アキレス腱反射のやり方と座位での正しい検査手順

アキレス腱反射を座位で正しく実施するには、足関節の角度や姿勢設定など見落としやすいポイントが複数あります。臨床で反射が「出ない」と感じたとき、あなたの手技に問題はないでしょうか?

アキレス腱反射のやり方と座位での検査手順

座位でアキレス腱反射を正しく引き出せていない医療従事者は、実は想像より多くいます。


アキレス腱反射(座位)のポイント3選
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足関節の角度が命

座位では足関節を軽度背屈(約90°)に保持しないとアキレス腱が弛緩し、反射が出にくくなります。

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打腱器の当て方と力加減

腱の走行に対して垂直に、素早く「スナップ」を利かせて叩打します。強すぎても弱すぎても反射は引き出せません。

イェンドラシック法で増強

反射が出にくいときは両手を組んで引き合うイェンドラシック法を活用することで、脊髄反射弓の興奮性が高まります。


アキレス腱反射の基礎知識と責任髄節(S1)の意味

アキレス腱反射は、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の伸張反射であり、責任髄節はS1、末梢神経は脛骨神経です。 つまりこの反射が消失・減弱していれば、S1レベルの障害を強く示唆します。結論はS1が鍵です。 igakukotohajime(https://igakukotohajime.com/2022/01/09/%E6%B7%B1%E9%83%A8%E8%85%B1%E5%8F%8D%E5%B0%84-reflexes/)


S1神経根障害の代表的な原因は腰椎椎間板ヘルニア(L5/S1)や腰部脊柱管狭窄症です。 アキレス腱反射の評価は、こうした疾患の神経学的スクリーニングとして非常に実践的な意味を持ちます。意外ですね。 mgkca(https://mgkca.com/physical-therapist/question/similview/87c03a4d-e583-4f76-afc2-48f171671818?page=29)


また、糖尿病性末梢神経障害でも両側のアキレス腱反射消失が早期サインとなることが知られており、内科系の場面でも評価が求められます。 単なる整形・神経内科だけの話ではありません。 dm-net.co(https://dm-net.co.jp/qa1000_2/2006/04/q312_1.php)


腱反射 責任髄節 末梢神経 主な評価疾患
アキレス腱反射 S1 脛骨神経 腰椎椎間板ヘルニア(L5/S1)、糖尿病性神経障害
膝蓋腱反射 L4 大腿神経 腰椎椎間板ヘルニア(L3/4)、大腿神経障害
上腕二頭筋反射 C5-6 筋皮神経 頸椎症性神経根症


アキレス腱反射を座位で行う正しい肢位の設定方法

座位での検査肢位の設定が、反射を引き出せるかどうかの8割を決めます。 まずここを確実に押さえましょう。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2022/01/09/%E6%B7%B1%E9%83%A8%E8%85%B1%E5%8F%8D%E5%B0%84-reflexes/)


患者にはベッドの端または椅子に腰掛けてもらい、膝を立ててベッドの縁から下腿・足部を下垂させた状態にします。 このとき足底が地面につかない高さが理想です。足がべったり床についた状態では、下腿三頭筋が緊張してしまい正確な反射評価ができません。 igakukotohajime(https://igakukotohajime.com/2022/01/09/%E6%B7%B1%E9%83%A8%E8%85%B1%E5%8F%8D%E5%B0%84-reflexes/)


次に検者は患者の足部を手のひらで受け、足関節を他動的に軽度背屈(約90°)に保持します。 底屈位のままアキレス腱を叩打しても腱がたるんでおり、反射が出にくくなります。足関節の角度が条件です。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2022/01/09/%E6%B7%B1%E9%83%A8%E8%85%B1%E5%8F%8D%E5%B0%84-reflexes/)


  • 座面の高さ:下腿が自然に垂れ下がる高さを選ぶ(床に足底がつかないこと)
  • 股関節:過度な外旋・内旋は避け、自然な位置を保つ
  • 膝関節:軽度屈曲位(約90°)が基本
  • 足関節:検者の手で受けて軽度背屈(約90°)に保持する
  • 患者の筋緊張:「力を抜いてください」と声掛けを行う


