ノルディックハムストリングカールが筋力向上と肉離れ予防に効果

太もも裏のハムストリングを効果的に鍛えるノルディックハムストリングカールの正しいやり方と驚くべき効果について詳しく解説。このトレーニングがなぜアスリートに愛用されているのでしょうか?

ノルディックハムストリングカールとは

ノルディックハムストリングカールの基本情報
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エクササイズの概要

膝立ち姿勢から前方にゆっくりと倒れる自重トレーニング

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主要なターゲット筋肉

ハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)

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主な効果

肉離れ予防、筋力向上、スプリント能力向上

ノルディックハムストリングカールの基本動作と特徴

ノルディックハムストリングカールは、膝立ち姿勢から足首を固定し、ゆっくりと前方に倒れていく自重エクササイズです。この動作は「股関節伸展位での膝関節屈曲」という二関節筋の特性を生かした動作であり、座位で行うレッグカールマシンでは得られない独特の筋収縮を実現します。
参考)https://note.com/guest_iwasawa/n/ncf41733756e8

 

動作の最大の特徴は、主にエキセントリック収縮(伸張性収縮)を利用することです。筋肉が伸びながら力を発揮するこの収縮形式は、通常のコンセントリック収縮よりも高い負荷を筋肉にかけることができ、筋力向上と筋肥大により効果的とされています。
参考)https://note.com/phyphy_tt/n/nb64d707acc8e

 

パートナーや器具(バーベルなど)で足首を固定する方法が一般的ですが、専用のマシンも開発されており、初心者でも安全に実施することが可能です。動作中は4秒程度かけてゆっくりと体をコントロールしながら倒すことが重要で、これにより筋肉に効果的な刺激を与えます。
参考)https://www.lifefitness.com/ja-jp/catalog/strength-training/plate-loaded/plate-loaded-assisted-nordic-ham

 

ノルディックハムストリングカールが鍛える筋肉群の詳細

ハムストリングは一つの筋肉ではなく、大腿二頭筋(長頭・短頭)、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉から構成されています。このうち大腿二頭筋短頭を除く3つの筋肉は、股関節と膝関節を跨ぐ二関節筋として機能します。
参考)https://qitano.com/nordic-hamstring

 

ノルディックハムストリングカールは、特に大腿二頭筋長頭、半膜様筋、半腱様筋を効果的に刺激します。研究によると、膝関節角度40~60度の範囲で筋活動が70%以上と高く保たれ、筋線維に長時間テンションを与える点でも優秀なエクササイズです。
参考)https://note.com/shibamuscle/n/n18a5924196fd

 

筋電図データによると、ノルディックハムストリングカールは動作開始直後の90度区間ではレッグカールの20%1RM程度の強度ですが、50度区間では80-100%1RMに相当する高い運動強度を示します。この特性により、関節角度によって異なる筋肉への負荷特性を持つことが科学的に証明されています。
参考)https://tokorozawa.w.waseda.jp/kg/doc/50_ronbun/2011/5010A092_abs.pdf

 

ノルディックハムストリングカールの筋力向上効果

ノルディックハムストリングカールの筋力向上効果は多数の研究で実証されています。4週間の継続実施により、エキセントリック筋力の増加(効果量0.60)が認められており、これは1ヶ月で偏差値が6上がるほどの顕著な改善です。コンセントリック筋力も効果量0.31の増加が報告されており、総合的な筋力向上に寄与します。
参考)https://sasabekouki.com/?p=2608

 

筋肥大効果についても近年注目されており、エキセントリック収縮の特性を活かした筋線維への強い刺激により、筋量増加も期待できることが明らかになっています。この効果は、単純な筋力向上だけでなく、筋束長の増大にも及び、これがさらなるパフォーマンス向上につながります。
参考)https://zeal-k.info/nordic-hamstring-curl-part1/

 

さらに興味深いのは、筋束長の短さが肉離れのリスクファクターとして知られる中、ノルディックハムストリングカールが筋束長の増大効果も示すことです。これにより、筋力向上と傷害予防の両方を同時に実現する稀有なエクササイズとして位置づけられています。

ノルディックハムストリングカールの肉離れ予防効果

ノルディックハムストリングカールの最も注目すべき効果は、ハムストリングの肉離れを50%以上予防する能力です。この効果は複数の大学や研究機関で実証されており、2011年のPetersenらの研究では、定期的な実施により損傷リスクを最大50%低減できることが示されました。
参考)https://sprint-condition.info/category32/entry445.html

 

肉離れ予防効果のメカニズムは、エキセントリック筋力の向上にあります。ハムストリングの肉離れは、足を素早く前に出しながら体の方に戻そうとする急ブレーキ動作で発生しやすく、この時のエキセントリック筋力の不足が主要なリスクファクターです。
アーセナルをはじめとする世界のトップクラブでも採用されており、11週間のプログラムが推奨されています。初期の週1回5回×2セットから始まり、最終的には週3回12-10-8回の3セット実施により、持続的な傷害予防効果を獲得できます。医療従事者の視点からも、このような科学的根拠に基づいた傷害予防プログラムは極めて価値が高いとされています。
参考)https://www.athlete-collection.com/soccer-training/speed/arsenal-nordichamstringcurl/

 

ノルディックハムストリングカールが医療現場で注目される理由

医療従事者の間でノルディックハムストリングカールが注目される理由は、その科学的エビデンスの豊富さと実用性の高さにあります。リハビリテーション分野では、ACL(前十字靭帯)損傷予防プログラムの一環として、特に女性アスリートの内側ハムストリング強化に効果的とされています。
参考)https://www.s-challenge.com/contents/hamstring-strengthening-acl-prevention/

 

従来のレッグカールマシンと比較して、より機能的な筋力を獲得できる点も医学的に重要です。座位での膝関節屈曲運動は限定的な条件での筋力しか向上させませんが、ノルディックハムストリングカールは実際のスポーツ動作に近い条件での筋力を強化します。
また、特別な機器を必要とせず、パートナーの協力や簡単な固定具があれば実施できるため、医療現場での指導やホームエクササイズとしても導入しやすいという利点があります。理学療法士や作業療法士による患者指導においても、安全性と効果の両面で優れた選択肢となっています。
参考)https://kohama-trainingstudio.com/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA/