「治験使用薬を甘く見ると、あなたの施設が一発で監査NGになります。」

治験薬と治験使用薬の違いを理解するには、まずGCP省令第2条の定義を押さえる必要があります。
関連)https://www.pmda.go.jp/files/000275024.pdf
つまり、治験薬 ⊂ 治験使用薬という入れ子構造になっており、すべての治験薬は治験使用薬ですが、すべての治験使用薬が治験薬とは限りません。
関連)http://www.nagasaki.med.or.jp/chiken/20230218chikenkouryu-oimoto.pdf
つまり治験薬は一部です。
治験薬として扱われる被験薬は、当該治験の成績を用いて製造販売承認申請を行う薬物であり、国内未承認成分なども含まれます。
関連)https://www.icrweb.jp/mod/resource/view.php?id=8746
一方、治験使用薬は、有効成分の国内外での承認の有無を問わず、治験実施計画書で評価に用いると規定された薬物が対象になります。
関連)https://www.pmda.go.jp/files/000275024.pdf
例えば、既承認の高血圧治療薬を背景治療として全例に投与し、その用量がプロトコールで定められている場合、この薬も治験使用薬として管理の対象です。
関連)https://cryosend.com/column/2024/780/
結論は定義の読み込みです。
この違いを現場で誤解すると、「市販薬だから通常の院内薬として扱ってよい」と考えがちですが、治験使用薬に該当すれば、治験薬と同等レベルの管理が求められます。
関連)1&pageNo=4">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
治験薬はラベルやコード番号で直感的に分かりやすい一方、市販薬ベースの治験使用薬は外観が通常薬と同じで紛れやすいのが落とし穴です。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390571890614292864
この点を踏まえ、プロトコールの薬物関連セクションを読む段階で、「治験使用薬一覧」を作ることが安全管理の第一歩になります。
関連)https://iact.kuhp.kyoto-u.ac.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/2024DCT_oimoto.pdf
治験使用薬リスト作成が基本です。
GCP省令および関連通知では、実施医療機関における治験使用薬の管理責任は、原則として実施医療機関の長(院長等)が負うと明記されています。
関連)https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028/20231226_505M60000100161
多くの施設では、この権限を委譲された治験薬管理者として薬剤師が選任され、実務上の管理を担っています。
関連)https://med-kurobe.jp/media/03chiken_rinken.pdf
ここで重要なのは、「治験薬の管理責任」ではなく「治験使用薬の管理責任」と書かれている点であり、併用薬・レスキュー薬まで含めて適正管理の義務が及ぶことです。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
つまり範囲が広いということですね。
実際のSOP雛形でも、「当院における治験薬の管理責任は院長が負う」という文言が、「治験使用薬の管理責任は院長が負う」に改訂されており、GCP改正に合わせて責任範囲が明確化されています。
関連)https://med-kurobe.jp/media/03chiken_rinken.pdf
治験薬管理者は、治験使用薬の処方が治験実施計画書の用法・用量・投与期間から逸脱していないことを確認する義務を負うとされ、単なる在庫管理にとどまりません。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
この確認が不十分だと、監査や行政調査で「プロトコール逸脱管理」「治験使用薬管理」の双方で指摘されるリスクが高まります。
関連)https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028/20231226_505M60000100161
プロトコールの読み込みが原則です。
このような事例では、治験薬保管不備の隠蔽やトレーニングの代理受講、ID・パスワードの共有など、治験薬管理と密接に関わる行為が問題となっており、結果として企業や関係医療機関が強い行政処分・社会的信用の失墜に直面しました。
関連)https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/
つまり、治験使用薬の管理を「薬剤部だけの話」と捉えると、施設全体の法的リスクを見誤ることになります。
関連)https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028/20231226_505M60000100161
法令意識の共有が条件です。
院内では、「治験薬は特別扱いするが、市販薬ベースの併用薬は通常運用で良い」といった運用が暗黙の前提になっていることがあります。
関連)https://cryosend.com/column/2024/780/
しかし、治験使用薬としてプロトコールに規定されている薬まで含めてGCP準拠の管理を行わないと、査察や監査で「治験使用薬管理の不備」として一括して指摘される可能性があります。
関連)https://www.pmda.go.jp/files/000275024.pdf
