アデール・エドワードという名前は、実際には『ジェーン・エア』の登場人物エドワード・フェアファックス・ロチェスターとアデルという人名の組み合わせとして文学作品に登場しますが、医療分野においてはエドワーズライフサイエンスという企業名として重要な意味を持っています。
参考)https://www.edwards.com/jp
エドワーズライフサイエンスは1961年に発明家マイルズ・ローウェル・エドワーズによって設立され、アルバート・スター博士との共同開発により世界初の人工心臓弁(スター・エドワーズ・シリコンボール弁)の製品化に成功しました。この画期的な発明は、現代の心臓弁膜症治療の基礎を築いたのです。
参考)https://www.edwards.com/jp/about-us/company-profile
エドワーズライフサイエンスが開発した経カテーテル心臓弁治療(TAVI)は、従来の開胸手術に比べて患者への負担を大幅に軽減する革新的技術です。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000013714.html
この技術の最大の特徴は、開胸せずに血管からカテーテルを挿入して人工心臓弁に置換できることです。2007年にヨーロッパで、2011年に米国で、そして2013年6月に日本で製造販売承認を取得し、治療が困難とされた弁膜症患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に大きく寄与しています。
特に注目すべきは、先天性心疾患を持つ患者への適用です。従来、新生児期から開胸手術を繰り返していた患者にとって、日本初の経カテーテル肺動脈弁治療が成功したことは画期的でした。これにより開胸手術回数の削減が可能となり、患者の生活負担が大幅に軽減されています。
医療従事者にとって重要なのは、エドワーズが提供する血行動態モニタリング技術です。ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォームは、1台でエドワーズ製の各種デバイスと接続可能で、総合的な血行動態の生理学的情報を取得し、臨床判断をサポートします。
参考)https://www.edwards.com/jp/newsroom/news/15-10-2020
このシステムの特徴として、Acumen Hypotension Prediction Index (HPI) ソフトウェアがあり、周術期の低血圧予測により患者管理の質を向上させています。従来の血圧測定では捉えられない微細な変化を検出し、医療従事者の判断を支援します。
参考)https://www.edwards.com/jp/healthcare-professionals/products-services/hemodynamic-monitoring
エドワーズは医療従事者向けにオンラインライブラリを提供しており、「周術期の低血圧が予後に与える影響」や「診たら変わる!心拍出量」などの講演動画を無料で視聴できます。これらの教育コンテンツは、麻酔科、心臓外科、集中治療関連に従事する全ての医療従事者に有益な情報を提供しています。
エドワーズの生体弁技術において注目すべき最新製品がマイトリス RESILIAです。この僧帽弁用生体弁は、従来の問題点を克服した画期的な設計となっています。
参考)https://assets-us-01.kc-usercontent.com/6239a81e-8f0f-0040-a1df-b4932a10f6ae/de63425e-bca5-4138-9180-539ab8b5015a/JP_20210506_MITRIS_Final.pdf
RESILIA心膜を使用したマイトリスの特徴は、溶液保存が不要でパッケージを開くだけで即座に使用できることです。さらに従来製品より縫着輪が柔らかくなり、医療従事者にとって扱いやすさと安全性が向上しています。ステントポストの低設計と内側への倒れ込み機能により、より安全な手術が可能になりました。
心臓弁膜症は高齢化に伴って増加しており、僧帽弁の弁膜症手術件数は10年で40%近く増加しています。エドワーズは心臓弁膜症治療のパイオニアとして40年にわたり生体弁のイノベーションに取り組み続けており、その技術は世界100カ国以上で弁膜症製品分野でのリーダー的役割を担っています。
エドワーズライフサイエンスは、医療従事者向けの包括的教育支援を展開しています。血行動態モニタリング ライブラリでは、「看護に活かす肺動脈カテーテルと血行動態の基礎」など、実践的な講演動画を多数公開しています。
参考)https://www.edwards.com/jp/healthcare-professionals/additional-resources/critical-care-education
教育プラットフォームの内容は以下の通りです。
これらの教育コンテンツは、麻酔科、心臓外科、周術期管理、救急集中治療に従事する全ての医療従事者を対象としており、血行動態モニタを用いる機会のある医療現場で即座に活用できる実践的知識を提供しています。
さらに、エドワーズは患者教育にも力を入れており、**「動きだす、心のそばに。」**プロジェクトでは心臓治療経験者のストーリーを紹介し、より多くの方が心臓の健康について考えるきっかけを提供しています。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000013714.html
参考:心臓弁膜症治療に関する詳細情報は日本循環器学会ガイドラインでも確認できます
循環器疾患の非薬物治療ガイドライン2019年版