先発品を希望する患者に「そのまま処方すればOK」と思っていませんか?2024年10月から選定療養制度が変わり、先発品を希望した患者の自己負担が最大1.36倍に膨らんでいます。
参考)先発医薬品を希望された場合の自己負担について - 十川眼科大…
オフロキサシン点眼液の先発品は、参天製薬が製造するタリビッド点眼液0.3%です。 有効成分はオフロキサシン(1mL中3mg)で、フルオロキノロン系の広範囲抗菌点眼剤として分類されます。kegg+1
タリビッドの1mLあたりの薬価は107.4円です。 同じ有効成分を持つ後発品の最安値が30.5円であることを踏まえると、約3.5倍の差があることになります。差は大きいですね。
参考)http://www.okusuri110.jp/cgi-bin/yaka_search_p2.cgi?1319722
先発品ならではの強みとして、原薬・添加物・製造工程すべてにおいて長年の安定実績があり、参天製薬の眼科特化型のサポート体制が医療現場で高く評価されています。 ただし、薬価差だけを見て後発品への切り替えを急ぐのも問題があります。
臨床試験では、タリビッド点眼液を投与した群の累積有効率が99.3%(137/138例)という高い成績が報告されています。 つまり先発品には、後発品と比較する上での明確な臨床的根拠があるということです。
参考)タリビッド点眼液0.3%の効能・副作用|ケアネット医療用医薬…
現在、オフロキサシン0.3%点眼液の後発品は複数のメーカーから発売されています。 代表的なものをまとめると以下のとおりです。
| 製品名 | メーカー | 薬価(1mL) |
|---|---|---|
| オフロキサシン点眼液0.3%「サワイ」 | 沢井製薬 | 107.4円 |
| オフロキサシン点眼液0.3%「JG」 | 長生堂製薬 | 107.4円 |
| オフロキサシン点眼液0.3%「CHOS」 | シー・エイチ・オー新薬 | 51.9円 |
| オフロキサシン点眼液0.3%「トーワ」 | 東和薬品 | 73.2円 |
| オフロキサシン点眼液0.3%「日新」 | 日新製薬 | 34.6円 |
| オフロキサシン点眼液0.3%「杏林」他 | キョーリン他 | 30.5円 |
後発品といっても薬価は一律ではありません。「サワイ」や「JG」はなんと先発品と同じ107.4円という薬価設定です。 これは後発品=安いという固定概念の落とし穴です。
一方で「杏林」「日点」「ニットー」「わかもと」などは30.5円と最安グループに属します。 薬価だけで後発品を選ぼうとする場合、メーカーの選択が患者負担に直接影響します。後発品の中でも3.5倍以上の差があります。
また、ゲル化点眼液タイプ(オフロキサシンゲル化点眼液0.3%「わかもと」)も後発品として存在します。 通常の点眼液と使用感が異なるため、患者への説明は必須です。
2024年10月から始まった選定療養制度は、医療従事者が最も注意すべき制度変更の一つです。
対象となるのは「後発品が発売されてから5年以上経過している先発品」または「後発品の使用割合が50%を超えている先発品」です。 タリビッド点眼液はすでに多数の後発品が流通しており、この条件を満たします。
患者が先発品を希望した場合、後発品の中で最も高い薬価と先発品の差額の1/4を追加自己負担することになります。 医療費の7~9割を国が負担している現行の保険制度において、後発品普及によるコスト削減が国の政策方針となっています。
自己負担割合が1割の患者の場合、増加率が最も大きくなります。 具体的にはタリビッド点眼液の場合、従来の自己負担に比べて最大1.36倍の負担増になるケースもあります。これは痛いですね。
薬局での説明時に「後発品に変更できます」と案内するだけでなく、制度の内容と金額差を具体的に示すことが医療従事者の役割として重要性を増しています。説明が不十分だと患者クレームにつながるリスクがあります。
有効成分が同じでも、後発品は添加物や容器の仕様が先発品と異なる場合があります。これは見落とされがちな重要な差異です。
先発品タリビッドには塩化ベンザルコニウムが防腐剤として使用されています。 後発品によってはその種類・濃度が異なるため、アレルギーや角膜への影響を懸念する場合は添付文書の確認が必須です。
他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上の間隔をあけてから点眼することが全製品共通のルールです。 間隔が短いと有効成分が洗い流されてしまいます。これは基本です。
参考)オフロキサシン点眼液0.3%「JG」の効能・副作用|ケアネッ…
容器の先端が直接目に触れると薬液汚染が起きる可能性があり、製品を問わず適切な点眼指導が必要です。 後発品への切り替え時は改めて患者指導を行うタイミングとして活用できます。
なお、まれにショック・アナフィラキシーが起きる可能性が報告されています。 紅斑・発疹・呼吸困難・血圧低下・眼瞼浮腫などの症状が出た場合はただちに投与を中止し、適切な処置が必要です。先発・後発品問わず、この対応は共通です。
参考:タリビッド点眼液の公式情報(参天製薬 Medical Channel)
タリビッド眼軟膏 / タリビッド点眼液
後発品への切り替えが推奨される一方で、先発品を維持すべきケースがあります。これは単なるコスト論では語れない部分です。
眼科手術(白内障手術など)の周術期においては、抗菌点眼薬の品質・安定性に対する信頼性が特に重視されます。 臨床試験データが先発品で積み重ねられてきた背景もあり、周術期管理を専門とする眼科医の中には先発品を維持する判断をする医師も少なくありません。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062326.pdf
また、複数の点眼剤を併用する緑内障・ドライアイ患者では、添加物の重複を避けるために製品選択が慎重に行われます。 後発品の添加物情報は個別に添付文書を確認しないと把握できないため、患者ごとに見合った製品選択が原則です。
医療費抑制の観点では後発品推奨が国の方針ですが、患者のQOLや安全性を最優先にした判断が医療従事者に求められます。つまり一律のルールは存在しません。
選定療養制度の対象外となる特別な理由(特定の添加物によるアレルギー歴など)がある場合は、先発品処方でも患者の追加負担が発生しません。 医学的な必要性の根拠を記録・説明できるかどうかが、医療従事者の対応の質を分けます。これが条件です。
参考:選定療養制度と先発医薬品の患者負担の詳細
先発医薬品を希望された場合の自己負担について - 十川眼科大…
参考:ケアネット タリビッド点眼液の効能・副作用・薬価情報
タリビッド点眼液0.3%の効能・副作用|ケアネット医療用医薬…