製造販売承認申請手続き完全ガイド規制当局対応

医薬品の製造販売承認申請における手続きの全体像から必要書類、規制当局との対応まで詳しく解説。医療従事者が知るべき申請プロセスとは?

製造販売承認申請手続き

製造販売承認申請手続きの全体像
📋
申請準備段階

事前相談から申請書類作成まで

🏛️
規制当局審査

PMDAによる品質・有効性・安全性審査

承認取得

厚生労働大臣による最終承認判定

製造販売承認申請手続きの基本概要

製造販売承認申請は、医薬品を日本国内で製造販売するために不可欠な法的手続きです。薬機法第14条1項に基づき、医薬品の品目ごとに厚生労働大臣(一部の医薬品については都道府県知事)の承認を取得しなければなりません。
この手続きは医薬品の品質、有効性、安全性に関する事項について審査が行われ、名称、成分・分量、用法用量、効果効能、副作用などの詳細な検討がなされます。審査は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施し、最終的に厚生労働大臣が承認を判断します。
申請の流れは以下の通りです。

  • 📋 企業としての責任体制の審査(製造販売業許可申請)
  • 🔬 製品の有効性・安全性等の審査(製造販売承認申請)
  • 🏭 製品の生産方法・管理体制の審査(製造業許可申請等)

この三つの審査を経て初めて医薬品の製造販売が可能となります。特に製造販売承認申請は、医薬品そのものの性能や安全性について厚生労働省へ申請し、承認を受ける重要なプロセスです。

製造販売承認申請書類と提出要件

申請に必要な主要書類は医薬品・医薬部外品・化粧品製造販売承認申請書(施行規則様式第22)です。この申請書には詳細な製造方法の概略や規格・試験方法が記載され、出発物質から一次包装までの全工程について記述する必要があります。
必要書類一覧。

  • 📄 製造販売承認申請書(施行規則様式第22)
  • 📊 申請品目に係る承認基準において要求されている添付資料
  • 📋 その他、通知等において要求している資料
  • 🏭 GMP適用品目の場合:別途適合性調査申請

申請書には以下の重要な情報を含める必要があります:

  • 出発物質・中間体、試薬、溶媒等の名称
  • 生物由来原材料の詳細
  • 重要工程の操作概略、操作条件、工程管理試験
  • 品質の恒常性確保に必要な事項

手数料について、医薬品製造販売承認申請は69,300円、医薬部外品は34,000円の静岡県証紙(各都道府県により異なる)が必要です。申請書は5部提出し、自社控えが必要な場合は別途用意します。

製造販売承認申請プロセスと審査期間

申請プロセスは段階的に進められ、事前準備が極めて重要です。一般的に①基礎研究、②非臨床試験、③臨床試験、④製造販売承認申請の順序で進行します。
事前相談の重要性。
PMDAの任意相談制度(事前相談及び対面相談、RS総合相談、RS戦略相談等)を活用することで、製造販売承認取得に関するノウハウを蓄積できます。特に製造販売承認の経験が少ない企業にとって、この制度の利用は必須といえます。

  • 🗣️ 事前相談:論点整理と対面相談区分の整理
  • 💬 対面相談:治験相談、医薬品安全性相談、事前評価相談等
  • 📞 大学・医療機関向け:RS総合相談・RS戦略相談

申請手続きの流れ。

  1. 事前に都道府県の担当部署に相談
  2. 製造業の管理運用に必要な手順書等を提出
  3. 業者コードの登録申請
  4. 医薬品製造業許可申請
  5. 製造所の立入調査実施
  6. 照会事項への回答完了で許可取得

薬局製造販売医薬品の場合、製造販売予定の最低2週間前には申請が必要です。また、既存の承認品目に追加する場合も、新たに製造販売承認申請が必要となります。

製造販売承認申請における規制当局対応

規制当局との適切な対応は申請成功の鍵となります。PMDAとの相談は開発する製品がある程度固まった段階で行うことが重要で、方向性が定まっていない状態では効果的な助言を得ることができません。
対面相談の種類と目的。

  • 🔬 治験に関する相談:臨床試験デザインや実施方法
  • ⚠️ 医薬品安全性相談:副作用や安全性評価
  • 📊 医薬品の事前評価相談:申請前の資料評価
  • 🏥 大学・医療機関向け相談:アカデミア特有の課題対応

知事権限と大臣権限の区分理解も重要です。知事権限の承認申請等は各都道府県の薬事課へ提出しますが、大臣権限に係る医薬品等はPMDAへ直接提出します。この区分を誤ると申請手続きに大幅な遅れが生じる可能性があります。
申請後の審査では、照会事項への迅速かつ正確な回答が求められます。製造所の立入調査も実施されるため、GMP基準に適合した製造体制の整備が不可欠です。

製造販売承認申請後の変更管理と維持

承認取得後も様々な変更手続きが必要となり、適切な管理が求められます。製造販売承認事項一部変更承認申請(一変申請)と製造販売承認事項軽微変更届(軽微変更届)の二種類があります。
一部変更承認申請の要件。

  • 📋 製造販売承認事項一部変更承認申請書(施行規則様式第23)
  • 📊 承認基準で要求される添付資料(変更事項のみ)
  • 📄 変更事項の概要(新旧対照表等)
  • 📃 製造販売承認書及び過去の一変承認書の写し
  • 🔍 その他、通知等で要求される資料

手数料は医薬品30,100円、医薬部外品20,300円で、申請書5部の提出が必要です。
軽微変更届の特徴。
軽微変更届は承認を要しない軽微な変更に適用されます。届出の際は軽微変更と判断した根拠及び理由を説明できる資料の準備が必要です。

  • 📋 製造販売承認事項軽微変更届書(施行規則様式第24)
  • 📃 製造販売承認書及び過去の一変承認書の写し
  • 📄 変更事項の概要(新旧対照表等)
  • 📊 その他、通知等で要求される資料

欧州のMulti-State Application Procedure(多国間医薬品承認申請手続き)のような国際的な承認制度も存在し、グローバル展開を考える企業にとって重要な選択肢となっています。オーファンドラッグの場合は特別な配慮がなされ、承認申請のポイントが異なることも理解しておく必要があります。