チガソン(エトレチナート)は、ビタミンA誘導体(レチノイド)として皮膚や口腔粘膜の異常に固くなった部分をはがしやすくし、正常な表皮や粘膜を再形成する効果を持っています。この薬剤は30年以上の使用実績を持つ古い薬剤でありながら、現在でも乾癬治療において独特のポジションを維持している重要な治療薬です。
参考)http://www.jstage.jst.go.jp/article/crt/23/1/23_1_1/_article/-char/ja/
エトレチナートの基本的な作用は以下の通りです。
チガソンが角化異常を改善する仕組みは、レチノイド受容体を介した遺伝子発現調整によるものです。ビタミンAと似た分子構造をもつレチノイドは、細胞内の受容体と結合して角化細胞の増殖や分化を正しい方向へ導きます。
参考)https://oogaki.or.jp/hifuka/medicines/etretinate/
作用機序の詳細プロセス。
この分子レベルでの作用により、角質層の肥厚を軽減し、症状を緩和します。
チガソンは特に重症の角化異常症に対して高い効果を示します。適応疾患は以下の通りです:
参考)https://www.carenet.com/drugs/category/vitamins-a-and-d-preparations/3119001M1020
乾癬群への効果。
魚鱗癬群への効果。
これらの疾患において、チガソンは病変部位の角化をコントロールすることで症状の軽減を狙います。特に外用治療のみではコントロールが難しい重症例や、かゆみや痛みによる生活支障が大きい患者に対して効果的です。
興味深いことに、チガソンは光線治療、特にエキシマランプとの併用で顕著な相乗効果を示します。光線治療単独ではなかなか改善しない患者さんにチガソンを併用すると、かなりの効果を得る場合があることが臨床現場で確認されています。
参考)https://kobayashi-clinic.co.jp/blog/768/
この相乗効果の特徴。
ただし、口唇口角炎の副作用はほぼ必発であることも報告されており、治療効果と副作用のバランスを慎重に考慮する必要があります。
参考)https://yukami-hifuka.com/blog/clinic_blog02/%E4%B9%BE%E7%99%AC/191.html
チガソンの特徴的な性質として、長期間体内に蓄積しやすいという点があります。この性質は一見デメリットのように思えますが、実際には治療上のメリットとしても機能します。
持続的効果のメリット。
一方、この体内蓄積性により、服用中と服用終了後の注意点が多いことも特徴です。特に催奇形性については、女性では服用中止後2年間、男性では6か月間の避妊が必要とされています。
チガソンは他の薬剤との飲み合わせがほとんどないビタミンA基剤という安全性の高さも持ち合わせており、適切に使用すれば非常に有用な治療選択肢となります。特に催奇形性を恐れる必要のないご年配の患者には、重要な選択肢の一つとなっています。