同時接種の本数に制限はなく、米国では生後2か月で最大6本を同時接種することもあります。
日本の定期接種制度では、赤ちゃんが1歳前に接種する定期ワクチンは6種類あり、接種総回数は12回以上に及びます。 具体的には、①20価または15価肺炎球菌ワクチン(PCV)3回、②5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)3回+追加1回、③B型肝炎ワクチン(HBV)3回、④ロタウイルスワクチン2〜3回、⑤BCG 1回、⑥日本脳炎 2回(標準は3歳〜だが生後6か月から接種可能)というラインナップです。koizumi-shigeta+1
つまり、定期接種だけでも相当な回数になります。
任意接種では、おたふくかぜワクチン(2回)や三種混合ワクチン(1回)なども推奨されており、定期・任意を組み合わせると就学前の接種件数は20回を超えることもあります。 接種開始時期の目安は「生後2か月の誕生日当日」です。例えば、1月1日生まれなら3月1日が接種デビュー日になります。
生後2か月から始めるのが原則です。
| ワクチン名 | 接種開始時期 | 総回数 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 5種混合(DPT-IPV-Hib) | 生後2か月〜 | 4回 | 定期 |
| 肺炎球菌(PCV) | 生後2か月〜 | 3〜4回 | 定期 |
| B型肝炎(HBV) | 生後2か月〜 | 3回 | 定期 |
| ロタウイルス | 生後2か月〜 | 2〜3回 | 定期 |
| BCG | 生後5か月〜 | 1回 | 定期 |
| 日本脳炎 | 標準3歳(生後6か月可) | 4回 | 定期 |
| MR(麻しん風しん) | 1歳〜 | 2回 | 定期 |
| 水痘 | 1歳〜 | 2回 | 定期 |
| おたふくかぜ | 1歳〜 | 2回 | 任意 |
医療現場では、このスケジュールを保護者に視覚的に示せる「予防接種スケジューラー」ツールの活用が実務効率向上に役立ちます。
「同時接種は何本まで」という上限は存在しません。 国内外のガイドラインいずれも接種本数の制限を設けておらず、日本小児科学会も同時接種を積極的に推奨しています。米国では生後2か月に最大6本、1歳時にインフルエンザワクチンを含め最大9種類を同時に接種することがあります。
意外ですね。
組み合わせの制限についても、生ワクチン同士・不活化ワクチン同士・生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせ、定期接種と任意接種の混在、いずれも問題ありません。 飲むロタウイルスワクチン(経口生ワクチン)と注射ワクチンの同日接種も可能です。 つまり接種年齢に達していれば、組み合わせの制約はないということです。cocoromi-cl+1
同時接種の安全性については、単独接種と比較して副反応の頻度・重篤度に差はないことが国内外の多数の研究で確認されています。 注射部位は右腕・左腕・右太もも・左ももなど異なる部位に分散して行うのが実務上の標準手順です。know-vpd+1
これは使えそうです。
なお、2024年4月以降は新型コロナワクチンと他のワクチンとの同時接種も可能になりました。 保護者への説明では「本数が多いから危険」という誤解が生じやすいため、「部位を分けて行うこと」「安全性は単独と変わらないこと」を丁寧に伝えることが重要です。
参考:同時接種の必要性・安全性についての詳細(Know VPD!)
同時接種の必要性・安全性 - Know VPD!
接種スケジュールの遅延は、単に「予定がずれる」だけでなく、生命にかかわるリスクに直結します。 特に肺炎球菌ワクチンとHibワクチン(現在は5種混合に統合)は生後6か月までに3回完了しないと、細菌性髄膜炎のリスクウィンドウを閉じることができません。 細菌性髄膜炎は後遺症として難聴・脳障害を残す割合が高く、1件でも予防できれば家族の人生が大きく変わります。mhlw.go+1
遅延は健康リスクが条件です。
麻しん(はしか)についても、1歳早期のMRワクチン接種に遅れが生じると感染リスクが上昇し、2020年のCOVID-19流行下では定期接種全体で遅延が確認されています。 医療従事者として保護者に伝えるべきポイントは「少し遅れても接種は続けること」です。一部のワクチンは接種間隔の調整で対応可能なため、「もう遅い」と諦めさせないことが重要です。
参考)リリース「新型コロナウイルスの流行で小児ワクチンの接種率が低…
ロタウイルスワクチンだけは例外です。接種期限を過ぎると定期接種対象外となるため、生後2か月の初回接種を逃さないことが特に重要です。
参考)生後2か月の赤ちゃんに必要な予防接種と、同時接種のススメ
参考:厚生労働省「遅らせないで!子どもの予防接種と乳幼児健診」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11592.html
接種後の発熱は副反応として一定頻度で発生します。肺炎球菌ワクチン(PCV)では添付文書上で38.0℃以上の発熱が10.3%、38.9℃以上の高熱は0.7%と報告されています。 5種混合ワクチンでは37.5℃以上の発熱が11.0%あり、厚生労働省の全国調査では定期接種全体の発熱報告率が約13.5%とされています。
これは保護者への事前説明に必須の数字です。
生後3か月未満の乳児が接種後に発熱した場合、解熱剤の使用は原則として行いません。 この点は保護者が「熱が出たら解熱剤を使う」と思い込んでいるケースが多いため、接種前の説明で明確に伝えておく必要があります。
発熱時の対応フローとして以下が実務上の標準です。
接種翌日以降も発熱が続く場合は感染症との鑑別が必要です。ワクチン後の反応性発熱は通常24〜48時間以内に自然に解熱することがほとんどであるため、それを超える場合は他の原因を検討してください。
参考)【小児科医が徹底解説】予防接種後の熱、いつまで続く?受診の目…
参考:ワクチン接種後の発熱対応について(小児科クリニック解説)
ワクチン接種後の赤ちゃんの発熱対応について
接種スケジュールの管理には、日本小児科学会が提供する推奨スケジュール表(PDFおよびWebツール)の活用が実務上の基本です。 このスケジュール表は毎年更新されており、2025年12月版では4種混合ワクチンの販売終了に伴う削除など、最新の変更が反映されています。jpeds+1
最新版の確認は必須です。
保護者指導においては、接種ごとに手書きで管理してもらうよりも、スマートフォンの「予防接種スケジューラー」アプリを活用してもらう方が接種漏れの防止に効果的です。入力した生年月日から自動的にスケジュールを生成し、接種時期をプッシュ通知で知らせる機能が有用です。
特に転居後や里帰り出産後に接種が途切れるケースが現場では多く見られます。前の医療機関での接種記録を母子健康手帳で確認し、接種状況に応じたキャッチアップスケジュールを提案することが医療従事者の重要な役割です。
参考)https://www.vaccine4all.jp/news-detail.php?npage=2amp;nid=180
接種歴の確認が条件です。
また、日本脳炎ワクチンは標準接種年齢が3歳とされていますが、関東地方南部(千葉・神奈川・静岡)では3歳未満児の感染例が実際に報告されています。 リスクの高い地域では生後6か月からの早期接種を積極的に提案することが、医療従事者としての重要な付加価値になります。
参考:日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(最新版)
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138