手袋をしていても、VREは16週間も環境表面で生き続けることがあります。

VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は、腸球菌が本来効果のあるはずのバンコマイシンに耐性を獲得した細菌です 。腸球菌はもともとヒトの腸管内に存在する常在菌であり、健康な人が保菌していても通常は無症状のままです 。
関連)vre/documents/vre_qa.pdf">https://byoin.city.fuji.shizuoka.jp/annai/info/vre/documents/vre_qa.pdf
つまり「保菌=発症」ではありません。
免疫機能が低下した患者や、ICU入室中の患者、抗菌薬を長期使用している患者では、保菌状態から感染症を発症するリスクが高まります 。特にVRE菌血症は血流感染後60日死亡率が53〜64%にも達するという報告があり、医療従事者として見過ごせない病態です 。
関連)http://www.kankyokansen.org/journal/full/03704/037040128.pdf
感染症発症には至らなくても、院内で保菌が広がること自体がアウトブレイクの引き金になります。
VREのリスク因子として知られているのは以下のとおりです 。
関連)https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/10594-498r05.html
これだけ条件が重なる環境は医療施設そのものです。
VREの感染経路は「接触感染」一択です 。これが基本です。
関連)https://www.wakayamah.johas.go.jp/wp-content/uploads/2022/03/fa35aec7912d99b04a7011f89d9b1a0c.pdf
保菌者の便から排出されたVREが、医療従事者の手指や環境表面(ベッド柵・ドアノブ・トイレなど)に付着し、そこから次の患者へ伝播するという流れをたどります 。ポイントは「糞便→手指→患者」というルートです。
関連)https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/choose/microbe04/
飛沫(咳・くしゃみ)では感染しません 。
関連)http://www.kansen-wakayama.jp/network/pdf/2022/vre_qa.pdf
感染経路の伝播パターンをまとめると以下のようになります。
| 伝播パターン | 具体例 |
|---|---|
| 直接接触感染 | 保菌者の手→別の患者の粘膜・傷口 |
| 間接接触感染(医療従事者経由) | 患者の便→手指→次の患者 |
| 間接接触感染(環境経由) | ベッド柵・ドアノブ→手指→患者の口 |
| 食品を介した持ち込み | 入院前から食品経由で保菌した患者が入院 kitakyu-cho(https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf) |
注目すべきは食品経由での持ち込みパターンです。これは院内での伝播ではなく、入院前から保菌状態にある患者が持ち込むケースであり、スクリーニングがなければ発見が遅れます 。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf
院内伝播の原因の多くはスタッフの手指を介するものです 。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf
「清掃したから安全」という認識は危険です。
VREはポリ塩化ビニール(PVC)の表面で、最低でも1週間は生存します。株によっては16週間(約4ヶ月)もの間、環境表面で生き続けることが確認されています 。東京ドームのフィールドに例えると、隅から隅まで菌が生き続けているような状態が4ヶ月続くイメージです。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/0cb5ab8be314b91ee382ecb98b865b2e57c410f3.pdf
生存期間は薬剤感受性とは無関係です 。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/0cb5ab8be314b91ee382ecb98b865b2e57c410f3.pdf
この長い生存期間が、院内アウトブレイクを制御しにくい最大の要因の一つです。通常の病棟清掃だけでは除去が不十分なことがあり、VREが確認された場合は環境消毒の方法そのものを見直す必要があります。
環境消毒において重要なのは次の点です。
関連)https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2018/02/c66b3e8ed67755ee6d3727dccbf2dd7d.pdf
「消毒したから終わり」ではなく、継続した環境モニタリングが必要です。
VRE分離施設における感染対策(北九州市立八幡病院):環境生存期間や標準予防策の詳細が記載されています
院内伝播を防ぐ最大の武器は手指衛生です。これが原則です。
院内伝播の原因の多くはスタッフの手指を介するものであり、特に便や尿を取り扱うおむつ交換の手順の不備が主因として挙げられています 。「知っている」と「できている」は別物です。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf
VRE患者の担当時に必要な標準予防策を以下に整理します。
関連)https://www.yoshida-pharm.co.jp/infection-control/letter/letter06.html
健常な医療従事者がVREを保菌するリスクは低いとされています 。ただし、伝播が継続している施設では医療従事者の保菌調査も実施されることがあります 。
関連)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/033/430/vre_manual_r0703.pdf
「自分は大丈夫」という油断が集団発生の引き金になります。
静岡県バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)対応マニュアル:医療施設での具体的な対応手順が詳述されています
「感染対策はICTの仕事」という思い込みが、現場でのリスクを高めます。意外ですね。
VRE院内感染が広がるきっかけの一つとして、標準予防策の不備が指摘されています 。院内感染対策チーム(ICT)が対策を立案しても、実際に患者に接する医療従事者一人ひとりが行動を変えなければ意味がありません。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf
以下は、日常業務の中で見落とされやすいリスクポイントです。
VRE血流感染症後の死亡率が53%以上という数字を踏まえると 、日常業務の中の小さな行動が患者の生命に直結しています。これは使えそうです。
関連)http://www.kankyokansen.org/journal/full/03704/037040128.pdf
VREアウトブレイクが発生した場合の対応フローを事前に把握しておくことも重要です。最初の1名が判明した時点で、すでに同一病棟の離れた部屋や別病棟に複数の保菌者が点在しているケースがあるとされています 。
関連)https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/2019/06/a13bbccc3448867ef618526f7aabe0b015d8f99c.pdf
早期検知と迅速対応が被害を最小化します。
国立感染症研究所:VRE感染症の臨床・治療について(リスク因子・治療薬選択の根拠が詳しく記載)
【第3類医薬品】ハイチオールCプラス2 360錠