現場としては、CRCと薬剤師が連携して、治験開始前に「治験使用薬管理フロー」を確認し、疑義があれば依頼者と書面で確認しておくことが、後のトラブル回避につながります。
関連)https://iact.kuhp.kyoto-u.ac.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/2024DCT_oimoto.pdf
つまり事前合意がカギです。
この部分の根拠条文や通知の全文は、厚生労働省およびPMDAが公開しているGCP省令本文および解説資料が詳しいので、一度通読しておくと施設SOPの見直しにも役立ちます。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81997396&dataType=0&pageNo=1
GCP省令原文と定義の詳細解説
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生労働省)
治験薬(被験薬・対照薬)は、依頼者指定のラベルやコード番号が付与され、専用の保管庫や温度管理装置で管理されるのが一般的です。
関連)https://cryosend.com/column/2024/780/
一方、治験使用薬に含まれる市販薬は、通常在庫と同じ見た目でありながら、治験症例に使用する分については、治験使用薬としてのトレーサビリティを確保する必要があります。
関連)http://www.nagasaki.med.or.jp/chiken/20230218chikenkouryu-oimoto.pdf
つまり通常薬と混同しやすいということですね。
例えば、背景治療として用いる既承認薬を、治験使用薬として別ロット単位で確保し、治験専用の棚やボックスで管理する施設もあります。
関連)https://iact.kuhp.kyoto-u.ac.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/2024DCT_oimoto.pdf
この場合、治験対象でない一般患者への誤交付や、逆に治験対象患者に一般在庫を交付してしまうミスを防ぐため、バーコード管理や二重チェックを導入するのが有効です。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390571890614292864
ある報告では、治験薬の使用期限切れ1件や運用上の問題3件を、治験担当薬剤師が交付前に発見し、インシデントを未然に防いだ事例が紹介されています。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390571890614292864
二重チェックが条件です。
紙ベースの管理では、交付記録・返却記録・廃棄記録の整合性をとる作業に時間がかかるため、症例数が多い第3相試験ではExcelや専用システムで管理する施設が増えています。
関連)https://cryosend.com/column/2024/780/
システム導入が難しい場合でも、最低限、治験使用薬の「在庫一覧」と「症例別使用一覧」を紐づけて管理するテンプレートを薬剤部で整備しておくと、監査時の説明が格段にスムーズになります。
関連)https://med-kurobe.jp/media/03chiken_rinken.pdf
テンプレート整備が基本です。
保管条件についても、治験薬は「2〜8℃」「遮光」といった厳密な条件が設定されることが多く、温度ロガー付きの専用保冷庫が用いられます。
関連)https://iact.kuhp.kyoto-u.ac.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/2024DCT_oimoto.pdf
治験使用薬としての市販薬が常温保管可能な場合でも、治験薬と同じエリアで管理することで、誤投与や紛失のリスクを下げる運用を選択する施設があります。
関連)https://cryosend.com/column/2024/780/
このように、定義上は別でも、現場のオペレーションでは「治験薬と治験使用薬をセットで管理する」発想が、インシデント防止に直結します。
関連)http://www.nagasaki.med.or.jp/chiken/20230218chikenkouryu-oimoto.pdf
つまりセット管理が有効です。
大学病院での治験薬・治験使用薬の管理実務例
治験薬管理の実際(京都大学医学部附属病院 資料)
治験薬と治験使用薬の違いは、安全性情報の収集と副作用報告のフローにも影響します。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81997396&dataType=0&pageNo=1
治験薬由来と考えられる有害事象だけでなく、併用薬やレスキュー薬など治験使用薬に該当する薬剤との関連も含めて評価することで、初めて安全性評価が完結します。
関連)http://www.nagasaki.med.or.jp/chiken/20230218chikenkouryu-oimoto.pdf
治験使用薬の定義を広く理解していないと、「通常診療薬による副作用」として片付けてしまい、治験として必要な報告や評価が漏れるリスクがあります。
関連)https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/
つまり報告漏れにつながるということですね。
実際、製薬企業による副作用報告漏れはたびたび問題になっており、海外の死亡例4573例の報告漏れで業務改善命令を受けたケースや、治験薬28品目で国内外154例の副作用未報告が発覚した事例も報告されています。
関連)https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/
