スキリージを投与しても感染リスクは思ったほど上がりません。

スキリージ(リサンキズマブ)は、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合するモノクローナル抗体製剤です。IL-23はp19とp40という2つのサブユニットから構成されるヘテロ二量体サイトカインで、乾癬や炎症性腸疾患の病態形成に中心的な役割を果たしています。
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従来のステラーラ(ウステキヌマブ)はp40サブユニットを標的とするため、IL-12とIL-23の両方を阻害します。一方、スキリージはIL-23に特有のp19サブユニットのみを標的とすることで、IL-12による感染防御機能を温存しながらIL-23関連の炎症シグナルを遮断できます。IL-12はTh1細胞を介した抗腫瘍免疫や細菌・ウイルス感染の防御に重要な役割を果たしているため、この選択性は臨床上大きな意味を持ちます。
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つまり標的の選択性が高いということですね。
スキリージがIL-23受容体との相互作用を阻害すると、Th17細胞やTh22細胞の活性化が抑制され、IL-17A、IL-17F、IL-22などの炎症性サイトカインの産生が減少します。この上流での介入により、乾癬の紅斑・鱗屑・肥厚や、炎症性腸疾患の粘膜炎症といった下流の病態が改善されるメカニズムです。
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乾癬治療におけるスキリージの投与スケジュールは、初回投与、4週後、以降12週間隔という間隔です。この12週間隔投与は、乾癬に使用する生物学的製剤として最も投与頻度が少ないという特徴があります。
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同じIL-23阻害薬であるトレムフィア(グセルクマブ)が8週間隔投与であるのに対し、スキリージは3ヶ月に1回で済むため、患者さんの通院負担や医療機関での処置回数を大幅に軽減できます。1回の投与量は150mg(場合により75mg)で、維持期まで同じ間隔を保つことができます。
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長期マネジメントに有利ですね。
潰瘍性大腸炎では投与方法が異なり、寛解導入療法として初回・4週後・8週後に1200mgを点滴静注した後、維持療法では初回投与から12週後に180mgの皮下注を行い、以降8週間隔で180mgを皮下投与します。クローン病でも同様に導入期は点滴静注、維持期は皮下注という組み合わせになります。
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大規模第3相試験ultIMMa-1/2では、16週時点でのPASI90達成率がスキリージ投与群で約70〜80%と高く、ウステキヌマブやプラセボより有意に優れた結果が示されました。PASI90とは乾癬の皮疹面積と重症度が90%以上改善した状態を指し、高い皮膚クリアランスの指標です。
効果は1年時点でも安定して維持されており、持続的な効果が確認されています。別の比較試験IMMventでは、アダリムマブ(TNF阻害薬)に対してもスキリージが優越性を示し、より高いPASI90/100達成率が報告されました。
高い皮疹改善が期待できます。
関節症性乾癬に対する試験では、16週時点でのACR20反応率(関節症状の20%以上改善)がスキリージ150mg群で61.9%、プラセボ群で35.7%と、有意な改善が認められました。IL-23阻害薬は皮膚病変や付着部炎だけでなく、末梢関節炎においても比較的高い有効性を示しており、バランスの良い治療選択肢として位置づけられています。
スキリージは現在、日本国内で乾癬(尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症)、関節症性乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病の4つの適応症で承認されています。米国では2024年6月に中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎成人患者に対する適応を取得し、潰瘍性大腸炎とクローン病の両疾患で承認された初のIL-23阻害薬となりました。
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これにより、スキリージは免疫介在性炎症性疾患領域で複数の適応を持つ薬剤として、臨床現場での選択肢が広がっています。乾癬では既存治療で効果不十分な場合に使用されますが、炎症性腸疾患では中等症から重症の活動期症例が対象です。
4適応が承認されています。
IL-23阻害薬は他にオンボー(ミリキズマブ)やトレムフィア(グセルクマブ)があり、潰瘍性大腸炎の分子標的薬としてはIL-12/23阻害薬のステラーラと使い分けられます。オンボーは導入期4週ごと3回点滴後、維持期は4週毎皮下注(自宅可)、スキリージは維持期8週毎皮下注(医療機関)という違いがあります。
スキリージの主な副作用として、疲労、上気道感染、頭痛、注射部位反応、関節痛、インフルエンザ様症状、かゆみなどが報告されています。免疫系を抑制する作用が主体となるため、感染症やアレルギー反応のリスクには注意が必要です。
関連)https://oogaki.or.jp/hifuka/medicines/risankizumab/
IL-23をブロックすることで身体の免疫バランスに影響を与え、肺炎、皮膚感染症、尿路感染症などにかかりやすくなる可能性があります。特に結核の既往歴がある患者や慢性的な気管支疾患を抱えている場合は、医師による慎重な評価が必要です。投与前には結核スクリーニング検査が推奨されます。
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感染症対策が重要です。
重篤な副作用として、発熱・体のだるさ・息苦しさを伴う重篤な感染症や、呼吸困難・目や口唇周囲の腫れ・発疹を伴う重篤な過敏症が報告されています。注射部位の腫れや痛みには冷却や安静で対処し、発熱や寒気などインフル様症状が出た場合は早めの受診が必要です。定期的な血液検査で肝・腎機能障害をモニタリングし、異常値が出れば投与計画を見直します。
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<表>注意すべき副作用と対処法
| 副作用の例 | 対処・予防策 |
|---|---|
| 注射部位の腫れや痛み | 冷却や安静、医師への相談 |
| 発熱や寒気、インフル様症状 | 早めの受診、原因検索(感染症検査など) |
| アレルギー反応 | 病院に連絡し、緊急の場合は救急受診を検討 |
| 肝・腎機能障害 | 定期的に血液検查、異常値が出れば投与計画を見直す |
乾癬治療では、IL-23阻害薬は高い皮膚症状改善効果(特にPASI90/100達成率)と持続的な効果維持が期待できるため、重症例や既存治療不応例で優先的に検討されます。スキリージは12週間隔投与のため、通院頻度を減らしたい患者や遠方から通院する患者に適しています。
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一方、トレムフィアは8週間隔投与で、より頻繁なモニタリングが必要な症例に向いています。ステラーラはIL-12/23阻害薬として12週間隔(または8週)投与で、通院回数が少なく効果の安定性が高いものの即効性はやや劣るとされます。
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投与頻度で選択できます。
炎症性腸疾患では、IL-23が主因と考えられる症例にIL-23阻害薬が特に有効です。潰瘍性大腸炎の寛解導入療法では、スキリージは点滴静注で開始し、維持期は8週毎の皮下注に移行します。オンボーは導入期点滴後、維持期は4週毎皮下注(自宅投与可能)のため、頻回の通院が難しい患者では利便性が高まります。
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効果減弱時には点滴静注を再開できる柔軟性もあり、個々の患者の病態や生活背景に応じた使い分けが重要です。IL-12/23阻害薬とIL-23阻害薬の選択は、感染防御機能への影響や過去の治療歴を考慮して判断します。
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スキリージの添付文書
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