アデノイド増殖症の小児に対する看護では、特に症状観察が重要です。アデノイドは鼻の一番奥の上咽頭に位置するリンパ組織で、通常3歳頃に最も肥大化し、その後徐々に縮小します。しかし、病的に増殖した場合、様々な症状が出現するため、継続的な観察が必要となります。
参考)https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/adenoid_hypertrophy/
主要な観察ポイントは以下の通りです。
参考)https://www.shibasaki-jibika.com/column/adenoido.html
参考)https://iwasa-jibika.jp/disease/adenoid.html
看護師は、これらの症状が小児の成長発達に与える影響を理解し、保護者と連携して24時間の症状観察を行うことが重要です。特に、5分間の添い寝観察で大きないびきや呼吸停止が見られる場合は要注意です。
アデノイド増殖症の小児では、耳管開口部の閉塞により滲出性中耳炎を併発することが多く、これに対する適切な看護管理が求められます。アデノイドの肥大により耳管機能が障害されるため、中耳腔に水が溜まって難聴が生じます。
参考)https://www.kango-roo.com/word/11834
中耳炎併発時の看護のポイント。
幼稚園児、小学校低学年児の難聴の大部分は滲出性中耳炎が原因とされており、早期発見・早期対応が重要です。看護師は保護者に対し、家庭での観察ポイントを具体的に指導し、症状の変化を見逃さないよう支援する必要があります。
アデノイド切除術を受ける小児に対する周術期看護は、出血リスクの管理と安全な回復を支援することが中心となります。手術は全身麻酔下で行われ、多くの場合、口蓋扁桃摘出術も同時に実施されます。
参考)https://nishiogi-ent.com/%E6%89%81%E6%A1%83%E8%82%A5%E5%A4%A7%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89%E5%A2%97%E6%AE%96%E7%97%87
術前の看護。
術後の看護。
参考)https://www.miyoshi-central-hospital.jp/upload/save/page/836eece8b28872c37d8d8d9c6211de0f.pdf
術後2週間は出血のおそれがあるため、固い物の摂取制限や激しい運動の制限について、患児と家族に十分な指導を行う必要があります。
アデノイド増殖症の小児を抱える家族に対する教育と心理的支援は、治療の成功と小児の健全な発育にとって不可欠です。保護者は子どもの症状に対する不安や、手術への恐怖を抱いていることが多く、看護師による適切な支援が必要となります。
家族教育の重要項目。
心理的支援のアプローチ。
特に、アデノイド様顔貌や学習面への影響について心配する保護者に対しては、手術による改善の可能性と、適切な治療タイミングについて説明することが重要です。また、免疫機能低下への心配に対しては、扁桃組織が周囲に多数存在するため心配ないことを伝える必要があります。
アデノイド増殖症の小児に対する看護は、急性期の対応だけでなく、長期的な成長発達の支援も重要な要素となります。特に低年齢で手術を受けた場合、数年でアデノイドの再増殖を来し、症状が再発する可能性があるため、継続的な観察と評価が必要です。
長期フォローアップのポイント。
看護師は、外来受診時に保護者から詳細な生活状況を聞き取り、症状の変化を早期に発見することが求められます。また、保育園や学校との連携により、集団生活での適応状況を把握し、必要に応じて環境調整を提案することも重要な役割です。
さらに、アデノイド増殖症が小児の成長や発育に関係して、大人にはない問題を引き起こすことを理解し、包括的な看護アプローチを提供する必要があります。これには、栄養状態の評価、運動機能の発達、認知機能の発達など、多角的な視点からの継続的な支援が含まれます。youtube