これらは企業側の義務違反として扱われましたが、その背景には、現場での安全性情報の拾い上げや分類の難しさが存在します。
関連)https://answers.and-pro.jp/pharmanews/9345/
医療機関側も、治験使用薬を含めた薬歴情報を正確に把握していないと、依頼者への情報提供が不十分になり、間接的に報告漏れに関与してしまう可能性があります。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81997396&dataType=0&pageNo=1
副作用情報の共有が必須です。
例えば、背景治療薬の用量がプロトコールで制限されているにもかかわらず、通常診療の感覚で用量を増量してしまうと、被験薬との相互作用により予期せぬ重篤有害事象が発生する可能性があります。
関連)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000051800.pdf
このようなケースでは、「誰が治験使用薬の用量をチェックするのか」「どのタイミングでCRCや薬剤師に相談するのか」をあらかじめ決めておくことが重要です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
つまり役割分担が重要です。
実務的な対策としては、
・治験エントリー時に「治験使用薬一覧」と「併用禁止・注意薬一覧」を電子カルテのトップ画面や処方画面に明示する
・有害事象発生時は、被験薬だけでなく治験使用薬を含めた薬歴をセットで確認する
・安全性情報の院内フロー(誰が、いつ、どこへ報告するか)をSOPとして文書化し、年1回程度は研修で見直す
といった手順が有効です。
関連)https://cs.tokushukai.or.jp/petients/words.php
研修とフロー整備が条件です。
副作用報告の制度や過去の行政処分例は、製薬業界向けニュースサイトや厚労省の公表資料で詳細に解説されており、安全性管理担当者だけでなくCRCや治験責任医師も目を通しておくと、対応の質が上がります。
関連)https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028/20231226_505M60000100161
副作用報告漏れ事例と行政処分の解説
なぜ起こる? なくならない製薬企業の“副作用報告漏れ”
ここまでの内容を院内運用に落とし込むには、「治験薬」と「治験使用薬」を明確に区別しつつ、実務上はセットで扱うSOP設計がポイントになります。
関連)https://med-kurobe.jp/media/03chiken_rinken.pdf
多くのSOP雛形では、条文レベルで「治験薬」から「治験使用薬」への文言修正が行われていますが、運用レベルでは依然として「治験薬中心」の意識が残っている施設も少なくありません。
関連)https://med-kurobe.jp/media/03chiken_rinken.pdf
このギャップを埋めるには、SOP改訂だけでなく、研修やケーススタディを通じて、スタッフが「治験使用薬」という概念を身体感覚として理解することが重要です。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390571890614292864
つまり運用まで落とすことが大事です。
独自の工夫として有効なのは、次のような取り組みです。
・新規治験の立ち上げ時に、「この治験の治験使用薬はこれだけある」と、薬剤部とCRCが共同で一覧を作成し、カンファレンスで共有する
・一覧には、市販薬・OTCを含め、「通常診療と同じ感覚で処方しがちな薬」をあえて強調表示する
・年1回、治験薬管理インシデント(使用期限切れ、保管場所誤り、交付ミスなど)のヒヤリ・ハットを集計し、「治験薬」と「治験使用薬」に分けて分析する
これにより、スタッフは「どこでつまずきやすいか」を具体的にイメージしやすくなります。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390571890614292864
ヒヤリ・ハットの共有が有効です。
また、電子カルテやオーダリングシステム側の工夫も、治験薬・治験使用薬の違いを意識させるうえで役立ちます。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
例えば、処方オーダー画面で「治験使用薬」として登録された薬にはアイコンを表示し、処方時にプロトコール遵守チェックのポップアップを出すようにする仕組みです。
関連)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4391&dataType=1&pageNo=4
こうした仕掛けを入れると、夜間や当直帯など、治験に普段関わらない医師が診療する場面でも、治験使用薬の存在を見落としにくくなります。
関連)https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000100028/20231226_505M60000100161
つまりシステム連携が鍵です。
院内での小さな工夫の積み重ねが、被験者保護と治験の信頼性確保につながることを共有し、治験薬と治験使用薬の違いを「用語の話」で終わらせないことが、医療従事者に求められています。
関連)https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0076.html
結論は組織文化作りです。
院内SOP改訂や研修設計の参考になる公式ガイダンス
治験使用薬の管理に関する通知(厚生労働省 資料内該当部分)
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