先発品だからといって、必ずしも現在も処方できるわけではありません。
レボブノロール塩酸塩点眼液の先発品「ベトプティック点眼液0.5%」および「ベトプティックエス懸濁性点眼液0.5%」は、2023年3月にノバルティスファーマが販売中止を発表しました。 中止の理由として公式には「諸般の事情」とされていますが、後発医薬品(ジェネリック)の普及により先発品の採算確保が困難になったためと考えられています。
販売中止は安全性や有効性の問題ではありません。これは重要な点です。
先発品が消えたことで、処方箋を書く医師や調剤する薬剤師にとって「先発品を指定して処方する」という選択肢がそもそも存在しなくなりました。現在、レセコンで先発品名を入力しても、候補として後発品の選択しか出てこないケースが増えています。後発品への切り替えを「選択する」のではなく、「そもそも後発品しかない」という状況が既に到来しているということですね。
国立医薬品食品衛生研究所:レボブノロール塩酸塩点眼液の後発医薬品評価報告書(先発・後発品の一覧と生物学的同等性確認)
現在、処方実績が多い後発品のひとつが「レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」」(ロートニッテン)です。 この製品の特徴は名前にある「PF」、すなわちPreservative Free(防腐剤無添加)である点です。通常の点眼液には細菌による二次汚染を防ぐために防腐剤(塩化ベンザルコニウムなど)が添加されていますが、この成分が角膜上皮障害やアレルギー反応の原因になることが臨床上の問題としてたびたび指摘されてきました。
防腐剤対策が必要な場面は限られます。ただし「使い続けると角膜障害が出やすい患者」には大きな差になります。
ロートニッテンが開発した「PFデラミ容器®」は内袋と外層の二重構造になっており、薬液を滴下すると内袋だけが縮んで外層と剥離する仕組みです。 ノズルの内側には0.22μmメンブランフィルターを取り付けることで、防腐剤を使わなくても開封後の微生物汚染を防ぐことができます。 ドライアイや角膜上皮障害を合併している緑内障患者、あるいは複数の点眼液を長期使用している患者にとって、防腐剤の影響を減らせることは大きなメリットです。
ロートニッテン公式:PFデラミ容器の構造とPF点眼薬ラインナップ(防腐剤無添加の仕組みを図解で解説)
レボブノロール塩酸塩は非選択的β遮断薬であり、β1・β2受容体の両方を遮断します。 眼圧下降作用の主なメカニズムは房水産生の抑制です。 重要なのは、その効果が24時間持続するという点で、これが1日1回点眼でのコントロールを可能にしている理由です。
参考)レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」の薬価・添付文…
24時間効果が続く点は使いやすいですね。
チモロールとの比較試験では、236名の原発開放隅角緑内障・高眼圧症患者を対象に二重盲検比較試験が実施されました。 結果として、レボブノロール群(1日1回点眼)の有効以上の有効率は81.7%(94/115例)、チモロール群(1日2回点眼)は80.5%(91/113例)であり、ハンディキャップ方式での同等性が統計的に確認されています(P=0.0144)。 つまり、1日1回でチモロール1日2回と同じ眼圧コントロールが得られるということです。
また、健康成人への単回点眼試験では、視神経乳頭血流量の有意な増加も確認されています。 緑内障の進行に関与するとされる乳頭部の血流が改善する可能性があり、眼圧下降効果に加えたもう一つの臨床的意義として注目されています。これが他のβ遮断薬との差別化ポイントになる場合があります。
しろぼんねっと:レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」の添付文書・薬価・臨床試験データ(医療従事者向け詳細情報)
点眼薬だからといって全身への影響を過小評価するのは危険です。これが原則です。
レボブノロールは点眼であっても全身的に吸収される可能性があり、β遮断薬の全身投与時と同様の副作用があらわれるおそれがあると添付文書に明記されています。 特に気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者への投与は、気管支攣縮を誘発するリスクがあるため原則禁忌です。また、徐脈や低血圧、心ブロックなどの心臓系副作用にも注意が必要で、心不全や洞性徐脈のある患者にも禁忌とされています。
動物実験ではレボブノロール塩酸塩のβ受容体遮断作用はプロプラノロールより「数倍強力」であることが示されています。 この強力な受容体遮断作用が全身吸収時に影響を与える可能性を考えると、定期的なバイタルチェックおよび問診は欠かせません。
反復投与試験(健康成人6例に両眼1日1滴×6日間)では、全採血ポイントで血漿中濃度は検出限界(0.5ng/mL)未満でした。 通常の使用では全身への血中移行はごく微量ですが、涙道を通じた鼻粘膜からの吸収経路があるため、点眼後に鼻涙管閉塞(鼻翼を軽く押さえる)を促すことで全身吸収をさらに抑えられます。患者指導のひと言として有用です。
緑内障の点眼治療では複数剤を組み合わせることが多く、レボブノロールも単剤で完結しないケースが珍しくありません。複数剤を使用する場合、点眼間隔は5分以上あけることが基本です。 先に点眼した薬液が後の点眼液によって洗い流されてしまうためで、5分以上の間隔を確保することで相互の影響はほとんどなくなるとされています。
参考)複数の点眼剤を使う場合の注意点について|ニュース&トピックス…
順番だけ覚えておけばOKです、というわけにはいかない場合があります。
先発・後発間の切り替えでは、有効成分が同じでも製剤特性(浸透圧、添加物、pH)が異なることがあります。 実際に先発点眼液からジェネリックへ変更後、浸透圧比の違いにより刺激感が増した事例が報告されています。 レボブノロールの先発品がすでに流通していない現在でも、後発品間での切り替え(例:防腐剤あり→PF製剤)においても同様の注意が求められます。
参考)レスキュラ点眼液からジェネリック医薬品に変更して目が沁みる|…
緑内障治療に用いる点眼剤の先発・後発切り替えに関する研究では、後発品への変更後に押しにくさ(容器の硬さ)が変わることで、使用期間によって投与量が変動するケースも確認されています。 切り替え後1〜3カ月を目安に眼圧の再評価を行い、変化があれば製剤を再検討するという習慣が、臨床では現実的な対応策になります。
リクナビ薬剤師:先発→後発切り替え後に刺激感が増したヒヤリ・ハット事例(製剤特性の違いによる臨床的影響)

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