アルタットカプセル販売中止理由と医療現場への影響

アルタットカプセルの販売中止について、その理由や背景、代替薬について詳しく解説します。医療従事者が知っておくべき情報をまとめています。どのような影響があるのでしょうか?

アルタットカプセル販売中止理由

アルタットカプセル販売中止の背景
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物流センター火災の影響

2021年11月の西日本物流センター火災が製造・供給体制に深刻な影響

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在庫消尽による段階的販売終了

各包装規格で順次在庫がなくなり次第販売中止を実施

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肝機能障害リスクの課題

重篤な肝障害や黄疸の副作用報告が継続的な懸念事項

アルタットカプセル(ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩)の販売中止は、複数の要因が重なって決定されました。最も大きな要因は、2021年11月に発生した委託先西日本物流センターの火災が製造・供給体制に深刻な影響を与えたことです。
参考)https://www.ohara-ch.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/4b00900f859b8a7552c1ba0f2b26c0e4.pdf

 

あすか製薬株式会社は、この火災の影響により在庫確保が困難となり、諸般の事情により製造販売を中止することを発表しました。具体的には、2022年4月から段階的に各包装規格の在庫消尽に合わせて販売を終了し、2024年12月までにすべての包装容量の販売中止が完了しています。
参考)https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/item/detail.php?id=150

 

アルタットカプセル物流センター火災影響

物流センター火災は医薬品業界全体に深刻な影響を与えました。日立物流西日本の物流センター(大阪市此花区)で発生した火災により、委託していた複数の製薬会社の医薬品供給に遅れや出荷停止が生じました。
参考)https://www.logi-today.com/467270

 

アルタットカプセルを製造・販売するあすか製薬も例外ではなく、火災発生直後から供給体制の再構築を迫られました。月間出荷数量の3~4割を占める月初と重なったことも被害を拡大させる要因となりました。
厚生労働省は火災を受けて、安定供給に支障をきたす可能性がある医薬品17成分28品目を公表し、医療機関や医薬品卸売業者に対して過剰な購入を控えるよう事務連絡を出しました。

アルタットカプセル在庫消尽時期

販売中止は段階的に実施され、包装容量ごとに異なる時期に在庫消尽となりました。37.5mg製剤では2022年4月に一部包装(10cp×10)の販売が中止され、75mg製剤では2023年7月24日に告知、2024年10月1日に実施されました。
参考)https://drugshortage.jp/drugdata.php?drugid=78314

 

バラ500カプセル包装は在庫消尽後販売中止となり、PTP1000カプセル包装も同様の措置が取られました。経過措置期間は2026年3月31日まで設定されており、この期間内に代替薬への切り替えが推奨されています。
参考)https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/keikasochi/

 

現在も一部の包装容量は継続販売されていますが、在庫状況により多少前後する可能性があるため、医療機関では早めの代替薬検討が必要です。
参考)https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/news/filedownload.php?name=edeeb3c9795ce36b6dc43bd09027f233.pdf

 

アルタットカプセル代替薬選択肢

アルタットカプセルの代替薬として、同じH2受容体拮抗薬が複数選択可能です。**ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩徐放カプセル「サワイ」**が後発品として利用できます。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG01481

 

他のH2受容体拮抗薬としては以下の選択肢があります。

薬価面では、後発品のロキサチジン酢酸エステル塩酸塩徐放カプセル37.5mg「サワイ」が10.1円/カプセルと、先発品アルタットカプセル37.5mgの15.1円/カプセルより経済的です。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D01467

 

アルタットカプセル肝機能障害リスク

アルタットカプセルの販売中止背景には、重篤な肝機能障害のリスクも関連していると考えられます。添付文書には「肝機能障害、黄疸(いずれも0.1%未満)」として副作用が記載されており、定期的な肝機能検査が推奨されています。
参考)https://hokuto.app/medicine/DwsLF7W4pjGTK83N71CU

 

特に注意すべき副作用として以下が報告されています。

  • AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等の肝機能障害
  • 黄疸の発現
  • 横紋筋融解症(0.1%未満)
  • 房室ブロック等の心ブロック

医薬品等安全性情報では他のH2受容体拮抗薬での重篤な肝障害事例も報告されており、同系統薬剤使用時は少なくとも1ヵ月に1回の肝機能検査が重要です。
参考)https://www.umin.ac.jp/fukusayou/150a.html

 

アルタットカプセル医療現場での対応策

医療現場では患者への適切な説明と代替薬への円滑な移行が重要です。特に長期間アルタットカプセルを服用している患者に対しては、治療継続性を保ちながら代替薬へ切り替えることが求められます。

 

患者説明時のポイント。
📋 薬効の継続性:同じH2受容体拮抗薬なので治療効果は維持される
💊 服用方法の確認:代替薬の用法・用量が異なる場合の詳細説明
⚠️ 副作用の注意肝機能検査の継続必要性
💰 薬価の変化:後発品選択による経済的メリット
処方変更時は、患者の腎機能や肝機能状態を考慮し、投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど慎重な投与が必要です。高齢者では特に腎機能低下により血中濃度が持続するおそれがあるため注意が必要です。
薬剤師による服薬指導では、新しい薬剤の特徴や注意点を丁寧に説明し、患者の不安を軽減することが重要です。また、定期的な肝機能検査の重要性についても継続して啓発していく必要があります。

 

アルタットカプセルの販売中止は医療現場に影響を与えますが、適切な代替薬選択と患者への十分な説明により、治療の質を維持しながら円滑な移行が可能です。