アミノ酸輸液一覧と種類別の使い分けと選択のコツ

アミノ酸輸液には5種類の分類があり、病態によって使い分けが求められます。総合・侵襲時・肝不全・腎不全・小児用の特徴と主要製品を一覧で解説。選択を誤ると患者の回復に影響するかもしれません。

アミノ酸輸液の一覧と種類別の選択・使い分け

アミノ酸輸液の種類をすべて同列に扱っていると、患者の回復が最大3割遅れることがあります。


🔍 この記事の3つのポイント
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5種類の分類を把握する

アミノ酸輸液は総合・侵襲時・肝不全・腎不全・小児用の5カテゴリに分類され、それぞれ組成が大きく異なります。

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主要製品名と特徴を一覧で理解

アミパレン・アミノレバン・キドミンなど製品ごとのBCAA含量やE/N比の違いを確認することが使い分けの基本です。

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NPC/N比と病態別の投与設計

腎不全ではNPC/N比を300〜500、侵襲期は100〜150に設定するなど、数値を意識した投与設計が合併症を防ぎます。


アミノ酸輸液の5種類と主な製品一覧



アミノ酸輸液は病態ごとに組成が最適化された5つのカテゴリに分かれています。 製品を選ぶ前に、まずカテゴリを確定させることが原則です。


関連)http://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.pdf


以下に各カテゴリと代表製品をまとめます。


カテゴリ 代表製品名 BCAA含量 主な適応
①総合アミノ酸輸液 モリプロンF輸液、プロテアミン12注射液 21〜23% 一般的な栄養補給、長期投与
②侵襲時用アミノ酸輸液 アミパレン輸液、アミゼットB輸液、アミニック輸液 30〜36% 手術後・外傷・感染症
肝不全用アミノ酸輸液 アミノレバン点滴静注、モリヘパミン輸液 高BCAA(Fischer処方) 肝性脳症・肝硬変
腎不全用アミノ酸輸液 キドミン輸液、ネオアミユー輸液 42〜46% 保存期腎不全(透析前)
⑤小児用アミノ酸輸液 プレアミン-P注射液 39% 新生児〜3歳の乳幼児


総合アミノ酸輸液はFAO/WHO基準または人乳パターンに準拠し、E/N比(必須アミノ酸/非必須アミノ酸比)が約1に設定されています。 バランスがよく長期投与に向いており、多くの施設でまず使われる製品群です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


侵襲時用はTEO基準に基づき設計され、E/N比は1.3〜1.7とやや高く、グリシン・グルタミン酸・アスパラギン酸など過量で毒性となるアミノ酸を意図的に減らしています。 これは侵襲期の重要な設計思想です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


なお、キット製剤(エルネオパNF、ネオパレン、フルカリック、ピーエヌツインなど)はアミノ酸輸液を内包しており、対応するアミノ酸のカテゴリを理解した上で使い分けます。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


アミノ酸輸液の選択で重要なBCAA比率の見方

BCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン・ロイシン・イソロイシン)の含量は、製剤選択の最重要指標のひとつです。 BCAAが高いほど侵襲期や肝障害時に有利です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


BCAAは体内で独特の代謝経路をたどります。ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに対し、BCAAは主に筋肉で代謝されエネルギー源として利用されます。 これが肝機能障害時でも使える理由です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


特にロイシンは3種のBCAAの中でも筋蛋白合成を促進し、蛋白分解を抑制する効果が最も強いとされています。 つまりBCAAは「量」だけでなく「ロイシンの割合」も意識するとよいです。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


各カテゴリのBCAA含量の目安は以下のとおりです。


  • 総合アミノ酸輸液:21〜23%(標準的な割合)
  • 侵襲時用アミノ酸輸液:30〜36%(異化亢進に対応)
  • 腎不全用アミノ酸輸液:42〜46%(最高水準)
  • 小児用アミノ酸輸液:39%(成長期の需要に対応)
  • 肝不全用アミノ酸輸液:BCAAを多くしFischer比(BCAA/AAA比)を高めた処方


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


腎不全用のBCAAが42〜46%と高い理由は、腎機能低下によりBCAAとスレオニンが低下しやすく、非必須アミノ酸は逆に高値になりやすいためです。 必要最低限の非必須アミノ酸を配し、E/N比を2.6と高く設計しています。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


侵襲期には「BCAAで筋肉の分解を抑えつつエネルギーを確保する」という考え方が基本です。


アミノ酸輸液の投与設計:NPC/N比と蛋白質量の計算

投与設計を間違えると、アミノ酸が蛋白合成ではなくエネルギーとして燃えてしまい効率が大きく落ちます。これは避けたいですね。


1日の必要蛋白質量(g)は「侵襲係数×体重(kg)」で計算します。 侵襲の程度が大きい病態ほど係数が高くなります。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


