網膜剥離手術の費用と保険適用を解説

網膜剥離の手術には高額な費用がかかりますが、健康保険の適用や高額療養費制度を利用できます。手術の種類による費用の違いや、民間保険の給付条件について知っていますか?

網膜剥離手術の費用と保険適用

この記事で分かること
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手術費用の目安

健康保険の負担割合による実際の支払額と入院費用

🏥
高額療養費制度の活用

月々の医療費負担を軽減する公的制度の仕組み

📋
民間保険の給付条件

生命保険や医療保険から受け取れる給付金の条件

網膜剥離手術の種類別費用相場

 

網膜剥離の手術には主に2つの術式があり、費用が異なります。硝子体手術は目の内側から治療する方法で、3割負担の場合、片眼あたり125,000円~180,000円前後が一般的です。強膜バックリング手術(網膜復位術)は目の外側から治療する方法で、3割負担で約160,000円となります。
参考)手術費用の案内 - 名古屋市中区の眼科杉田病院

1割負担の高齢者の場合、硝子体手術は片眼18,000円(上限)、網膜復位術は70,000円程度です。2割負担でも同様に片眼18,000円(上限)または70,000円が目安となり、高額療養費制度が適用されるため、所得に応じた自己負担限度額が設定されています。
参考)費用について|治療・手術|医療法人社団 彩光会

増殖性硝子体網膜症手術のような複雑な症例では、3割負担で約250,000円と高額になるケースもあります。手術の内容は症状の程度によって異なるため、実際の費用は多少前後することがあります。​

網膜剥離手術における入院期間と費用

網膜剥離の硝子体手術では、術後の安静と体位保持が重要なため、1週間前後の入院が推奨されています。これは網膜にあてたレーザーが瘢痕化するのに最低1週間かかるという医学的見解に基づいたものです。手術終了時に眼内にガスやシリコンオイルを注入した場合、浮力を利用して網膜を適切な位置に保つため、約一週間のうつ伏せでの安静が必要になります。
参考)網膜剥離の手術(硝子体手術・網膜復位術)|茨城県水戸市の小沢…

一方、強膜バックリング手術(網膜復位術)の場合は、術後の見え方の回復が硝子体手術に比べると早いため、入院期間は3~4日と短期間です。ガスやシリコンオイルを使用しない硝子体手術の場合も、患者の回復状況に応じて手術後3日目以降に退院が可能なケースがあります。
参考)硝子体手術の入院期間はどのくらい?硝子体手術の流れや費用につ…

近年では日帰り手術を提供する眼科も増えており、患者の状態や手術の内容に応じて選択肢となることもあります。入院に伴う費用がかからず、早期の仕事復帰や高齢者の体調管理にもメリットがあります。入院期間については特に決まりはありませんが、患者の希望を伺い、病状などを勘案し主治医が最終的に判断します。​

網膜剥離治療で利用できる高額療養費制度

高額療養費制度は、1カ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた際、超過分が還付される制度です。自己負担限度額は被保険者の所得や年齢によって異なり、70歳未満で標準報酬月額が28万~50万円の場合は「区分ウ」として、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%で計算されます。
参考)https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/medical/012.html

網膜剥離の手術では、硝子体手術の場合3割負担で125,000円~180,000円前後かかりますが、高額療養費制度を利用することで実際の負担額を大幅に軽減できます。事前に「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示すれば、窓口での支払いを限度額までに抑えることができます。​
高額医療費貸付制度も利用可能で、高額療養費の支給までの間、手術や入院などにかかった医療費を支払う資金がない被保険者のために、無利子で高額療養費支給見込額の8割~9割相当額を貸し付ける制度があります。また、同月内に両眼の手術を行う場合、高額療養費制度の適用により自己負担額が軽減されることがあります。
参考)https://fujishima-eye.net/s-llt/

網膜剥離手術後の合併症と再発リスク

網膜剥離は初回の手術が成功しても、一定の確率で再発(再剥離)することがあります。一般的に、手術後の再発率は数%~10%程度とされており、黄斑部近くの剥離や重症例だった場合、再発率がやや高まるといわれています。特殊な網膜剥離でなければ手術の成功率は90%程度で、約10%は再発することが報告されています。
参考)再発率は?網膜剥離の術後経過と注意点、長期的な視力管理

