副作用の「頻度が低い=安全」と思い込んでいると、患者が0.3%未満の精神症状を訴えた時に見逃すリスクがあります。
海外臨床試験(未治療患者634例・48週時点)において、ビクタルビ配合錠を投与された患者の21.9%に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。 主な副作用は頭痛29例(4.6%)、下痢29例(4.6%)、悪心26例(4.1%)の3つが上位を占めます。
参考)ビクタルビ|副作用・安全性情報・RMP|G-STATION …
これが基本です。
一方で、2%以上の頻度で現れる症状は下記の通りです。
参考)ビクタルビ配合錠の効能・副作用|ケアネット医療用医薬品検索
0.3%以上2%未満の頻度では、便秘・腹部膨満・嘔吐・腹痛・動悸・傾眠・不眠症・抑うつ気分・悪夢・異常な夢・リビドー減退などの精神神経症状も報告されています。 これらは「頻度が低いから問題なし」と片付けられやすい領域ですが、患者のQOLに直結するため、問診票への記載を促すなど積極的な情報収集が重要です。hokuto+1
見落としがちなポイントですね。
また、治療経験のある患者を対象とした切り替え試験(1878試験)では、ビクタルビ配合錠群で290例中54例(18.6%)に副作用が認められ、重篤な副作用として統合失調症が1例報告されています。 精神症状の既往がある患者への投与では、より慎重なモニタリングが求められます。
参考)ビクタルビ|臨床成績 1878試験 安全性|G-STATIO…
以下に副作用を頻度別で整理します。
| 頻度 | 主な副作用 |
|---|---|
| 2%以上 | 頭痛、浮動性めまい、悪心、下痢、疲労 |
| 0.3%以上2%未満 | 動悸、傾眠、便秘、腹部膨満、嘔吐、腹痛、不眠症、抑うつ気分、悪夢、リビドー減退、頻尿、関節痛、食欲減退、ほてり |
| 頻度不明 | 血管性浮腫、蕁麻疹、体脂肪再分布・蓄積 |
参考情報(CareNet.com:ビクタルビ配合錠の効能・副作用 / 添付文書ベースの副作用詳細一覧)。
ビクタルビ配合錠の効能・副作用|ケアネット医療用医薬品検索
ビクタルビに含まれるテノホビル アラフェナミド(TAF)は、旧世代のTDF(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)と比較して腎毒性が低いとされますが、腎不全・重度の腎機能障害は重大な副作用として添付文書に明記されています。 腎毒性が低いからと定期検査を省略してはいけません。
症状としては、尿量減少・むくみ・体のだるさ・筋力低下・骨痛・尿量増加・口渇・多飲などが挙げられます。 これらは非特異的な訴えであることが多く、患者が「年のせい」と思い込んで申告しないケースも珍しくありません。診察時に意識的に確認する習慣が重要です。
腎機能低下が疑われた場合は定期的な検査で早期に把握し、異常が認められれば投与中止を含めた対応が求められます。
乳酸アシドーシスは頻度不明ですが、発症した場合は致命的になり得る重篤な状態です。 以下の症状が出た際は、服用を中止して即座に受診するよう患者に指導しておくことが欠かせません。rad-ar+1
つまり、乳酸アシドーシスは「早期発見・即中止」が原則です。
参考情報(HIVの患者向けポータルサイト ギリアド・サイエンシズ:重大副作用の詳細解説)。
副作用について|ギリアド・サイエンシズ
免疫再構築炎症反応症候群(IRIS)は、抗HIV療法の開始後に免疫力が回復することで、それまで潜伏していた感染症や自己免疫疾患が顕在化する現象です。 ビクタルビ服用開始後に発熱・下痢・炎症反応が出た場合、副作用ではなくIRISの可能性を検討することが重要です。
意外ですね。
これが見逃されやすい理由は、「薬を始めた後に具合が悪くなった=薬の副作用」と直感的に判断されやすいからです。実際には、HIV治療が奏功して免疫が回復しているサインである場合があります。
IRISで注意が必要な代表的な病原体・疾患には以下があります。
IRISが疑われる場合、感染症科や免疫科との連携が求められます。また、治療継続かどうかの判断は症状の重症度に応じて個別に行う必要があります。これが条件です。
参考情報(大阪HIV診療ネットワーク:ビクタルビ配合錠の添付文書解説 / IRIS含む重大副作用の詳細)。
https://osaka-hiv.jp/information/bvy_apndng.htm
ビクタルビの長期投与において、骨密度の低下が副作用として報告されています。 TAFはTDFと比較して骨密度への影響が少ないとされてきましたが、「少ない=ゼロ」ではありません。骨粗鬆症のリスクが高い患者(高齢者・閉経後女性・ステロイド使用者など)では、DXA法による定期的な骨密度モニタリングが推奨されます。
また、頻度不明の副作用として体脂肪再分布・体脂肪蓄積も報告されています。 顔・四肢の脂肪が減少し、腹部や後頸部に蓄積するリポジストロフィーは、以前の核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)で多く見られた現象ですが、現行薬でも発現リスクはゼロではありません。
これは知っておく必要があります。
長期服用患者に対しては、年1回程度の骨密度測定と体重・体組成の変化確認を診療計画に組み込んでおくと、早期介入につながります。骨密度低下が確認された場合は、ビタミンDやカルシウムの補充、必要に応じてビスホスホネート系薬の使用も検討されます。
参考情報(PMDA:ビクタルビ配合錠に関する資料 / 骨・代謝系副作用の詳細が確認できます)。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190423002/230867000_23100AMX00302_B100_1.pdf
ビクタルビには併用禁忌薬が複数あります。 代表的なものを以下に示します。見落とすと副作用リスクが大きく上昇するため、処方時の確認は必須です。
| 分類 | 薬剤名(代表例) | 理由 |
|---|---|---|
| 抗酸菌症治療薬 | リファンピシン(リファジン) | CYP3A誘導によりビクテグラビル血中濃度が大幅低下 |
| 抗てんかん薬 | カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール、フェニトイン | 同上、ウイルス抑制効果の喪失リスク |
これが原則です。
併用注意薬としてはリファブチン・アタザナビル・ピルシカイニド(サンリズム)・制酸剤(マグネシウム含有など)が挙げられます。 制酸剤については服用タイミングをずらすことで対応可能なケースが多く、「2時間以上前、または6時間後に服用」を指導する方法が一般的です。
患者への服薬指導で特に強調すべき点は下記の3点です。
240週(約5年)にわたる長期試験でも高いウイルス抑制率が維持されており、 適切な副作用管理と服薬継続が治療成功の鍵となります。副作用が疑われた際の「中断か継続か」の判断は、副作用の種類・重症度を踏まえて主治医と薬剤師が連携して行うことが理想的です。
参考)ビクタルビ(R)、未治療の成人において5年間のウイルス抑制を…
参考情報(KEGGメドイカス:ビクタルビ相互作用情報 / 禁忌・注意薬の全リストが確認できます)。
医療用医薬品 : ビクタルビ (相互作用情報)