あなた、P/F比だけ追うと原因治療が遅れます。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…

ARDSは単一の病名ではなく、さまざまな侵襲を背景に急性に生じる症候群です。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
日本呼吸器学会の解説では、2012年のベルリン定義として、1週間以内の急性発症、低酸素血症、胸部X線またはCTでの両側陰影、そして心不全が主因ではないことが診断の柱とされています。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
つまり原因の切り分けです。
臨床で重要なのは、「ARDSそのもの」を見つけて終わらないことです。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
ARDS診療ガイドライン2021は、急性呼吸不全患者にARDSの診断を行うことを推奨しつつ、原因となった疾患の診断と治療が予後改善に重要だと付帯事項で強調しています。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
原因治療が原則です。
医療従事者が陥りやすい思い込みは、「画像が両側びまん性ならARDS管理を先に固めれば十分」という考え方です。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
しかし実際には、肺炎、誤嚥、敗血症、輸血関連障害、真菌感染などで治療の初手が変わります。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
ここが分岐点ですね。
直接肺障害の代表は肺炎と胃内容物の誤嚥です。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
日本呼吸器学会は、直接肺障害で頻度が高いものとして肺炎と誤嚥を挙げています。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
結論はここが最多です。
肺炎は市中肺炎でも院内肺炎でも引き金になりえますが、原因微生物の同定で次の一手が変わります。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
ARDS診療ガイドライン2021では、肺炎球菌性肺炎に対する尿中肺炎球菌莢膜抗原は23研究10,900人、喀痰グラム染色は11研究1,794人で検討され、いずれも条件付き推奨でした。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
検査選択が重要です。
レジオネラ肺炎も外せません。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
尿中レジオネラ抗原は21研究11,724人で統合感度0.79、統合特異度1.00とされ、ARDSの原因肺炎を急いで絞りたい場面で特に有用です。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
迅速性が利点ですね。
誤嚥は「一時的なイベント」で軽く見られがちですが、胃内容物による化学性障害は一気に肺胞上皮を傷つけます。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
夜間の嘔吐、鎮静下、嚥下機能低下、高齢者の食後臥位など、病棟で実際に起こりやすい場面と結びつけて考えると見落としにくくなります。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
意外と近い原因です。
間接肺障害の代表は敗血症です。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
日本呼吸器学会は、肺以外の原因の代表として敗血症を挙げています。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
敗血症が中核です。
敗血症では感染巣が肺にないのにARDSへ進むことがあります。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
好中球活性化や炎症性メディエーターの暴走で肺胞毛細血管が障害され、血液中の水分や蛋白が漏れ出し、肺胞浮腫が進むという流れです。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
病態は全身反応です。
大量輸血も見逃しやすい原因です。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
「輸血で循環が安定したから安心」と考えた直後に、低酸素が進み胸部陰影が増えることがあります。ARDS診療では、輸血後の呼吸状態悪化を心原性肺水腫だけでなく肺障害でも考える視点が重要です。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
時間差に注意です。
重症外傷、熱傷、急性膵炎、脂肪塞栓も間接肺障害の候補です。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
特に急性膵炎は腹部疾患なので呼吸器の文脈から外れやすいのですが、全身炎症反応が強い症例ではARDSの原因として十分ありえます。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
肺外原因も忘れないことですね。
上位記事では肺炎と敗血症が中心ですが、実地では「何の肺炎か」を詰めるほど治療は速くなります。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
ARDS診療ガイドライン2021には、レジオネラ、CMV、PCP、侵襲性肺アスペルギルス症、粟粒結核まで原因検索の論点が並んでいます。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
ここが独自視点です。
PCPでは、血清β-D-グルカン80 pg/mLのカットオフで、3研究148人の統合感度0.84、統合特異度0.79が示されています。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
免疫不全患者、ステロイド使用中、血液疾患、移植後などで低酸素進行が速いときは、一般細菌だけ追うと遅れます。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
背景確認が必須です。
CMV肺炎は、BALFのPCRで5研究353人の統合感度0.94、統合特異度0.84とされ、アンチゲネミア法も補助になります。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
特に長期ICU管理や免疫抑制下では、細菌培養がはっきりしないまま悪化する症例で頭に置く価値があります。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
そこが差になります。
侵襲性肺アスペルギルス症では、血清β-D-グルカンだけで判断しないことが条件付き推奨で、血中およびBALF中ガラクトマンナン抗原の活用が勧められています。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
真菌を想定すべき場面で検査の組み合わせを知っていると、抗真菌薬導入までの時間を短縮できます。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
時間ロスを減らせます。
原因検索でまず迷うのは、「ARDSなのか、心原性肺水腫なのか」という場面です。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
ガイドラインではBNP 400~500 pg/mLの3研究252人で統合感度0.77、統合特異度0.62、NT-proBNP 4,000 pg/mLの1研究121人で統合感度0.71、統合特異度0.89とされ、鑑別補助として条件付き推奨でした。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
数値だけで決めないことですね。
次に迷うのは、P/F比や画像所見を「原因確定」に使いたくなる場面です。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
しかしガイドラインでは、P/F比100のカットオフで19研究15,040人、200のカットオフで20研究15,489人を検討したうえで、P/F比の結果のみで判断しないことを条件付き推奨としています。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
つまり重症度と原因は別です。
あなたが現場で得をする整理法は、原因を3段で考えることです。
参考)https://www.jsicm.org/publication/pdf/220728JSICM_ihardsg.pdf
1段目は直接肺障害か間接肺障害か、2段目は感染・誤嚥・輸血・外傷・膵炎・薬剤か、3段目は今すぐ治療を変える検査があるか、です。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
この順なら迷いません。
原因検索の手間を減らすには、院内でARDS初期評価メモを1枚化するのが有効です。
参考)急性呼吸窮迫症候群の症状・原因・対処法 Doctors Me…
急性呼吸不全、1週間以内、両側陰影、心原性の除外、敗血症の有無、誤嚥歴、輸血歴、免疫抑制、真菌リスクをチェック欄にすると、忙しい当直でも抜けが減ります。
参考)https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0114.html
仕組み化が近道です。
原因疾患の診断と検査選択の参考になる日本語資料です。
ARDS診療ガイドライン2021
ARDSの定義、直接肺障害と間接肺障害の基本整理に役立つ日本語資料です。
日本呼吸器学会 急性呼吸不全・ARDS 解説PDF
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