カルシウムを補給したいなら、サプリより「カルチコール」の方が骨への効果が劣る場合がある。
グルコン酸カルシウムを有効成分とする医療用医薬品の代表的な商品名が、カルチコール(製造販売元:日医工株式会社)です。正式な一般名は「グルコン酸カルシウム水和物(Calcium Gluconate Hydrate)」で、薬効分類はカルシウム補給剤(分類番号3213)に属します。
カルチコールには現在、以下の2種類の製品があります。
| 商品名 | 規格 | 薬価 | 剤形 |
|---|---|---|---|
| カルチコール注射液8.5% 5mL | 8.5% 5mL 1管 | 84円/管 | 注射用剤 |
| カルチコール注射液8.5% 10mL | 8.5% 10mL 1管 | 96円/管 | 注射用剤 |
| カルチコール末 | 1g | 7.5円/g | 内服散剤 |
グルコン酸カルシウムが「カルチコール」という名前で市販されていることを知らない人は少なくありません。「カルシウムの薬=サプリ」と思いがちですが、カルチコールは医師の処方が必要な処方箋医薬品です。つまり、薬局で自由に買えるものではありません。
カルシウム補給剤が全て市販されているわけではないということですね。
また、グルコン酸カルシウムは有機酸系のカルシウム化合物で、カルシウムを無水物で9.3%、1水和物で8.9%含みます。他の代表的なカルシウム製剤(炭酸カルシウムなど)と比べると純粋なカルシウム含有量は低めですが、胃酸がなくても比較的溶けやすく吸収されやすいという特性を持ちます。これは有機酸系カルシウムの共通の長所です。
消化管からの吸収率は約27%(成人男性)とされており、食品からのカルシウム吸収率(一般的に20〜30%)と同程度の水準です。
参考:カルチコールの添付文書(KEGG DRUG)
カルチコール添付文書情報(KEGG DRUG) — 効能・禁忌・相互作用など公式情報を確認できます
カルチコールには注射液と散剤という2つの剤形があり、それぞれ使われる場面が大きく異なります。これが意外と混同されやすいポイントです。
注射液(カルチコール注射液8.5%)の適応は、低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状の緊急治療と、小児脂肪便(経口投与不能時)のカルシウム補給に限られます。テタニーとは、血中カルシウムが急激に低下したときに起こる、手足のしびれや筋肉のけいれん・硬直などの症状のことです。
散剤(カルチコール末)は経口投与製剤で、通常成人1日1〜5gを3回に分割して服用します。こちらは低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状に加え、骨粗鬆症などにおけるカルシウム補給にも使われる場合があります。
注射と内服で使い分けが必要です。
また、注射液については投与速度にも厳格な注意が必要で、カルシウムとして毎分0.68〜1.36mEq(本剤毎分1.7〜3.5mL)を超えない速さで緩徐に注射しなければなりません。急速に注射してしまうと、心悸亢進・徐脈・血圧変動・熱感・潮紅・発汗などの重篤な症状を引き起こすおそれがあります。これは臨床現場において特に注意が必要な投与管理のポイントです。
さらに、注射の際は血管外への漏出にも注意が必要です。万が一漏出した場合、組織内石灰沈着症が生じたとの報告があります。特に新生児・乳幼児への投与では血管外漏出のリスクが高いため、細心の注意が求められます。
参考:薬局薬剤師が解説するカルシウム製剤の比較(カルチコールの特徴含む)
薬局薬剤師が解説!代表的なカルシウム製剤について比較 — カルチコールと他剤の吸収率・カルシウム含有量の比較が分かりやすくまとめられています
カルチコールを使ってはいけない患者さん(禁忌)がいます。これを知らずに服用・投与してしまうと、健康上の重大なリスクが生じます。
禁忌となるのは以下の4つです。
- 強心配糖体(ジゴキシンなど)の投与を受けている患者:カルシウムが強心配糖体の作用を増強し、徐脈・心室性期外収縮・房室ブロックなどの中毒症状を誘発するおそれがあります。
- 高カルシウム血症の患者:さらに症状を悪化させるリスクがあります。
- 腎結石のある患者:腎結石を助長するおそれがあります。