NPC/N比(non-protein calorie/nitrogen ratio)は糖質+脂質のエネルギー(kcal)と窒素(g)の比率です。 病態によって目安は異なります。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


病態 NPC/N比の目安
侵襲なし(通常状態) 150〜200
異化亢進(熱傷・感染症) 100〜150
腎不全 300〜500


蛋白質には一般に窒素が16%含まれるため、「1g窒素=6.25g蛋白質」という窒素係数を使います。 窒素バランス(総窒素投与量−総窒素排泄量)が正であれば蛋白同化状態、負であれば蛋白異化状態と判断します。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


窒素バランスの簡易計算(Blackburn法)は以下の式です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


窒素バランス=(蛋白質投与量÷6.25)−(尿中尿素窒素+4)


NPC/N比と窒素バランスの2つを軸に投与設計するのが基本です。


肝不全・腎不全向けアミノ酸輸液の具体的な使い分け

肝不全用と腎不全用はどちらも「特殊組成」ですが、方向性がまったく異なります。混同すると逆効果になるので注意が必要です。


肝不全用(Fischer処方)の特徴は、BCAAを多く・芳香族アミノ酸フェニルアラニンチロシン)・メチオニン・トリプトファンを少なくした組成です。 肝性脳症では血中BCAAが低下し、芳香族アミノ酸が上昇する独特のアミノ酸パターンを呈するためです。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


Fischer比(BCAA/AAA比)またはBTR(BCAA/チロシン比)の低下が、肝性脳症の病態把握に使われます。 アミノレバンはFischer処方に基づき、モリヘパミンはアルギニンを増量しメチオニン・チロシンを減量した処方です。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


腎不全用は逆に、必須アミノ酸を中心に最低限の非必須アミノ酸のみを配合します。 これは腎機能の維持と尿毒症の改善を図りながら栄養補給を行う目的があります。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


  • 肝不全用:BCAAを増やし、芳香族アミノ酸を減らす
  • 腎不全用:必須アミノ酸中心、E/N比2.6、非必須アミノ酸は最小限


つまり目的と組成の方向性が180度異なります。製品カテゴリの確認が条件です。


参考:アミノ酸製剤の種類と特徴(PDNレクチャー、呉共済病院外科 田原浩先生著)


PDNレクチャー Chapter3 2.9 アミノ酸製剤の種類と特徴 — 肝不全・腎不全用アミノ酸輸液の組成と使い分けを解説した権威ある臨床教材


日本国内では使えない「グルタミン含有アミノ酸輸液」という盲点

グルタミンは腸管粘膜の主要エネルギー基質であり、免疫担当細胞の栄養素としても重要です。 しかし国内で販売されているアミノ酸輸液製剤にはグルタミンが含まれていません。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


理由はグルタミンの物性にあります。グルタミン単体では水に溶けにくく、溶解しても不安定で熱・光によりアンモニアを発生するためです。 製剤化が難しいということです。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


欧州ではグルタミンのDipeptide(ジペプチド)製剤が市販されており、ICUや熱傷患者への投与が普及しています。 ESPENガイドラインも熱傷・外傷患者へのグルタミン投与を推奨しています。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


米国(SCCM/ASPEN)のガイドラインでも熱傷・外傷・ICU患者へのグルタミン投与が記載されています。 国内外でのガイドラインの差は意識しておく価値があります。


関連)https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html


  • 国内:グルタミン含有アミノ酸輸液は未承認
  • 欧州・米国:Dipeptide型グルタミン製剤が使用可能
  • グルタミンの役割:腸管粘膜の維持、bacterial translocationの抑制、ICU患者の予後改善


国内では現時点でグルタミンを静脈投与する場合、経腸栄養との組み合わせを検討するのが現実的な選択肢です。


参考:静脈栄養とグルタミンに関する国内外ガイドラインの比較情報


PDNレクチャー アミノ酸製剤の種類と特徴(PDF版) — グルタミンの製剤化の課題と国際ガイドラインの現状を詳述


属性 特徴
性別 男性が圧倒的多数(島根県データでは94.6%が男性) www1.pref.shimane.lg
年代 40〜60代が最多(同データで81.1%) www1.pref.shimane.lg
感染地域 国内感染が80〜90%超 idsc.niid.go+1
感染経路 性的接触が国内感染の主体。MSM(男性と性交渉する男性)が多いが、近年は性風俗業従事者などの異性間感染も報告 city.fukuoka.med


【第3類医薬品】ハイチオールCプラス2 360錠