クラミジア感染症は、Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)という細菌による感染症です 。この細菌は粘膜や体液を介して人から人へ感染し、感染部位の粘膜に定着して炎症を引き起こします 。クラミジアは主に性交渉を通じて感染し、1回の性行為での感染率は30~50%と非常に高い数値を示しています 。
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感染者の精液、膣分泌液、唾液などの体液に存在するクラミジアが、相手の粘膜と直接接触することで感染が成立します 。特に性器周辺の粘膜は感染リスクが高く、男性では尿道、女性では子宮頸管への感染が最も多く見られます 。クラミジアは細胞内に寄生する特殊な細菌であり、一度感染すると免疫による排除が困難な特徴を持っています 。
参考)クラミジアの原因と治療 
膣性交は最も一般的な感染経路であり、男性の陰茎から女性の膣粘膜へ、あるいは女性の膣分泌液から男性の尿道への感染が起こります 。実際に挿入しなくても、性器同士の接触や粘膜の触れ合いだけでも感染する可能性があります 。アナルセックスによる直腸感染も重要な感染経路の一つで、直腸炎や肛門周辺の症状を引き起こすことがあります 。
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オーラルセックスは近年特に注目されている感染経路です 。フェラチオ(口を使った性行為)により、性器クラミジアに感染した人の約10~20%に咽頭への感染が見られるという報告があります 。クンニリングスも同様に感染経路となり、女性器への口腔接触により感染が起こる可能性があります 。軽いキスでも感染リスクは低いものの、唾液を介した感染も理論的には可能とされています 。
参考)クラミジア感染症と言われたら? 
妊娠中の母親がクラミジアに感染している場合、分娩時に産道感染により新生児に感染するリスクがあります 。母親が治療を受けていない場合、出産時に赤ちゃんが感染する確率は20~40%とされており、感染した新生児の25~50%が母子感染すると報告されています 。新生児への感染は主に生後3ヶ月以内に発症し、新生児クラミジア感染症という病気を引き起こします 。
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新生児クラミジア感染症の主な症状として、新生児結膜炎が最も頻繁に見られ、生後から10日以内に発症することが多いです 。さらに深刻な合併症として、新生児肺炎が3~20%の確率で発症し、特に低体重の新生児では重症化するリスクが高くなります 。このため、多くの産婦人科では妊婦健診でのクラミジア検査を実施し、感染が確認された場合は出産前に胎児への安全性を考慮したマクロライド系抗菌薬による治療を行っています 。
参考)母児感染症/クラミジア感染症/ホームメイト
クラミジアは基本的に粘膜レベルでの直接接触や分泌液を介して感染するため、プールや温泉、トイレなどでの間接的な感染リスクは非常に低いとされています 。感染者の分泌物が付着した便器やタオルを介した感染は理論上考えられますが、実際に感染することはまずありません 。これは、クラミジア菌が体外環境では短時間しか生存できない特性を持っているためです。
参考)性器クラミジア感染症の解説
ただし、感染者の体液が付着した指で目を触ることにより、結膜への感染が起こる可能性があります 。また、咽頭感染がある場合、目から喉への感染拡大も報告されており、体内での感染部位間の拡散には注意が必要です 。このような間接的な感染を防ぐためには、適切な手洗いの励行と、感染の可能性がある場合の早期検査・治療が重要となります。
クラミジア感染症の最も危険な特徴は、感染しても多くの場合で自覚症状が現れない「無症状感染」です 。女性では約8割、男性では約5~6割が無症状とされており、感染に気づかないまま長期間過ごしてしまうケースが多く見られます 。この無症状の特性により、診断や治療が遅れがちになり、知らず知らずのうちにパートナーへ感染を広げるリスクが高くなります。
参考)クラミジアについて 
無症状が多い理由として、クラミジア菌が体の免疫システムから逃れるのが得意な性質を持ち、初期の感染段階では炎症反応が起きにくいことが挙げられます 。症状が出ても非常に軽微で、「疲れているのかな」「一時的なものだろう」と見過ごされることも多いです 。クラミジアは細胞内に感染するため免疫による排除が困難で、治療せずに長期間感染が続くことも珍しくありません 。このため、症状の有無に関わらず定期的な検査を受けることが感染の早期発見と治療において極めて重要となります。
参考)性器クラミジアかも?無症状が多い性病の症状・検査・治療法 href="https://asitano.jp/article/672" target="_blank">https://asitano.jp/article/672amp;…