アキレス腱反射の座位での打腱器の使い方と叩打のコツ

打腱器の使い方で反射の出現率が大きく変わります。これは使えそうです。


打腱器はハンドルの部分を軽く持ち、手首のスナップを利かせて振り下ろすのが基本です。 握りしめて腕全体で叩くと力加減が一定にならず、過剰な打撃で患者に痛みを与えたり、反対に力不足で反射が引き出せなかったりします。スナップが基本です。 physioapproach(https://physioapproach.com/blog-entry-571.html)


また、小刻みに連打するのは逆効果です。 1回の叩打でしっかり伸張刺激を与え、次の叩打は反射の収縮が収まってから行いましょう。反射が出なかった場合は、すぐに再打するのではなく、まず肢位の確認を優先する判断が求められます。 instagram(https://www.instagram.com/reel/C8iwg0LviBI/?hl=ja)


アキレス腱反射が出ないときの増強法(イェンドラシック法)と鑑別思考

最もよく知られているのがイェンドラシック法(Jendrassik法)です。 患者に両手の指を鉤状に組んで引き合ってもらい(両側の手を引っ張り合うように力を入れる)、その直後に叩打します。この操作により脊髄反射弓の興奮性が高まり、健常者でも出にくかった反射が出現することがあります。 med.gifu-u.ac(https://www.med.gifu-u.ac.jp/neurology/column/observation/20220428.html)


  • 🔗 イェンドラシック法の具体的な神経機序については岐阜大学神経内科のコラムも参考になります。


岐阜大学大学院医学系研究科 脳神経内科学分野:Jendrassikによる腱反射増強法(神経変性疾患との関連も含む解説)


イェンドラシック法を使っても反射が引き出せない場合は、真の消失・減弱として鑑別を進めます。 左右差が最も重要な判断基準であり、両側消失と片側消失では意味合いが異なります。両側消失であれば糖尿病性末梢神経障害や多発神経炎を、片側消失であれば神経根障害や末梢神経の局在病変を疑います。 physioapproach(https://physioapproach.com/blog-entry-571.html)


所見 疑うべき病態 追加評価のポイント
両側消失 糖尿病性末梢神経障害、多発神経炎 血糖値、HbA1c、神経伝導検査
片側消失・減弱 S1神経根障害(椎間板ヘルニアなど) SLRテスト、画像検査(MRI)
両側亢進 上位運動ニューロン障害(脳卒中、脊髄障害) 病的反射(バビンスキー反射など)の確認
左右差あり(亢進) 錐体路障害の側方性 筋緊張、バビンスキー、ホフマン反射


臨床で見落とされがちなアキレス腱反射の評価誤差と再現性を高める記録のコツ

反射の評価は「出た・出なかった」だけで終わらせると、経時的な変化の追跡ができません。これが臨床上の盲点です。


アキレス腱反射のグレーディングにはNJLS(National Jendrassik-Lendrum Scale)や一般的な0〜4+スケールが使われます。 0=消失、1+=減弱、2+=正常、3+=亢進(クローヌスなし)、4+=亢進(クローヌスあり)が標準的な分類です。スケールの統一が条件です。 stroke-lab(https://www.stroke-lab.com/news/8743)


また、高齢者ではアキレス腱反射が生理的に低下・消失していることがあり、70歳以上では消失率が高まるとの報告もあります。 「出なかった=異常」と即断せず、年齢・既往歴・左右差を総合的に判断することが求められます。 stroke-lab(https://www.stroke-lab.com/news/8743)


  • 検査時の肢位(座位 or 臥位、足関節角度)を記録する
  • イェンドラシック法使用の有無を記録する
  • グレーディングスケールを施設内で統一する
  • 高齢者は両側消失でも既往・左右差を優先して判断する
  • 初回評価と同一条件で再評価する(座面高さ・環境も含む)


詳細な神経診察のチェックポイントは、岐阜大学神経内科の資料も参考になります。


岐阜大学医学部附属病院 神経内科:神経診察のチェックポイント PDF(腱反射の評価手順・注意点を含む)