シラザプリル水和物は分子式C22H31N3O5・H2Oで表される、分子量435.51の化合物です。本薬物はプロドラッグとして設計されており、経口投与後に肝臓で加水分解を受け、活性代謝物であるシラザプリラートに変換されます。
参考)https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D01069
この水和物の形態により安定性が向上し、錠剤として製剤化されています。日本薬局方に収載されており、医薬品としての品質規格が厳格に管理されています。
参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=2144005F1060
💡 臨床ポイント: 水和物として結晶化することで、薬物の安定性と溶解性のバランスが最適化されています。
シラザプリル水和物は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を選択的に阻害することで薬理効果を発揮します。ACE阻害により、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換が阻害され、血管拡張と血圧降下作用が得られます。
同時に、ブラジキニンの分解も阻害されるため、血管拡張作用が増強されます。この二重の作用機序により、効果的な血圧降下が実現されています。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/druginfopdf/00068873.pdf
作用の特徴。
シラザプリル水和物は高い生体利用率を示すプロドラッグです。経口投与後の吸収率は80~100%と非常に高く、食事による影響はわずかに吸収を低下させる程度です。
参考)https://www.shirasagi-hp.or.jp/goda/fmly/pdf/files/1328.pdf
投与量の約80%が活性代謝物シラザプリラートに変換され、活性体としての最高血中濃度到達時間(tmax)は約2時間です。排泄は主に腎臓を介して行われ、未変化体として約20%、シラザプリラートとして70~80%が尿中に排泄されます。
薬物動態の数値データ。
シラザプリル水和物は主に高血圧症の治療に使用され、本態性高血圧および腎性高血圧に対して有効性が認められています。ATCコードC09AA08に分類され、心血管系用薬として位置づけられています。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se21/se2144005.html
高血圧治療において、シラザプリルは他のACE阻害薬と比較して咳嗽の副作用頻度が比較的低いという特徴があります。また、心肥大抑制作用や抗線維化作用も有しており、心血管保護効果が期待されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhp/49/1/49_18/_pdf/-char/ja
📊 用法・用量。
シラザプリル水和物の副作用として、他のACE阻害薬と同様に空咳が報告されていますが、その頻度は比較的低いとされています。主な副作用には咳嗽、めまい、ふらつき、肝機能検査値異常があります。
参考)https://jsn.or.jp/academicinfo/report/evidence-01-IgA.pdf
重篤な副作用として血管浮腫、急性腎不全、高カリウム血症が報告されており、特に腎機能障害患者や高齢者では注意深いモニタリングが必要です。
副作用の分類と頻度。
⚠️ 安全性情報: IgA腎症患者を対象とした臨床試験では、シラザプリル5mg/日投与で咳嗽が1例報告されています。
興味深いことに、シラザプリル水和物は他のACE阻害薬と比較して、プロドラッグとしての特性により組織移行性が良好で、局所でのACE阻害作用が強いという独自の特徴を有しています。この特性により、全身への影響を抑えながら効果的な血圧降下作用を発揮できる可能性が示唆されています。