生産において必要となる遺伝子組み換えカイコなどの原材料生産環境を備え、原材料開発から診断薬開発、生産、物流まで一貫した体制を整備しています。生産ラインのIoT化により可視化された情報を活用した生産工程の標準化や、生産人材の育成活動にも継続的に取り組んでいます。

シスメックス株式会社テクノパークオープンイノベーション戦略

シスメックステクノパークでは、オープンイノベーションを通じた技術革新に積極的に取り組んでいます。SOLAは企業理念「Sysmex Way」とテクノパークのコンセプト「"知"の創造と継承」に基づいて設立されたオープンイノベーションラボで、個別化医療の実現に向けた研究開発を加速させる役割を担っています。
この施設では、シスメックス独自の技術に加え、バイオインフォマティクスを推進するICT関連設備や高機能実験設備を活用し、研究者間の様々な交流を創出するオープンイノベーション環境を整備しています。発想の転換やコラボレーションを促進することで、従来の枠組みを超えた革新的な技術開発が可能となっています。
2019年からは、大阪大学との協力により学生の受け入れも開始し、次世代の研究人材育成にも貢献しています。世界中の研究者を招聘し、シスメックスとのコラボレーションによるオープンイノベーションを通じて、先進的で価値の高い技術創出を目指す戦略を展開しています。
参考)https://www.sysmex.co.jp/news/2019/190527.html

 

アカデミアとの連携では、世界トップレベルの研究機関や各国のキーオピニオンリーダーとの関係強化を図り、グローバルな研究ネットワークの構築を進めています。この取り組みにより、最新の科学的知見を迅速に製品開発に反映させる体制を確立しています。

シスメックス株式会社テクノパーク未来展望と持続的成長戦略

シスメックステクノパークは、100年先も未来をつくるR&D組織を目指し、継続的な組織変革を推進しています。約10年前から始まった研究開発組織の変革は、「目標・結果にこだわり役割を主体的に考える自律的なR&D組織」の実現を目指して現在も進化を続けています。
参考)https://www.jmac.co.jp/case/detail/202412_02.html

 

技術の進歩に対応するため、イノベーションの創出と若手人材の育成を重点課題として位置づけ、組織力の強化を図っています。研究開発部門の融合による新しいアイデア創出の場として、分野や組織を越えた協力体制を構築し、必要な議論を自然に促進するオフィス空間設計を活用しています。
将来的な技術開発領域として、個別化医療の実現に向けたリキッドバイオプシー技術の発展や、プライマリケア分野でのICT活用拡大を見据えた研究開発を継続的に推進しています。また、バイオ診断薬分野では、遺伝子組み換え技術を活用した原材料開発から生産まで一貫した体制により、世界中の医療現場への高品質製品供給を目指しています。
シスメックス公式サイト - テクノパークの詳細な施設情報と所在地
シスメックス公式サイト - 研究開発体制の全体像と世界各拠点の連携状況
竹中工務店 - テクノパークR&Dタワーの建築設計思想と施設概要