再発の多くは術後1ヶ月以内に起こり、原因裂孔や裂孔の見落としによるものが多く、1ヶ月以降の再発は新裂孔や増殖性硝子体網膜症(PVR)が原因とされています。眼内のガスが少なくなってきた頃に新たな網膜裂孔が形成され、網膜剥離が生じるケースもあります。
参考)網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)

術後の主な合併症として、黄斑パッカーがあります。これは網膜剥離の手術後に一定の確率で網膜上に異常な膜が形成されるもので、通常の黄斑前膜と比べて急速に進行し視力障害も強いことがあります。網膜に穴があいた際に眼内に散布された網膜色素上皮細胞が黄斑部に付着し、細胞増殖することで形成されます。​
術後1ヶ月程度は網膜再剥離の危険性が高いため、安静にして指示された体位を守ることが重要です。手術から半年経って病状が安定していれば、ひとまず安心といえるでしょう。定期検診は初期段階では1〜2週間おき、その後1ヶ月後、3ヶ月後、半年後と頻度を調整して通院することが推奨されます。
参考)網膜剥離の手術時間と仕事復帰までの期間は? - みんなの家庭…

網膜剥離手術における民間保険の給付条件

網膜剥離の手術は多くの生命保険や医療保険で手術給付金の対象となります。網膜復位術や網膜裂孔閉鎖術など、網膜剥離症手術の給付倍率は一般的に10倍で設定されています。手術給付金の金額は入院給付金日額×倍率で決まるため、例えば入院給付金日額が5,000円で倍率が10倍の場合、50,000円を受け取れる計算です。
参考)対象となる手術名一覧表(手術給付倍率表)から検索する場合

網膜光凝固術を施行した場合、「手術給付金付疾病入院特約」や「総合医療保険」などの契約では、施術の開始日からその日を含めて60日の間に1回の給付を限度として給付金が支払われます。また、「医療保険(2010)」などの契約では、左右各々施術の開始日からその日を含めて14日の間に1回の給付を限度とする場合があります。
参考)https://faq.asahi-life.co.jp/faq/show/3294?category_id=254amp;return_path=%2Fcategory%2Fshow%2F254%3Fpage%3D1%26site_domain%3Ddefault%26sort%3Dsort_new%26sort_order%3Ddescamp;site_domain=default

網膜剥離になった経験がある場合でも、治療のための手術を受け、医師から「完治」の診断を受け、完治から3年以上が経過している場合には通常の生命保険に加入できる可能性が高いです。ただし、治療中や入院期間が1ヵ月以上に及ぶ場合、部位不担保の保険にのみ加入できるケースがあります。保険会社によって条件が異なるため、加入申し込み前に告知内容をよく確認することが重要です。
参考)網膜剥離でも生命保険に入れる?保険加入時の告知義務も詳しく解…

網膜剥離手術の術式選択と医療従事者の視点

網膜剥離の治療法として、硝子体手術と強膜バックリング手術(強膜内陥術)がありますが、現在は裂孔原性網膜剥離の9割近くが硝子体手術で治療されています。強膜バックリング手術は主に若年者の萎縮円孔に伴う網膜剥離に対して行われており、若年者で液化硝子体が少ない場合や、狭い範囲の網膜剥離である場合に適応となります。
参考)網膜の外科的治療(手術)について

硝子体手術は網膜裂孔を牽引している硝子体を切除する方法で、角膜輪部から3.5-4㎜の位置に3か所の小さな穴を開けて行います。現在では25G(直径0.5㎜)または27G(直径0.4㎜)の小切開で低侵襲の手術が主流となっています。手術は通常、局所麻酔で行い、眼球周囲に注射を行います。
参考)網膜剥離手術

強膜バックリング手術と硝子体手術の比較研究では、いずれの術式も初回復位率は92%、最終復位率は100%という良好な成績が報告されています。ただし、初回非復位の原因として、強膜バックリング法では全例バックル位置不良による裂孔の非閉鎖であったのに対し、硝子体手術では術後の新裂孔形成が主な原因でした。
参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/104_24.pdf

硝子体手術後は有形硝子体によるタンポナーデ効果がなくなるため、裂孔閉鎖が不完全で残存硝子体の牽引が加われば、強膜バックリングに比べ容易に全剥離へと進展する可能性があります。そのため、術式の選択は患者の年齢、網膜剥離の範囲、裂孔の位置などを総合的に判断して決定する必要があります。
参考)網膜剥離の検査、治療、手術|大阪府河内長野市/堺市東区・美原…

 

 


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