- 重篤な腎不全のある患者:組織への石灰沈着を促進するリスクがあります。
副作用も重要です。
グルコン酸カルシウムの重大な副作用として、高カルシウム血症と結石症があります。これは頻度不明ですが、長期投与で血中・尿中カルシウムが高値になることがあります。初期症状は口の渇き・多飲・多尿(高カルシウム血症)や、腹部・腰背部の痛み・血尿(結石症)です。
痛いですね。
また過剰投与になると、食欲不振・悪心・嘔吐・便秘・筋力低下・多飲多尿・精神症状が出現し、さらに重篤になると不整脈・意識障害まで進行する可能性があります。そのため、長期にわたって投与を続ける場合は、定期的に血中または尿中カルシウム濃度を検査することが添付文書で義務付けられています。
長期投与には検査が必須です。
一方、注意すべき薬剤の飲み合わせとして活性型ビタミンD製剤(アルファカルシドールなど)との併用があります。活性型ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を高めるため、グルコン酸カルシウムと同時に使うと高カルシウム血症が生じやすくなります。骨粗鬆症治療などでこの組み合わせが処方されることがありますが、特に高齢者では腎機能の低下も伴いやすく、より慎重な管理が必要です。
参考:くすりのしおり(患者向け情報)カルチコール注射液8.5%5mL
くすりのしおり:カルチコール注射液8.5%5mL — 副作用・禁忌を含む患者向けの分かりやすい情報です
骨粗鬆症やカルシウム補給を目的とした医薬品は、カルチコールだけではありません。代表的なカルシウム製剤との違いを把握しておくと、処方内容への理解が深まります。
主なカルシウム製剤の比較をまとめると以下のとおりです。
| 商品名 | 一般名 | 1gあたりのCa含有量 | 吸収率の目安 | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|
| カルチコール末 | グルコン酸カルシウム | 約92mg | 約27% | テタニー、低Ca血症 |
| アスパラCA | Lアスパラギン酸Ca | 約22mg/錠 | 高め | テタニー、骨粗鬆症 |
| 乳酸カルシウム | 乳酸カルシウム | 約130mg | 約33% | テタニー、副甲状腺機能低下症 |
| カルタン | 沈降炭酸カルシウム | 約200mg/0.5g | 吸収より排泄目的 | 高リン血症(慢性腎不全) |
カルシウム含有量だけで見れば炭酸カルシウム(カルタン)が最も多いですが、こちらは主に消化管内でリンと結合して体外へ排泄させる「リン吸着剤」としての用途がメインです。つまり同じカルシウム製剤でも使用目的が根本的に異なります。
有機酸系と無機酸系で使い分けが原則です。
グルコン酸カルシウム(カルチコール)は有機酸系に分類されます。有機酸系カルシウムは、無機酸系(炭酸カルシウムなど)に比べて消化管での吸収率が高いという特性があります。ただし1g中のカルシウム純含有量は比較的少なめです。これは「吸収されやすいが、1回の投与量に含まれる絶対量は少ない」という特徴を意味します。
このバランスをどう評価するかは、患者さんの状態や治療目的によって変わります。緊急性の高い低カルシウム血症に対しては、吸収速度が速い注射剤が優先されます。一方、慢性的な骨粗鬆症の長期管理では、乳酸カルシウムやアスパラCaが使われるケースが多い印象です。
「グルコン酸カルシウム=医薬品(カルチコール)」というイメージを持つ方は多いですが、実はこの物質は食品添加物としても広く使われています。これはあまり知られていない事実です。
食品添加物としてのグルコン酸カルシウムは、主に以下の目的で使用されます。
- カルシウム強化剤:飲料・ドリンク剤などの液状製品に添加されます。有機酸カルシウム化合物の中では水への溶解性が高く、高濃度でカルシウムを添加しても製品の風味に影響を与えにくい

グルコン酸ナトリウム 1kg 1000g グルコン グルコン酸 代替食塩 減塩 低塩 保存性向上 呈味改善剤 ビフィズス菌増殖剤 ph調整剤 変色防止 融解剤 酸味料 水素イオン濃度調整剤 調味料 キレート剤 乳化助剤 獣臭 大豆臭 マスキング剤 食品添加物 Sodium gluconate